研修医の頃はあまり脳梗塞に対して、興味がわきませんでした
ほとんどがアテローム性や心原性であり、
パスを入れれば、物事が進んでいくので、流れ作業になっていた感じがしたためです
パスはいい面と悪い面があります
悪い面は、使いまくっていると、臨床力が落ちます
良い面はたくさんあります
作業効率がよくなり、医療安全的にも経営的にもメリットはあります
医者一人一人で治療に差が無くなるので、
よくも悪くも医療の平均化につながります
しかし、
脳梗塞の背景疾患までは、パスでは見つけられないので、
病歴と身体所見が重要です
TIAや脳梗塞に対して、しっかり病歴をとり、診察をして、
検査データを見直すと、
実はこれが原因だったんだ!
と感動することがしばしばあります
例えば、
繰り返す脳梗塞で紹介となり、精査にて
クリプトコッカス髄膜炎だったこともあります
他には、
脳幹症状を伴うめまいで入院精査となりましたが、数分で治ったので、
TIA疑いでバイアスピリンが開始となっていた人がいました
よく聞くと、振り向いた時や手作業をしている時に起こっていて、
診察すると、左手の橈骨動脈が微弱であり、血管雑音が鎖骨下で聴取され、
鎖骨下動脈の高度狭窄で、カテーテル治療に進んだという人もいました
検査データからも背景疾患を診断できる時もあります
塞栓性脳梗塞で入院となったこれまで心房細動を指摘されたことのない人で、
なぜか最近体重減少があり、内科で精査されていたが、原因不明でした
なぜか、脳梗塞で入院となった時に血液検査で炎症反応が上がっていました
これは感染性心内膜炎を想起させるプレゼンテーションであり、
血培がすぐに陽性となりました
脳梗塞で炎症反応が上がっていて、感染のフォーカスがはっきりしていなければ、
必ず血培はとったほうがよいです
検査データで分かる脳梗塞の背景疾患として、
多血症があります
多血症は骨髄増殖性疾患に含まれ、相対性と絶対性に分かれます
絶対性の一次性多血症がいわゆる真性多血症です
二次性には喫煙やEPO産生腫瘍などがあります
ちなみに、豆たんコタツという赤血球増殖マシーンともいうべき、
暖房器具が使われている地域が長野県にはあります
冬になるといつもHt50%を超え、
夏になると減るというサイクルを繰り返していた人がいました
症状はありませんでしたが、
検査データから、豆たんコタツ使ってますか?と聞くと、
やはり使っているとのこと
やめるように何度も注意してもやめてくれず、結局脳梗塞を起こしてしまいました
ガスをとると、いつもCOが上がっているので、
やめてないことがすぐにわかります
ただ、安くてあったかくて伝統のある暖房器具なので、
なかなか世の中(というかこの地域)からは無くなりそうもありません
長野県の冬の風物詩はインフルエンザだけでなく、
豆たんコタツに伴う一酸化炭素中毒もあります
インフルエンザと豆たん関連の入院が増えまくるので、
もうすぐ嫌な季節がやってきます
前振りが長くなりましたが、
脳梗塞から多血症が見つかったりする事もありますし、
健康診断でたまたまという事もあります
生命予後が他の血液疾患と比べて長いため、
内科医は避けては通れないのが、骨髄増殖性疾患です
最近、ジャガビという薬が出て、治療が変わってきています
それにしてもお菓子のパクリみたいなネーミングで、
覚えやすくていいですね
ということで、骨髄増殖性疾患についてです
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