2019年5月26日日曜日

足し算よりも引き算

薬に限らず、医者は足していくのが好きな生き物です

先日、自分自身もハッとさせられました


中学生が職場体験で、自分にくっついて回診をしていました

圧迫骨折で入院していた人が、


低酸素血症を来して、

COPD急性増悪や心不全、肺炎疑いにて、

治療を行っていました


酸素を投与し、点滴で抗生剤や利尿剤を投与し、

気管支拡張薬の吸入を行っていました


自分と研修医の先生は、

まだ体重が減りきらないので、

ラシックスを増やすかどうか

ということを主眼に考えていましたが・・・



その人の回診が終わった時に、

中学生がぽつりと言いました


「なんか、いっぱいくっついてて、大変そう・・・」


その通りでした


酸素がつながり、

SPO2や心電図モニターがついており、

点滴がつながり、

吸入器がそばに置いてある



普通の人からみたら、

その姿は異常なのです


ですが、医者からみると、

それは重症患者では、自然であって、

異常ととらえることができなくなっていました



上司から言われました


「朝、患者さんに出会った時に、

まず考えることは、自分が行っていることで、

患者さんに害が及んでいないか、ということです



本当にモニターはいるのか

本当に点滴は必要なのか

本当に尿カテは必要なのか

本当にバイタル3検は必要なのか

本当に入院は必要なのか



毎日毎朝考えれば、患者さんが日常をとり戻す日も早いでしょう




足し算は早くても、

引き算が遅くなる傾向は誰にでもあるのではないでしょうか


足し算よりも、引き算が上手な医者を目指したいものですね




引き算はポリファーマシーの問題だけではありません

入院におけるすべての医療的な介入にも

引き算していく必要があります


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