ACPに限らず、医療者は重い話し合いをしなければならないことが山とあります
もちろん、医者だって、そんな話をしたくはないですが、
病状が悪化したり、癌がみつかったり、癌が再発したり
臨床では、つらいことを伝えないといけないことが多々あります
優しい医者の場合、自分の感情も強く動かされてしまい、
精神的にきつくなったり、
コミュニケーションが苦手な医者の場合、
相手を怒らせてしまったり、
することもあるでしょう
コミュニケーション能力を磨けば、
それも防ぐことができるようになるかもしれません
医者になるまでの人生経験で、
コミュニケーションスキルが身についている人もいますが、
医者になるまで、癌の告知や心肺停止時の対応を
話し合うことはあまりないと思いますので、
やはり、あらためてコミュニケーションスキルを学ぶ必要があるのだと思います
その一つに、vital talkというものがあります
コミュニケーション能力が高いDrは自然と、
vital talkにあるようなスキルを使っています
スキルの領域のため、本を読んだりしてもできるようにはなりません
スキルの習得は、「守破離伝」です
まずは、型のごとく、マネしてやってみる(型を守る)
そのうえで、型をはずして、やってみる(型を破る)
そして、自分なりの型を作って、やってみる(型を破る)
その後、人に伝える(型を伝える) ←これはオリジナル
なので、実際に面談を繰り返していくことで、上手になります
ですが、知識がないとできないので、まずは知識の習得です
vital talkの肝は、
認知データだけでなく、
感情データに配慮するということです
このことに気が付くと、目から鱗がおちます
vital talkは色々なスキルがありますが、
まずはこれだけ知っていればよいかと思います
感情データを無視せず、対応(共感)すれば、
コミュニケーション能力は格段にあがります
認知データ
認知データとは、患者・家族が理性的に理解した事柄をさします
そのため、まずは伝えたい内容(病状)を上手にまずは伝えないといけません
相手に自分が言いたいことを伝えるには、コツがあります
空中戦ではなく、地上戦にすることです
地上戦とは、つまり、
紙やホワイトボートに伝えたい内容を書いていくことです
紙に書きながら説明することで
・自然とゆっくり説明できる
・患者さんの理解を確認しながら、進むことができる
・家に帰った時に、何を言われたか、思い出せるようになる
自分はいつも、採血のデータの裏の紙に、
診断名や今後、気を付けていくことなどを書いてプレゼントします
感情データ
感情データとは、認知データと逆で、
意識的にコントロールできないものです
ひとはだれしも、
自然とある事象に対しての価値観や意味付けが行われます
それが感情であわられます
その感情をないがしろにすると、信頼関係が損なわれます
面談の際にまずは、相手の議題を確認します
そして、相手の立ち位置も確認します
どんなことを今日話し合いたいのか
どんなことを心配しているのか
どこまで理解しているのか
ということを、まず面談の一番最初に持ってきます
そして、面談が進み、
病状や今後の方針を説明すると、
相手に「感情」が芽生えます
その感情に適切に対応することで、信頼関係が結ばれます
適切に対応するためには、
非言語的か言語的に、対応しなければなりません
言語的に相手に伝える方法は
NURSEという頭文字で覚えます
①Name
相手の芽生えた感情に、
「名前」をつけます
こうきくと、違和感をもつ人もいると思います
名前を付けるというと、なんだか気持ち悪いので、
名前をつけるというよりも
相手の気持ちや感情を想像しましょう
②Understand
そして、その感情を理解していることを伝えましょう
感情が間違ってしまったらどうしよう・・・
と心配になるとは思いますが、
間違ってもいいのです
相手が修正してくれますので
しかし、伝えた方には、注意しましょう
非言語的にも理解しているということを伝えないと、
逆効果です
Vital talkまとめ
・スキルなので、学んだらやってみましょう
・まずは相手の感情データに
気を配ることができればOKです
・NURSEのうち、どれか一つだけでもやってみましょう
参考文献:米国緩和ケア医に学ぶコミュニケーションの極意
返信削除