中高年女性 主訴:痙攣発作
Profile:旅行者
現病歴:救急隊より「痙攣して、意識が悪い中高年女性を搬送します」
既往:なし、薬:なし、生活:ADLフル
バイタルは問題なし、SPO2 100%
来院してみると、四肢の痙攣はみられず
頸部のみ震えている
受け答えは可能だが、やや朦朧としている
呼吸は早い
徐々に落ち着きを取り戻した
血ガスはCO2低下あり
他の血液検査では異常みられず
頭部CTは何も異常なし
経過観察目的に入院
→翌日、入院担当となった
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話を聞きに行くと・・・
実はもともと不眠症があり、睡眠薬を服用していた
最近、花粉症のせいか喉周りや胸が苦しい感じがあった
そこにコロナのニュースが連日流れてきて、不安が募っていた
当地で旅行中、息が苦しいような感じになり、
徐々に呼吸が早くなって、両手足が痺れてきた
死ぬかもしれないと思ったので、救急車を呼んだ
病院へ来るまでのことも、病院に来てからのこともすべて覚えている
ということが分かったので、パニック発作・過換気症候群と診断し、退院となった
過換気症候群をみた時に大事なのは、
代謝性アシドーシスを来す疾患や頻呼吸・低酸素になる病態、敗血症がないかを一度は考えます
呼吸音のチェックや酸素化の低下には気を配ります
特に喘息や肺塞栓、気胸、DKAといった疾患が見逃されやすいです
過換気にも関わらずSPO2 が100%でないのは、おかしい!
という感覚でいることが重要です
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今、日本の社会で起きていること
新型コロナウイルス感染症の影響が強くなっている今日この頃
一番の中心はもちろん、健康・命の面です
死亡率を下げること、重症例を下げることが一番の目標であることに変わりはありません
しかしその周辺事項も問題が出てきています
コロナが社会問題となり、
株価が下落し観光業や飲食業が破綻しかけている経済、
一斉休校となった教育現場、
医療需要が供給を上回りつつある医療・・・
そして、今一番懸念されるのが、国民のメンタルの悪化です
これは新型コロナウイルスの感染力をはるかに凌駕するレベルで国民に感染しています
健康面の被害よりもメンタル面の被害が現時点では猛威を振るっています
連日、ニュースやワイドショーで取り上げられていますが、
過激な発言や内容の方が視聴率がとれるため、かなり歪んだ情報を我々はテレビから受け取ってしまっています
今の国民のメンタルを悪化させているのは、テレビやSNSです
メンタルが悪化して起こることは、ベースの不安が強くなり、
不眠症やうつ病を引き起こし、本症例のようなパニック発作を起こします
国民のメンタルが悪化していくと、誰が得をするのでしょうか?
それはもちろん、マスコミですね
コロナパニック
今後、このようなパニック発作の人や不安障害の人、強迫性障害の人が外来に急増することが予測されます
→こちらを参照強迫性障害
なので不安障害の人に適切に対応する準備が必要です
コロナパニックを防ぐために(一般の人向け)
新型コロナウイルス感染を予防するのと同様に、メンタル面でのコロナパニックは予防できます
①信頼できる人(家族・友人・恋人)と話したり、連絡を取り合う
こんなパンデミックを経験したことがある人はほとんどいません
だれしもが不安になることは当然です
不安は蓄積していきます
一人でかかえることが一番よくありません
不安を解消するには、人と話すことです
話しているうちに、自分だけが不安に思っているわけではないことや正しい情報が伝わってきて、だんだん不安が解消されていくでしょう
②自宅で過ごす
休校やイベントが中止になり、子供と自宅で過ごすことも増えるでしょう
一番やってはいけないことは、コロナを取り扱うテレビのニュースばかり見ることです
やるべきことは、家族での楽しい食事やしっかり睡眠を確保すること、適度な運動、
趣味(映画や本、音楽を聴く)を楽しむ、メールで親戚や家族と連絡を取り合うことです
健康なライフスタイルを維持することで、免疫力UPも期待できるでしょう
③お酒やたばこ、薬に頼らない
不安やイライラからお酒の量が増えたり、睡眠剤をたくさん飲んだりしていませんか
一時は不安は解消されますが、またすぐに不安が出てきます
そして量が増えていくことが目に見えているので、
これらに頼ることはやめましょう
では何を頼るか?というと
それは人です
不安でつぶされそうになったら、信頼できる人やかかりつけのDrに相談しましょう
④情報にまどわされない
事実とデマ・うそを分けましょう
そのためには、情報源が誰か・何かに気を配ります
信頼できるのは、国立感染症研究所からの情報です(例:大曲先生、忽那先生)
どこぞの感染症に詳しい○○先生とかは、怪しいです
そういう人に過激な発言をさせて、メディアは視聴率をとったり、国民の感情を揺さぶってきます
そういうワイドショーは見ない方が精神衛生上は安全です
過激な発言が目立つSNSもほどほどにしましょう
参考文献:コロナウイルス蔓延中のストレスへの対処
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