2018年2月1日木曜日

ICF. 国際生活機能分類

最近、外来でフォローしていた人が高齢化している影響で、

外来から在宅になる事が多くなってきました。

入院から自宅に帰る前に、多職種カンファレンスが開かれる事が多いと思いますが、

ようやく多職種カンファレンスが楽しくなってきました。


医者になったばかりの頃は、退院調整はケースワーカーさんに丸投げでした。

指導医も丸投げしていたので、そういうものだと思っていました。

医者は病気を治すのが仕事。

治ったら、次の患者さんを治す。

病気が治った人の退院調整はMSWの仕事。

餅は餅屋の考え方。

そういう考え方のDrはまだ沢山いる気がしますが、

入院だけを診るDrはそれで困らないかもしれません。

ですが、自分が在宅も診るとなると、話は別です。

在宅は入院とは全く異なる頭で、考えなければなりません。

自分の患者がどんな環境に住んでいて、

どんな暖房器具を使っていて、

どんな人がその家族を支えてくれているのか。


病気を探す病歴聴取とはまた異なる情報取集能力が必要になります。

病気を探したり、治療が上手な人が在宅が上手という事ではありません。

在宅診療で一番重要な能力は「想像力」です。

沢山、在宅の技術はありますが、本質ではありません

患者さんの1日の生活を「具体的に」想像する事ができるかが重要です


想像できますか?


今、入院中の患者さんが自宅に帰ったとして、


朝起きてから、トイレはどうするのか、

夜に起きた場合、誰が対応するのか、

家族をどうやって呼ぶか、

歯磨きは誰がするのか、

体交は何回やるか、

オムツは何時に替えるのか、

介護者は膝が痛そうだが、病院には行っているのか、

介護者を支えているのは、誰か、

薬はどうやって取りに行くのか、


などなど


1日の生活を想像出来たら、1週間の流れを想像します

このスケジュールで本人は疲れてしまわないだろうか、

介護者はどこで一息つけるのか、

サービスが手薄な時はあるだろうか、

などなど



具体的な生活のイメージを描けないと、在宅でみていくことはできません


在宅診療は、入院診療だけでは絶対に身に付かない能力が沢山必要なので、

是非、在宅診療に行ってみることをお勧めします


入院中の患者さんは、


同じ服を着て、

同じ部屋に居て、

同じ食事を食べ、

同じリハビリをしています


患者さんの人生は、目に見えているものではありません


認知症で寝たきりで、誤嚥性肺炎になっている状況は、

その人の人生のたった1ページです

999ページを私達は知らないのです

にもかかわず、私達は患者さんの人生の終わり方を決めようとします

違和感しかありませんが、現実です

ACPが普及してくれる事を祈ります



入院管理は苦手でも、在宅は楽しい!という人もいます

天性の感覚で、在宅が上手にできる人は、問題ないと思いますが、

自分にはそんな感覚はなかったので、

必ず周到な準備をしてから、在宅に挑みます


自分が必ずしている準備が、ICFを作成することです

ICFとは国際生活機能分類のことです

今やこれなしでは、多職種カンファレンスは行えません

ICFを全て埋めてから多職種カンファレンスを開きますし、

そこで得た情報を元にどんどんup dateしていきます




私達の人生は一つしかありませんが、

在宅に行くといろんな人の人生を疑似体験出来ます

それを面白いと感じる事ができれば、在宅むきといえるでしょう



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