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2021年5月1日土曜日

腹水 〜原因不明になりやすいもの〜

腹水のアプローチ

まずは疫学を知っておくことが有用です

ほとんどが肝硬変です
そして、癌、心不全、結核と続きます


胸水と同様に性状を見てみないと原因がわからないことが多いので、
腹水の原因精査のためには、腹腔穿刺が必要になります


腹水は胸水とは違って漏出性と滲出性で区別するというよりは、
門脈圧が亢進しているか、していないかで大別されます


血清のAlbと腹水のAlbを引いたSAAGと呼ばれる値で分けることができます





腹腔穿刺は基本的な手技であり、しっかりと身につけておく必要があります

超音波で安全に穿刺できる部位を探して、穿刺を行います

垂直に刺してしまうと、刺した部分から腹水が漏出してしまうことが多いので、
角度をつけるか、皮膚を尾側に引っ張りながら穿刺を行います



原因不明の腹水

上記のように腹腔穿刺を行い腹水の検査を行います
Alb、TP、培養、細胞数、などなど・・・


ですが、これらの検査でも原因がわからないことがあります

そのような腹水のことをascites of unknown originと呼びます


それでも時間が経てば原因がわかることもあります

当初は原因不明でしたが、最終的に判明した原因は、
腹膜癌腫症(癌性腹膜炎)が半分以上を占めていました
次に多かったのは結核性腹膜炎です


癌が原因であった場合、なんの癌を探すのが効率的かというと
卵巣、子宮、乳がん、大腸癌、胃癌、膵癌です

つまり多くは消化器系か婦人科系の癌です


悪性腫瘍関連腹水における細胞診の診断感度は58~75%とされており、
細胞診で問題ないから、癌が原因ではないとは言えません
Acta Cytol 1966;10:455-60. 30.
Acta Cytol 1993;37: 483-8. 


細胞診でわからない場合の次の一手は、腹膜生検です





原因不明になりやすい腹水

不明熱と同じようなカテゴリーです
感染症、腫瘍、自己免疫・炎症性疾患にわけられ、
原因も不明熱とほぼ一緒です


結核、リンパ腫、TAFRO、SLEなどです


それぞれ疑うきっかけとピットフォールがあるので注意が必要です



結核


結核性腹膜炎は
原因不明の腹水でリンパ球優位であり、SAAGが1未満の時は全例で疑ってください


さらにADAが高値であれば、可能性はUPします


培養は感度が低く、結核菌を証明することが非常に難しいため、
最終的に腹膜生検が必要になることもあります

腹膜生検が難しい場合は、診断的治療も考慮されます


血清や腹水中のCA125は高値になることが報告されています
CA125が上がっていたからといって、卵巣がんや腹膜がんという診断にはなりません


uptodateにもこう書かれています

Testing serum for CA125 is not helpful in the differential diagnosis of ascites. 
 Its use is not recommended in patients with ascites of any type.」


CA125が上がっていると、誤診につながる恐れがあり、
著者らはCA125を測定すべきではないと言っています




腫瘍関連


腫瘍関連の腹水は6つの機序があります (by up to date)

・腹膜癌腫症 (peritoneal carcinomatosis:日本では癌性腹膜炎と訳される) 53%
・門脈圧亢進症を引き起こすほど広範囲な肝転移  13% 
・腹膜癌腫症と大量の肝転移  13% 
・肝細胞癌と肝硬変  13%
・悪性腫瘍(通常はリンパ腫)による乳び腹水  7%
・肝静脈を閉塞する悪性腫瘍によるバッド・キアリ症候群  稀



細胞診が陽性になるのは、腹膜癌腫症(癌性腹膜炎)の場合です
腹膜癌腫症だけに限れば、細胞診の感度は100%とともいわれます



ですが、他の機序があるため、腫瘍関連の腹水の細胞診は感度は100%ではありません
他の原因の場合は、細胞診が陰性になります


HCCの場合、腹膜播種は稀で、腹水の細胞診ではHCCは診断できません


腫瘍の中でも診断が難しいのが、腹膜中皮腫、腹膜がん、リンパ腫です



中皮腫

アスベストの暴露歴がない場合もあり、非常に診断が難しいです

特に腹膜中皮腫の腹水細胞診は正診率5-13%と非常に低く、
細胞診の形態評価だけでは、腺癌や卵巣がんなどと区別が難しいです


そのため、フロサイトメトリーや免疫染色が追加で必要なこともあり、
最終的には腹膜生検が必要なことがあります



腹膜癌

腹膜がんは、腹部の一部または全体を覆っている腹膜と呼ばれる組織から発生する腫瘍と考えられています
最近では、卵管上皮から発生する上皮内がんがもととなっているという見方がされています

