もう一つが、ギランバレー症候群(特にPCB,AOP)です
ギランバレー症候群は非常に有名ですが、
疾患のゲシュタルトが頭に入っていますか?
「先行感染の後、足の動きが悪くなり、
上向して、両側の四肢の筋力が低下し、腱反射が出なくなる」
というのが、国試的ですが、
臨床で出会うギランバレーは、このプレゼンテーションだけではありません
ギランバレーを鑑別にあげた時には、
ギランバレー症候群の何?まで言えると理想ですね
ギランバレー症候群です
というのは、
脳梗塞です
といっているのと同じです
どこの?なんで?
が気になりますよね
ギランバレーは何らかの先行感染があって、自己抗体が産生され、
神経障害を来します
ギランバレーの難しいところは、臨床像が様々ということです
重症度は、軽症から最重症まで幅が広すぎです
そして、症状にも亜型(バリアント)が多すぎます
ギランバレーがどういう分類になっているかを確認しておきます
①臨床像での分類:GBS、MFS、BBE、PCB、AOP etc
②自己抗体による分類:抗GQ1b、抗GT1 etc
③病態による分類:AIDP(脱随)、軸索型のAMAN、AMSAN、AMCBN
PM/DMと似ていますよね
PM/DMも今や抗体ごとの臨床像が明らかになってきており、
今後はGBSも、もっとそういう傾向になっていくのでしょう
前回の症例は、結局、
double seronegativeのMG(重症筋無力症)だと思っていたら、
抗ガングリオシド抗体が陽性で帰ってきて、PCBの診断になりました
IVIGやステロイドパルスで治療し、
2週間後くらいには、軽快し食事摂取もできるようになりました
ステロイドはどんどん漸減し、
その後も再燃なく、経過しています
しかし、抗GM1が陽性になり、他は陰性でした
これまでの報告例では、
喉周りがやられるのは、抗GT1の報告が多いので、
本当にGBSの亜型のPCBやAOPだったかは、謎が残ります
しかし、AOPの報告例が少なすぎるので、
まだ分かっていないことも多いのだと思います
本症例は咽頭筋の急性の麻痺で、途中、頸部の筋の筋力低下が出現しました
しかし、上肢の筋力は問題ありませんでした
無理やり、臨床像から名前を付けるとすれば、
PCBとAOPの中間になるのであろうと思います
病名は人間が恣意的につけているだけなので、
病名が大事だとは思いません
大事なのは、病態です
つまり、この患者さんに何が起きているか?
の方がよっぽど重要です
それさえ、分かれば治療はできます
GBSの治療は割愛します
ギランバレー症候群のまとめ
・軽症から超重症まで、重症度に幅がある疾患
→軽症例は見逃されている可能性大
・ギランバレー症候群という鑑別をたてるなら、もう一歩、先へ
→臨床像、自己抗体、病態で分類する
・バリアントが非常に多彩なので、急性に出現した何らかの神経異常に関しては、ギランバレー症候群を鑑別にあげる
→非典型が典型くらいのつもりで
参考文献:Lancet 2016;388:717-27
up to date
NEJM 2012;366:2294-304
BRAIN and NERVE 71(6):581-587,2019
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