というわけで、手の震えは悪寒戦慄であり、両下肢の脱力は老年症候群であり、
体重減少はDMでした
DMという基礎疾患があり、会陰部膿瘍ができてしまったという症例です
この膿瘍は放っておくと、フルニエ壊疽に至る可能性もあります
本症例は早急に外科医にコンサルトして、早期治療に至りました
病歴を聞いて診断を行う作業とは、音を聞いてメロディを見分ける作業に似ています
病歴にはいろんな音がありますが、中には診断には不要な雑音も混じっています
その中で聞いたことがあるメロディを見つけたら、雑音は無視することができます
たくさんの疾患のゲシュタルトを自分の中で構築することで、診断能力が上がっていきます
ただし、聞いたことがあるメロディを聞くと、少し聞いただけで、
わかった気になってしまったり、違う曲を想起してしまうこともあります
空耳には注意が必要です
ある人は「診断は星と星をつないで星座みたいに診断するものだ」と言いました
これはまさにプロブレムリストを立てて、鑑別疾患を考える作業です
そうではなくて、
「診断に大事なのは、星を見るのではなく、背景の黒い夜空を見るんだ」と言う人もいます
わかったような、わからないような感じですが・・・
音楽家の方は、楽譜で一番大事なのは音符と音符の間、つまり音を出していない場所だと言います
つまり患者さんが語っていないことにこそ、診断の決め手があるのだと思います
今回の症例の診断の決め手は患者さんの言葉でした
ですが、最初の病歴では全く出てきませんでした
そんな時は何か言っていないことがあるはず・・・というスタンスを常に持ち続けることが大事です
信頼関係ができた時やその重要性に気がついた時、思い出した時など
ある拍子に診断につながるヒントを患者さんから教えてもらうことは多々あります
診断がつかない時に、診断のスペシャリストに頼ったり、ググったりするのもいいですが、
答えを持っているのは患者さん自身であるということは、忘れてはいけないことだと思います
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