卵巣や卵管に原発がない場合にのみ、腹膜原発と診断されます


卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020年版 第5版



腫瘍の性質は卵巣がんに類似しており、腫瘍細胞の組織学的診断では、
ほとんどが卵巣がん同様に漿液性腺がんに分類されます


治療も卵巣がんに準じて行われます

他の腹膜癌腫症は予後が非常に悪いですが、腹膜癌の場合、寛解すれば長期生存が見込めます


頑張って診断・治療する価値のある腫瘍です



悪性リンパ腫


悪性リンパ腫は通常、塊を作る腫瘍ですが、
primary effusion lymphoma(PEL)は腫瘍細胞が体腔内に貯留した滲出液内で浮遊し、増殖するタイプのリンパ腫です


HHV8が発生に関与しているといわれておりましたが、
日本ではHHV8陰性で、高齢発症のPELが増えております

腹腔内だけでなく、胸腔や心嚢腔内にも発生します



高齢者に多いので、ケモができない可能性もありますが、
ステロイド単剤でも治療効果が出ることもあるようです





日呼吸会誌 49(12),2011




自己免疫・炎症性疾患


SLEはどんなプレゼンテーションもあり得るので、とりあえず考えますが、
腹水だけというのは流石に稀です

POEMSやTAFROも腹水は出ますが、他の症状もガンガンにありますので、
あまり原因不明になること少ないと思います


ここに属する疾患群は、腹水以外に注目することが必要です


腹水は所詮パズルの1ピースに過ぎないことが多いです


まとめ
・腹水の鑑別はSAAGからはじめよ
→門脈圧亢進しているのか、していないのか


・原因不明になりやすい腹水を知っておく
→行き着く先は、結核性腹膜炎や腹膜癌腫症
 悪性腫瘍関連では、中皮腫やPEL、腹膜癌に注意


・最終的には腹膜生検が切り札

2017年8月13日日曜日

腹水まとめ

ある時

誤嚥性肺炎と心不全が合併した高齢男性が、入院となりました
入院時のCTにて、なぜかそこそこの腹水貯留があります

心不全がある人の腹水だから、どうせ心不全のせいだろうと、
タカをくくって原因検索を怠ってしまいました

抗生剤と利尿薬で誤嚥性肺炎も心不全も軽快しました

腹水は抜かずに一旦は帰りましたが、

またすぐに発熱で戻ってきました

その時は腹水もあって、発熱していたので、
緊急で腹腔穿刺が行われました

SAAGは0.9でした

SBPではありませんでしたが、細胞診にてクラス5が出ました


という流れはたまに経験することです

そもそも心不全はあまり腹水の原因としてはメジャーではありません

腹水は胸水と異なり、LDHとタンパクがイマイチ使えないので、

もっぱらSAAGで分類します

ただし、門脈圧が亢進しているか、そうでないかということまでしか分かりません

でも上記のように、刺して見ると、すぐに診断がつく事もありますので、

やっぱり、水が溜まっていたら、刺してみないとわからないですね


でも、

研修医が勝手に腹水抜いていて、

上級医に何で刺したんだ?

と言われて、

「そこに水があるからです」

とか言うような研修医はちょっとやだなあ


アセスメントと予測した上で、検査は出すようにしたいものです


でも腹水を抜いたら、思いもよらない結果に出会うこともあります

ある特徴的な腹水は検査を待たず、抜いた瞬間に診断がつくものがあります


以前経験した症例では、

リウマチでずっとフォローしていた患者さんが急にお腹が痛いと言って、
救急にきました

CTでは腹痛の原因が不明でしたが、腹水が中等度溜まっていました

SBPを疑いますよね

しかし、エコー上は大量に溜まっているのに、

うまく引けなくて、どうしてだろうと、陰圧をずっとかけていると

グニュグニュっとゼリーが引けてきました

本当にコンビニで売っているゼリーと変わりない見た目です


疑っていなかったので、びっくりはしましたが、

冷静に考えれば、病理を待たずに一発診断出来ます

腹膜偽粘液腫の腹腔内への破裂です


その後、ゼリー状のものを技師さんに持っていったら、

「ほらー先生、ヘパリン入りのでやんないと固まっちゃうんだってばー
 これじゃ検査できないよー」

と怒られます

そもそもゼリーだったんですと

釈明する羽目になります






結論としては、

そこに刺せるだけの水が溜まっているのであれば、

させない理由がなければ、刺せ!

ということでしょうか


ただし刺し方に注意しないといけない症例もあります

垂直に刺すと低アルブミン血症で癌性腹膜炎でパンパンの人とかは、
刺した所から漏れ出てきてしまう事もあります


やっぱり、

しっかりアセスメントしてから、刺しましょう
刺し方もアセスメントしてらですね

2021年4月30日金曜日

日本一早いカンファレンス 〜この腹水の行き着く先は?〜

腹水の原因精査での紹介です

80歳 女性 紹介目的:腹水の原因精査(※一部症例は加筆・修正を加えています)

現病歴:昨年の夏から腹水が溜まってきた

    徐々に腹水が増えてきて、食事量低下あり

    すでに超音波検査と単純CTが施行され、原因不明 




鑑別は何ですか?取りたい身体所見は?


