2019年5月14日火曜日

化膿性筋炎

化膿性筋炎の知識をup dateしなければならない時代になっているようです

化膿性筋炎は稀と認識していませんか

稀ですが、最近増えています

いつか、内科医をしていたら、出会う疾患であると思われます


感染症なので、いつもの感染症の三角形を考えます

真ん中にいるのが、host 患者さんです



host 

化膿性筋炎の時のリスクファクターとして、

免疫不全者、特に糖尿病やHIVが有名です

他には、外傷で筋肉注射などです


ハイドロリリースが最盛期になりつつある、今、

リリースの合併症として、化膿性筋炎が報告される日も近いのではないでしょうか


なので、リスクとしてリリース歴がないかは、確認しておいた方がよいでしょう


ただし、化膿性筋炎は免疫不全がなくても、外傷がなくても、

健康な若年者にいきなり発症することもあります



運動はマイナーな筋損傷を起こす可能性があり、

リスクともいわれますが、確定はしていません


focus

感染部位は筋肉です

感染経路は三つです

周囲からの波及と、菌血症からくっつく場合と、外から注射などで運ばれた場合です


筋肉はもともと血流が豊富なため、

感染に強い臓器と昔からいわれてきました

しかし、挫滅した筋肉はそうではありません

感染の温床となり、菌が定着しやすい場所に変わってしまいます


筋肉の中でも、血流が多い大腿部や骨盤周囲の筋肉に

感染が起こりやすいと言われますが、

全身の筋肉のどこにでも起こり得ます


多発することもあるので、両側の場合、

PMRと紛らわしいこともあります



起因菌

起因菌は、黄色ブドウ球菌がほとんど

A群溶連菌がその次を占めます

その後は雑多で、何でもありです


最近は、CA-MRSAも増加中です


血培や膿の培養率はそこまで高くありません


治療

治療は、stageごとに異なりますが、

stage1なら、抗生剤で逃げ切れる可能性もありますが、

治療していても、膿瘍化することはあるので、

どこかで手術やデブリが必要になる可能性が高いと考えておきましょう

治療期間は7日-6週間と、決まりはありません


もちろん、膿瘍があれば、消失するまでですし、

IEや椎間板炎といった他の感染が合併した場合、

それに準じた治療期間の設定ということになります





Stage

化膿性筋炎には3つのstageがあります

どのstageにもpitt fallや鑑別すべき疾患があり、

診断が非常に難しい疾患の一つです


ある報告では、発症から平均10日目でようやく診断がついたという報告もあります


化膿性筋炎の早期は、局所の見た目が、

赤くないので、ただの筋肉痛で済まされることも多いです


中期では、全身状態が強く、蜂窩織炎と間違えられることが多いです


後期になると、バイタルが悪化し、多臓器不全の様相を呈してくるので、

壊死性筋膜炎に間違えられます







化膿性筋炎が早期であっても、

菌種によっては、TSSとして発症することもあります

その場合は、膿瘍形成がなくても

早期に手術が必要となりますので、

例外として覚えておきましょう



↓ 化膿性筋炎のよくまとまった最近の文献です





化膿性筋炎まとめ

・tropical  pyomyositisと呼ばれていた時代はもう古い

・近年、温帯地域で、増加中

・健康な若年者でも発症する

・早期に診断することが難しい疾患

・しかし、診断の遅れが死亡率上昇につながる

・早期診断の鍵は、

 痛がるところをしっかり、触ること

 太ももや骨盤周囲の感染が多く、

 診察が遠慮がちになるが、

 痛がる部分は見ているだけではダメ!



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