深夜の救急
80歳男性 主訴:吐血
今回は、勤務している慣れた病院ではなく、
慣れていない病院で働く時の対応がディスカッションのポイントです
慣れない環境下で、自分のコンディションも悪く、
患者さんのコンディションも悪いという状況です
さらに悪いことに深夜の一番眠い時間です・・・
「ユーモアは最強の武器である」という本が最近売れています
この本を読んだからといって、
ユーモアがすぐに身に付くわけではありませんが、ユーモアを意識するようになりました
ユーモアは最強の武器であると日々実感します
井上ひさしさんの言葉を思い出しますね
むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに
カンファレンスをする上で一番大事にしていることです
さて、症例に戻ると、この状況でどうやって待ちますか?
挿管しないとダメそうな状況でした
慣れない環境下での挿管は、辛いです
この症例ではABC、全てで挿管の適応がありそうですね
気道確保については、準備が8割です
こちら参照:気道管理
この病院では、この患者さんは受け入れられないようです
初期や専攻医の先生は、転院交渉したことないことがないとは思いますが、
その日はいきなりやってきます
転院でなくても、各科へのコンサルトと同じです
勤務先での限界がわかると、
目の前にいる患者さんをこのまま入院させられないことに気がつきます
そうすると、転院交渉に入ります
その際のポイントをディスカッションしてもらいました
転院交渉中の時間は、ピットフォールがたくさんあります
交渉に頭がいっぱいで、早期閉鎖に陥り診断を間違えている可能性
転院させることが目標になってしまい、患者さんの診断や治療が二の次になってしまう
(電話や紹介状を書いており、気がついたらバイタルが悪化している・・・)
転院交渉には多大なエネルギーを使います
そのため、できればバイタル管理を他の人に任せて、
自分は交渉に集中できる環境にした方が良いです
その後、ようやく転院先が見つかり、無事に転院となりました
「血を吐いた」というのが、吐血ではなく、
結果としては喀血だったという症例でした
吐血と喀血についての医学的な話も大事ですが、
この症例ではもっと大事なことを学ばせていただきました
今回は本当に修羅場のような状況でしたね
日々の研鑽で積まれた高い臨床力と適確な臨床判断と患者さんへの誠実な医療で、
救われた命だったと思います
お疲れ様でした
0 件のコメント:
コメントを投稿