身体所見


鑑別疾患は?今後行うことはなんですか?



血液検査
Hb8の貧血あり、フェリチン低下なし
凝固系問題なし
肝胆道系酵素上昇なし
Alb 3.2
アンモニア上昇なし
電解質異常なし
Cr 2.8と上昇あり
炎症反応上昇なし

CA125 600と上昇あり

尿検査
タンパク尿あり、円柱なし

腹水
黄色調、混濁なし
Alb  1.5
SAAG  1.7
ADA  14
TP 3

CT
肝表面に凹凸あり
脾腫なし
大網に不整の濃度上昇あり
卵巣異常なし

UCG
心収縮良好、心嚢水なし、severな弁膜症なし



結論
細胞診を3回行いましたが、診断つかず・・・

SAAGでは門脈圧亢進を示唆しており、肝臓の形態も肝硬変で良さそうですが、
腹水以外には肝硬変を示唆するものはありませんでした

本当に肝硬変だけで良いのか、他にも腫瘍の合併があるのかどうか・・・

次の一手としては、腹膜生検になりますが、
退院希望が強く、一回退院となったという経過です


今回のように腹水の原因がわからない時も稀にあります
その場合、何を考えるか?


次回解説します



まとめ
・お腹が張っている人を見たら6Fを考える
重大な悪性腫瘍 (Fatal tumor)、脂肪(fat)、ガス(flatus)、便(feces)、水(fluid)、胎児(fetus)

・肝硬変の身体所見をいくつ知っていますか?
→くも状血管腫、手掌紅斑、テリーズ爪、女性化乳房、精巣萎縮、眼球黄染、羽ばたき振戦、腹水(波動、shifting dullness)、肝腫大、脾腫

・腹水のアプローチは知っていますか?
→SAAGが重要、門脈圧亢進しているのかしていないのか

2020年2月15日土曜日

ボス回診 ~がん患者さんが熱を出した~

(前回の症例の続き)

症例  85歳 男性 主訴:意識消失

ボス「がんの患者さん、特にこの患者さんは進行胃癌でしょ。

   腺癌系は過凝固病態を起こしやすい。
   だから、失神したというのは、DVTからの肺塞栓を念頭に置くんだ

   肺塞栓を頭に置いておかないと、
   この後のバイタルのちょっとした低酸素血症や頻脈、頻呼吸をスルーしてしまうかもしれない。

   熱があるからと片付けてはいけないんだ

   なんの鑑別疾患を念頭においておくかで、
  バイタルや身体所見の意味合いが変わってくるんだよ

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
バイタル
38.5度の発熱あり、SPO2 96%、血圧120/76、脈90、RR 頻呼吸なし
見た目 お元気そう

身体所見上は明らかな熱源となりそうなものはなし
両側下腿浮腫にあり

直腸診 フェロミア便

インフルエンザ 陰性

血液検査 WBC 12000、NET優位
     Hb7.9(横ばい)、CRP 10(これまではとっておらず比較できず)
     肝胆道系酵素上昇なし、腎機能悪化なし

尿検査  膿尿なし、細菌尿なし

CXR 肺炎像なし

単純CT 肺炎像なし、これまでになかった腹水少量出現
    腸管浮腫像なし、フリーエアーなし
    憩室炎や虫垂炎、胆嚢炎を疑う所見なし

心電図  洞調律、ST-T変化なし、QT延長なし、新規の変化なし

血培採取
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ディスカッション②:さあどうする?

ボス「ここまででどう思う?」

学生「そうですね、熱はありますが、お元気そうであまり他に何もないですので、
   経過観察にしようと思います

   あ、そういえば、心雑音はありましたか?」


専攻医「ありませんでした」


ボス「いいね、重度のASを狙った質問だね。
   あとはもちろん、IEの可能性もあってもいいよね。

   失神の場合、見逃してはいけないのは、何かな?」

学生「大量出血に伴う起立性低血圧と心原性です

   この人の場合、腹水が新たに貯留してきているので、腹腔内出血だと嫌だなと思いました。
   CT値はどうですか?」


専攻医「CT値だとあまり高くはありません。」


ボス「するどいね、でも腹水っていってもそこまでたまっていないでしょ?
   ここでは腹腔内出血からの失神の可能性は低いと思う」


専攻医「先生ならどうしますか?抗生剤いれますか?」


ボス「発熱があるけど、バイタルはいい
   
   血培もとってある
   感染症かもしれないけど、それは明日死ぬ病態ではない

   じゃあ、どうするかというと、
   なんといっても肺塞栓の除外なんだ
   

   ここではDダイマーなんかどうだっていい
   検査前確率が高い状況だから、Dダイマーで除外してはいけない
   

   造影CTをすることが大事だね」


専攻医「そうですね、なるほど。分かりました

    実際は造影CTはとっていません。

    発熱の原因として腹水があることからSBPを念頭にCTRXを開始しました」


ボス「そうかSBPかあ。

   SBPは主に腹水のある肝硬変の人に起こる病態だね
   癌性腹水の人に起こることは少ないから、積極的にあげる鑑別ではないと思う

   腹膜炎は3つに分類されるのは知ってる?


