絞扼腸閉塞とは、
腸管虚血を伴うclosed loop obstructionと定義されています
腸閉塞の画像診断のフローチャートとして
①腸管拡張がある
②閉塞起点がある
⇒なければ、イレウス
③Cclosed loop obstructionがある
⇒U字だけなら、単純性
⇒U字と逆U字があれば、絞扼性
④血流障害がある
⇒あれば、手術
⇒③がわかっていれば、血流障害なくても早期手術を考慮
という流れになります
③と④について解説します
③Closed loop obstructionについて
小腸は可動性が高いため、ぐねぐねとよく動きます
ある時、索状物(バンド)や間膜の穴に、小腸が入りこんでしまいます
出られれば、問題ないのですが、
出られなくなってしまうと、首が閉まった状態になって、
最終的には腸間膜の血管もやれてしまいます
Closed loop obstructionの画像で最も大事なのは、
向かい合うU字状の腸管を探すことです
axialだけでは見つからない場合、
coronalにしたり、sagitalにしたりして探します
これがあれば、血流障害があろうが、
なかろうが、絞扼性です
絞扼性腸閉塞の血行動態
絞扼性の定義として、血流障害がいわれているので、
造影低下がなければ、
絞扼性ではないと勘違いしそうですが、
造影低下がみられた絞扼性腸閉塞は、39%だったという報告もあります
そのため、造影効果不良であれば、
それは当たり前に、絞扼性腸閉塞ですが、
造影効果があっても、
絞扼性腸閉塞は否定できないということを覚えておきましょう
絞扼性腸閉塞の血行動態にはいろいろなphaseがあります
最初は、静脈も動脈も流れがよい状況があります
しかし、徐々に首がしまってくると、
圧の弱い静脈系の流出が悪くなります
すると、「うっ血」という状態になり、
腸管の壁肥厚が出てきます
しかし、動脈からの流入は保たれているので、
造影されます
腸間膜側には、
腸間膜の浮腫(durty sign)や血管が櫛状にみえるうっ血像がみられてきます
徐々に進行すると、動脈の流入も悪くなってきます
そうすると、「虚血」の状態になります
この状態になると、造影効果が不良になります
一方で、急に動脈からの流入がなくなる塞栓のような状態や
狭窄が非常に強い場合、
静脈がうっ滞している暇なく、
壊死が急速に進行します
そうすると、paper thin wallとよばれる
ペラペラな腸管になってしまうことがあります
血行動態を見る時のポイントは
腸管壁:薄い→厚い(浮腫)、薄い方がやばい
腸間膜:浮腫状、腹水、うっ血像
造影効果:早期相と後期相をみる、後期相で減弱があれば、低酸素障害は進行している
Closed loopが画像でよくわからない時
原因は主に3つあります
絞扼性腸閉塞の画像所見のまとめ
①造影効果があるかどうか、早期相と後期相で確認する
②腸管虚血を示唆する、壁肥厚や腸間膜の浮腫、腹水を探す
③2つのcaliber change(向かい合うU字の腸管)を探す
どこが閉塞しているかを探す場合はコツがあります
どこから探すかというと、
腸管にガスと液体が混じっている腸管の近くに閉塞があることが多いので、
その(feces sign)近くから探します
それでもclosed loopが分かりにくいときは、数枚スライスごとに
腸管に線のチェックをつけていき、すべての腸管をおうことができて、
チェックが入ればOKです
チェックが入っていない腸管があれば、それはclosed loopかもしれません
参考文献:画像診断.2018;38:231-42
返信削除日本腹部救急医学会雑誌Vol.37(4)2017
外科 vol.80 No.7(2018-6)