   primaryとsecondaryとtertiary peritonitis

   つまり、原発性と二次性と三次性だね」

---------------------------------------------------------------------------------------------
急性細菌性腹膜炎

分類は原発性、二次性、三次性、特発性、腹膜透析関連腹膜炎にわけるといいと思います


原発性と特発性を同じ意義で分類されていることが多いですが、
あえてそこは分けて考えたほうが臨床では役に立つことが多いです


原発性(Primary peritonitis)

原発性というのは、腸管穿孔や腹腔内の感染源がないのに、いきなり腹膜炎でくるパターンです

血流由来やリンパ、性器由来と考えられていますが、
原因がわからないので特発性(Spontaneous)と同義になっていることが多いです

多くは血流感染なので、繰り返し血培をとることが非常に大事です
2セット×3回目でようやく生えた症例もあります

単一菌が原因となることが多く、近年の報告例はA群β溶連菌が多いです


原発性腹膜炎という疾患概念があることを知っておくことがまずは大事ですが、
非常に診断が難しいことも知っておきましょう


原発性というためには腸管の穿孔がないことを証明しないとなりませんが、
CTで100%虫垂炎や憩室炎の微小な穿孔はないと言い切れるかというと、難しいのが現状です

症状も二次性の腹膜炎と同じなので、多くの症例で試験開腹や腹腔鏡で手術がされています

そして腸管が穿孔していないことを確認し、
腹腔内のちょっとした白苔や腹水の細菌培養を提出し、証明することが多いです

もちろん、細菌性かはその時点では分からないことも多く、腹膜や腹膜脂肪の病理を提出し、非細菌性の鑑別に役立てることも目的の一つです


二次性(secondary peritonitis)

普通のよく出会う腹膜炎です

虫垂炎からの穿孔、憩室炎からの穿孔、胃がんや大腸がんの穿孔、
胆嚢炎からの穿孔、直腸潰瘍からの穿孔、外傷による小腸穿孔・・・etc

そりゃあ腹膜炎になるよねという病態です

多くが手術が必要になり、ドレナージがしっかりできるかで三次性になるかが決まってきます


三次性(Tertiary peritonitis)

原発性や二次性の治療を行い48時間以降に持続もしくは再発したものを指します

簡単にいうと二次性の腹膜炎の治療がうまくいかず、こじれた腹膜炎です

カンジダが原因となることが多いので、二次性の治療中に熱が下がらず、
腹水が濁っているようなら、カンジダを疑いましょう



臨床で使える分類は、まずもともと腹水があるかどうかで分けます

腹水がある場合、腹膜透析している人か、
それ以外の肝硬変やネフローゼ症候群で腹水がたまっている人かで考え方が違います


PD腹膜炎

腹膜透析(PD)関連の腹膜炎は他の腹膜炎とは一線を画します

PD腹膜炎はせっかくの腹膜透析を台無しにする可能性がある疾患だという認識が重要です
そして二次性、つまり専攻に腹膜炎とは全然病態が違います


PD腹膜炎を疑うのは

①排液がにごる/変化する
②腹痛
③発熱

のどれか一つでもあった時です

検査は腹腔穿刺を行う必要はありません
溜まっているPD液を排液させ、それを検査(鏡検、グラム染色、血培ボトルに入れる)に提出します

ですがSBPと同じく、菌量がとても少ないため培養の20%は陰性になります

なので、白血球数>100/μL or   多核球の割合が50%以上で診断します


診断のイメージはSBPですが、治療が全然違います
抗菌薬をPD液に混ぜて腹腔内に6時間以上貯留させるという普段は行わない治療です

なのでPD腹膜炎を疑ったら、腎臓内科Drに相談するのがいいと思います

放っておくと、せっかく作った腹膜透析が使えなくなってしまいます



SBPについてはこちらを参照

腹水がもともとない人であれば、
原発性、二次性、三次性を考える

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症例の経過

翌日に血培が陽性となった
血培はGPCであり、肺炎球菌っぽいということが分かった

後日、肺炎球菌がやはり血培から生えてきた

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ディスカッション③:肺炎球菌が血培から生えた意味

専攻医「・・・という経過です」

ボス「えー!肺炎球菌が生えてきたの?

   それってやっぱりSBPじゃなくて、primary peritonitisじゃない?」

専攻医「確かにそうかもしれません」


ボス「肺炎球菌が血培から生えるのってよくあると思う?」

学生「あんまりないと思います
   こういう場合はIEの検索も必要だと思います」

ボス「その通り、肺炎球菌が血培から生えるのはめったにないんだ。

   有名なのは、Austrian症候群といって、
   肺炎と髄膜炎と感染性心内膜炎が合併したなんじゃそりゃっていう病態だね

   中年男性やアルコール過剰摂取、免疫抑制者がリスクファクターと言われている」
(Int J Cardiol 2006;108:273-5.)

ボス「この症例は液性免疫不全が背景にあるんじゃないかな

   液性免疫不全といえば有名なのは、多発性骨髄腫だね
   
   今回の症例は栄養状態不良の影響で免疫グロブリンが下がっていたり、
   脾臓が腫瘍で置換されていたり、何らかの液性免疫不全が背景にあると思うよ

   しっかり調べるなら補体やIgGのサブクラス欠損とかも鑑別にはなるけど、
   ハウエルジョリー小体くらい調べてもいいかもね」


専攻医「そうですね、わかりました」


ボス「侵襲性肺炎球菌感染症は届け出疾患だから、届けてね
   確か4類だったよね?」

T「そうだったと思います」


学生「いえ、5類です」


専攻医「本当すごいね(笑)」

まとめ
・急性細菌性腹膜炎には原発性というものがあることを知る
→原発性はいきなり腹膜炎、二次性はそりゃあ腹膜炎、三次性はこじれた腹膜炎


・肺炎球菌が血培から生えたら、背景に液性免疫不全があることを疑う
→IgG、補体、脾機能のチェック


・PD腹膜炎は特殊
→疑う閾値は低めに、腎臓内科に相談を

2020年7月11日土曜日

B型肝炎 〜なんて奥が深いんだ〜

症例 38歳 男性 主訴:交通外傷(※症例は一部加筆や修正を加えてあります)

現病歴:バイクを運転中に転倒し、救急搬送
内服:なし
既往:なし
生活:ADLフル、飲酒なし

バイタル:BP60/40、P 100、T 36.5、SPO2 96%
意識 清明、末梢 冷たい

PS(primary survey)
Cの異常あり →外液500mlで血圧安定(responder)

FAST negative
骨盤Xp  骨盤骨折あり
trauma panscan 骨盤骨折あり(骨盤輪は保たれている)
         実質臓器の損傷なし:肝損傷や脾損傷なし
         肝形態 普通、腹水なし、脾腫なし
         胆嚢は浮腫状、食道静脈瘤は確認できず
         腹腔内の脂肪織濃度が全体的に上昇あり

血液検査 Hb9、Plt 8万、凝固 PT-INR 1.6、APTT 120>
AST 200、ALT 180、LDH 350、ALP・γGTP上昇あり、Alb 2.8
Tbil 2、BUN 20、Cr 0.9

HBs抗体陰性、HBs抗原陽性、HCV抗体陰性

生来健康な40歳男性が、バイクの単独事故で救急搬送
骨盤骨折あり、一時ショックバイタルであったが、外液のみで改善し、responderとして対応
今後の待機的に手術が予定され、整形外科入院となった

しかし、謎の凝固異常あり、内科にコンサルト
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ディスカッション①この凝固異常はなんでしょうか?

整形Dr「この凝固異常はなんなんでしょうか?
    元々肝臓悪かったり、凝固が異常な人なのでしょうか?」

T「うーん、でも結構な外傷でショックにも一時期なっていたので、
  ただの外傷からの出血性ショックによるDICでいいんじゃないでしょうか?

  今後、手術を予定されているのであれば、FFPとRCCは入れた方が良いと思います。

  肝臓の値は若干上がっていますが、ショックリバーになりかけたのかもしれません。
  ですが、ショックリバーにしては、値がしょぼいです

  経過みながら、他の原因も考えていこうと思います
    
  本人に聞いてみると、子供の時からHBVキャリアと言われていたようです

  これまで肝臓が悪いとは言われてこなかったようですし、
  お酒も薬も飲んでいない人なので、
  ひとまず、肝障害や凝固異常は外傷に伴うものとして考えて良いのではないでしょうか?」

整「わかりました、FFPとRCC入れて手術に望みます。
 
  でもなんだか、この外傷でこんなに血が出るかな・・・
  という印象で、何かが変なんですよね・・・
     ALbも低めですし。」

T「Albは急性の出血の時には結構下がりますので、徐々に回復すると思いますよ」

整「わかりました」

手術後、バイタル変動なく、数日経過
術後経過は良好であったが・・・・
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経過

Pt「なんだか数日でお腹が張ってきました。」

身体所見
バイタルは安定、熱もなし

意識清明
腹部 圧痛ないが、明らかに張ってきている
羽ばたき震戦なし

感染のfocusとなるような所見なし

血液検査 Plt 5-10万台を推移、凝固はINR1.5前後を推移、
     AST,ALTは100ー200前後を推移、Albは2.5前後を推移
     Tbil 2前後を推移、腎機能問題なし

1週間後の造影CT:来院時はなかった腹水出現、肝臓の萎縮あり、門脈血栓なし

これは一体・・・・
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ディスカッション②外傷による一時的なショックの後の急性肝障害の原因は?

整「先生、腹水が出てきました。
  肝臓の値も悪いままですし、凝固も戻ってきません。
 
  外傷による出血という感じでもないですし、何が起きているのでしょうか?」


T「うーん。ちょっと考えますね。

  とりあえず、薬は全て中止しましょう。」


急性肝不全の原因の覚え方はABCsというものがあります(by up to date)

A:アセトアミノフェン、HAV、Autoimmune(自己免疫)、アデノウイルス
B:HBV、バッドキアリ
C:Cryptogenic、HCV、CMV
D:HDV、drug
E:HEV、EBV
F:fatty infiltration(acute fatty of pregnancy),Reye's syndrome
G:genetic(ウィルソン病)
H:hypoperfusion(虚血性肝炎、敗血症)、HSV、hemophagocytic
I:infiltration by tumor


うん、覚えられないですね。笑

ということで、いつも通りのVINDICATEで考えます


今回のイベントとしては、
①一時的にショックになった
②予防的に抗生剤が入った
③痛み止めとして、アセトアミノフェンやNSAIDsが通常量入った

元々の情報としては、
①肝臓が悪いと言われたことはなかった
②子供の頃にHBVのキャリアと言われた
③両親は肝臓は悪くなかった
④輸血したことはなく、今回がはじめて
⑤MSMではない
⑥お酒は飲まず、違法薬物は打っていない

肝臓が急に悪くなっている人をみたら

肝臓が悪くなっている人をみたら、まずは原因も大事ですが、
①激症化してこないかに気を配る必要があります


臨床の大事な考え方として、
この患者さんの行き着く先はどこなんだろう?と想像してみることがあります


この患者さんの行き着く先はどこでしょうか?


急性肝障害からの激症肝炎です
そうなると、治療はもちろん移植です


PT時間やINR、意識状態に気を配る必要があります

今回は、INRはずっと1.5前後を推移しており、どんどん悪化しているという感じではありませんでした
意識状態もずっと清明であり、肝性脳症が出現している感じはありませんでした

ただ造影CTにて肝萎縮や腹水が出現しており、これは嫌な兆候です


②激症化に気を配りつつ、次に原因を探ります

このタイミングで自己免疫とか、急性の感染症は考えにくいかもしれませんが、
ありえるかもしれません

血液でわかるものは提出しておきましょう(HAV,HBV,HCV,HEV,HSV,ANA,etc)

薬に関しては、疑わしいものは全てやめます


今回、輸血が行われましたが、輸血による肝炎ウイルスの感染症はどうでしょうか?
流石に数日後なので早すぎますね

造影CTでは門脈や肝動脈に血栓はなかったですし、
肝損傷を疑う所見もありませんでした

やっぱり、ただショックリバーが遷延しているだけなのか???


そういえば、この方はHBVのキャリアと言われていました

???

そもそも、HBVキャリアってなんだ?

HBVを持っているけど、悪さしていなくて、落ち着いている状態のことか?

HBVのProfileについて、改めて調べないといけないな・・・
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HBVについて

HBVのいやなところは、抗原と抗体がたくさんあって、
何を測ればいいのか、よくわからないということですね

知った気でいましたが、改めて勉強し直すと、とても奥が深いことに気がつきました


まずはHBVのウイルスの構造をみてみます



それぞれの検査の意味についてみていきます



 結局、どんな状態であるかを知りたいかで、測定する項目が変わってきます

up to dateにわかりやすい図があるのでご参考ください



HBVの感染経路の多くは垂直感染です
母から子供へ血液を介して感染します

ですが近年では、性行為で感染するジェノタイプAが流行してきています
これは成人で初感染して慢性化することが多いとされています

ですので、ジェノタイプAのHBV感染をみた場合は、MSMの確認が必要になります


今回はこれまでのよくある感染経路である母子感染の流れをみていきます


免疫応答が起こるまでは同じ流れをとることが多いですが、
その後の流れが複雑です

それぞれの時期は移行しますし、全ての時期を経るわけでもありません

以前、無症候性キャリア(免疫寛容期)や非活動性のキャリア(HBe抗体陽性無症候性キャリア)だったとしても、いつの間にか肝炎を起こしていることがあります


一度、安定した状態にいたからといって安心できないのが、HBV感染の落とし穴です 

HBVウイルスは遺伝子を肝細胞の中に組み込むので、
HBs抗体やHBe抗体ができた(セロコンバージョン)としても、遺伝子レベルでは排除できません

ですので、肝酵素の上昇がなくて、落ち着いているキャリアの人でも、
定期的なフォローが必要になります



 HBVの治療を検討する機会のシェーマ図です

HBVによる慢性肝炎や肝硬変の場合は治療すべきです
HBV-DNAやALTの値、年齢、ジェノタイプを考慮して、
治療に入ります(治療の詳細はガイドライン参照して下さい)

B型肝炎治療ガイドライン 2019


問題は急性の肝不全の場合です

HBVによる急性肝不全はいくつかのパターンがありますが、
すぐにこれらの病態を見分けるのは難しい時があります

肝不全が進行していってしまう症例の場合、HBVのどの病態によるかは置いておいて、
早期から抗ウイルス薬を使うことが推奨されています




今回の症例の結論としては、

HBs抗原:著明高値
HBe抗原:著明高値
HBs抗体:陰性
HBe抗体:陰性
HBc抗体:陽性
IgMHBc抗体:弱陽性
HBV-DNA:高値
ジェノタイプ:C
ALT:100以上
凝固:INR1.5
Tibil 4→2
Alb:2.8
肝臓:画像上の形態変化軽度(辺縁鈍化なし)
脾腫:軽度
腹水:途中で出現し、経過中に消失


追加情報
数年前から健康診断の血液検査で肝障害を指摘されていたが、忘れていた


ということで、子供のころは無症候性キャリアであったが、
成人になり慢性肝炎を発症し、知らない間に肝硬変の状態まで悪化していた
今回、交通事故でそれが偶然発見された症例

来院時はショックバイタルでもあり、
入院後の肝機能低下や腹水はショックリバーの影響や薬剤性肝障害が鑑別になったが、
HBVのProfileからは、HBVによる肝硬変の状態に急性の増悪が加わった
acute on chronic liver failure(ACLF)であると考えた




入院後、腹水は自然軽快し、Bil上昇も自然に軽快認めたため、
ACLFになった(もしくはなりかけた)が、自然軽快したと判断した

ただ、HBVの急性増悪の可能性もあったため、
血液検査の結果が揃う前からでも、抗ウイルス薬は使用を検討してもよかったと思われる

HBVのProfileが揃ったため、抗ウイルス薬の適応であり、
今後は抗ウイルス薬の治療を専門家主体で行なっていく予定

まとめ


参考文献:Journal of Hepatology 2012 vol. 57 j 1336–1348
     uptodate
               hospitalist  vol 6.No.3 2018 肝胆膵
     B 型肝炎治療ガイドライン (第3.1 版)

You tube解説動画:B型肝炎 解説動画

2019年3月5日火曜日

食餌性イレウス

腹部手術歴のない、元気が高齢男性が、

小腸閉塞で入院となりました

かなりの痛がり方で、

腹膜刺激徴候もあります

腸蠕動音は亢進しています

CTでは腹水もあります

造影CTでは虚血はなさそうです

内・外ヘルニアや腫瘍もなさそうです

アニサキスを疑うような小腸壁肥厚や腸重責所見もありません

いったい、なぜ小腸の腸閉塞になっているのでしょうか?

こういう原因が不明な小腸閉塞の場合に、

食餌性を疑います


食餌性イレウスはイレウスの中でもかなり稀な原因とされています

しかし、腹部手術歴がなくて、腸閉塞になっている症例では、

一度は食餌の関与を疑った方がよいでしょう


特徴としては、普通の癒着性の腸閉塞に比べて、

急激に発症しやすいことがあげられます

食べ物が狭い部分に、

スポッ

と、はまり込んだ瞬間から、

急激に腸管が拡張し、蠕動し始めるため、

発症が急いわれています


食餌性の場合、腹水も出やすく、

特に餅の場合は、腹水や腹膜刺激徴候がでやすいとされています

回腸末端から100cm以内につまりやすく、

回腸は空腸に比べて、

口径がせまかったり、回盲弁があったり、

動きが弱かったりするためと推測されています




食餌性の腸閉塞を診断するためには、

食餌のリスク × 人のリスク

を知っておくことが重要です


腸を閉塞させやすい食べ物は、ここ数十年でどんどん変化しています

以前は柿が、だんとつでしたが、

最近はが多くなっています

海藻・昆布やキノコ類、種も多い原因とされています


どういう人で多いかというと、

腸管にもともと器質的な閉塞起点がある人

丸のみしたり、十分に咀嚼しない人

歯がなくて、噛もうにも噛めない人

精神疾患や認知症で変なものを食べてしまう人

ひたすら柿を食べたり、キノコや海藻ばかり、好んで食べる習慣のある人


こういった病歴は、本人は語ってくれません

原因不明の腸閉塞をみたら、

ここ数日食べたものと、人の食習慣を聴取しましょう


CTでやたらと高濃度な物体をみつけたら、

餅を疑いましょう

種の場合は楕円形で、小さいのが特徴です

なので、食べ物の種で腸閉塞が起きてしまうような人は

必ず器質的な腸の閉塞起点がないかを疑うことが重要です

もしかしたら、閉塞している部分に腫瘍が隠れているかもしれません


海藻や昆布の場合、

bubly mass and impactionが30-50%ほどみられるとされています

しかし、これで決め打ちは難しい印象です


やっぱり、CTをみて病歴に戻るのがよいと思います

まとめ

原因不明の腸閉塞をみたら、食べ物の病歴に戻る

CTでよくわからない物体をみたら、食べ物の病歴に戻る







2021年3月4日木曜日

Road to POEMS 〜パズルのピースを集めよう〜

2018年の造血器腫瘍ガイドラインより

POEMS症候群では末梢神経障害によるPS不良,全身体液貯留傾向があり,無治療で自家移植を行うと,生着症候群を含む移植関連毒性が増加する。また,血清VEGF値は治療効果に対するバイオマーカーであり,移植後のVEGF値は再発に対する強力な予後予測因子となる。したがって,多発性骨髄腫と同様,適切な寛解導入療法を行い,血清VEGFの低下とともに全身状態を改善させた上で,より安全に移植を行うことが望ましい。これまで移植非適応・再発難治例において,サリドマイド等の新規薬剤の有効性が報告されており移植適応例においても寛解導入療法としてサリドマイド+デキサメサゾン療法の有効性が報告されている。サリドマイドは100 mg/日から開始し,効果・副作用により投与量を調節する。サリドマイド不応例については,デキサメサゾン併用レナリドミド,ボルテゾミブによる治療を考慮する。レナリドミドについては,幹細胞採取効率を低下させないように,3~4コースの短期間の治療にとどめなければならない。現時点では,これらの新規薬剤はPOEMS症候群に対し国内保険適用外である。

 

でしたが、ついに、、、

2021年2月にPOEMS症候群に対して、サリドマイドが保険適応になりました!

千葉大の先生方のご尽力のおかげです



ということで、一部の先生方にとっては朗報なのですが、

我々はまずPOEMSの治療の前に診断を頑張らなくてはなりません・・・


POEMS症候群は診断が難しいのですが、見るひとが見ればすぐに診断できてしまいます

このような疾患群のことをパズルのピース系鑑別疾患と名付けています


最初にまさにパズルのピースだなあと感じた疾患は、アミロイドーシスです


難治性の心不全で、腎機能が徐々に悪くなってきて、

貧血もあって、圧迫骨折も出現してきた

何だか消化器症状が多くて、起立性低血圧も見られる


普通に考えれば、

心不全に対して、利尿剤を使っていて、腎機能が悪くなったのであろう

ADLが下がってきて、骨粗鬆症になって圧迫骨折を起こしたんだろう

糖尿病もあるので、消化器症状や起立性低血圧もあるんだろう・・・

仕方ないよ・・・そりゃ・・・


で済ませるか、


全てはアミロイドーシスが原因ではないか?と思いつけるかどうかで、

患者さんの未来が変わってくるかもしれません


こういった患者さんの症状や兆候を虫の目のように、一つ一つ分析するのではなく、

鳥の目を使って、全体像を見ることができれば、診断に辿り着くことができます



気がついた時は、アハ体験のような感じです

一度、思いつけば、あとはパズルのピースを探して、埋めていくだけです
そして、最後のピース(アミロイドーシスであれば生検)を埋めることで、診断が確定します


アミロイドーシスがパズルのピース系鑑別疾患の筆頭ですが、
頭文字が並ぶ系はだいたいこの疾患群です
TAFROとかPOEMSとか

何だか全身の臓器にトラブルを抱えていて、診断が生検じゃないと難しいものは、
このカテゴリーに入ると思われます


Road to POEMS

実際にPOEMSを診断したことはありませんが、カンファではよく出てきます


カンファだと自分が当事者ではないので、「鳥の目」を使って聞いています
なので、患者さんの全体像が見えやすく、比較的POEMSには気がつきやすいです

ですが、実際に患者さんを見ている時は、虫の目で患者さんを見ている気がしていますので、見逃しているのかもしれません・・・


POEMSのゲシュタルトは
数ヶ月前から痺れが出現し、次第に力の入りにくさを自覚し、プライマリケア医が困って、
神経内科へ紹介するパターンや

全身の浮腫が出現して、病院を受診したところ、
胸水や腹水も溜まっていたが、色々調べても原因不明で循環器や消化器内科のDrが困っているパターンなどが典型的です



キーワードは原因不明の痺れや浮腫・胸水・腹水です

そんな時にPOEMSを疑うことができれば、皮膚をチェックしにいきます

皮膚をその目で見れば、異常が捉えられることが多いですが、
その目で見ないと、「まあ、こんな皮膚の人もいるよな〜」で終わってしまいます

POEMSメガネをかけて診察することが重要です



サリドマイドが保険適応で使えるようになりましたので、早期に診断をつけて、

専門家の治療につなげることがより一層求められる疾患になりました

まずは疑うことを閾値を低めにやっていきましょう


まとめ

・「パズルのピース系鑑別疾患」がある

→アミロイドーシス、POEMS、TAFROなど

 一つ一つの異常に目を向けるのではなく、一歩引いて全体をパズルのピースのように捉えると、

 ある疾患群が浮かび上がってくることがある


・POEMS症候群を疑う状況は、原因不明の痺れや脱力、原因不明の浮腫・胸水・腹水

→疑ったら、まずは皮膚のチェック:多毛、色素沈着、チアノーゼ、バチ指を探す


・POEMSにサリドマイドが保険適応になった


皮疹の見方

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