2018年2月2日金曜日

移動性関節炎と早期関節炎

先日、右手関節炎の腫脹、疼痛できた50歳代の男性がいました

数日の経過の急性発症の単関節炎だったので、

例によって化膿性の否定のため、血培をとって、関節穿刺して、

培養出して、細菌と結晶がない事を確認して、

レントゲンとって、抗体出して、

と諸々してロキソニンで経過を見ました


すると、1週間後には、右手関節の腫脹は治りましたが、

今度は反対側が腫れてきました

おやおや、これはもしや移動性関節炎ではないか!?

という事で、また検査追加しました

しかし移動性関節炎と付加性関節炎は有名な割に、

実はあまり鑑別が絞れないと言われているようです




あんまりこれにこだわらない方が身のためです

今回は結局、ACPA陽性で、後日、指のあつぼったさも出現してきました

早期関節炎から移動性関節炎、そして関節リウマチという流れでした

関節リウマチは教科書的には、慢性の多関節炎のカテゴリーに含まれますが、

発症した時点を見れば、急性の単関節炎のプレゼンテーションはありえます

なので、急性であっても、単関節炎であっても鑑別に入れておくべきです



関節リウマチは最近、いい薬が沢山でて、

しかも早期に治療するほど関節予後が良い事も知られてきました

そのため、早期診断が叫ばれて、診断基準も変わりました

さらに診断を早めるために、早期関節炎という概念が提唱され、

リウマチを早く見つける努力がなされています

そして関節炎ではなく、関節痛からすでに、

唾をつけておこうみたいな考え方で、CSAという概念も生まれました


まるで、出世魚です


リウマチ膠原病科の専門医によって、

将来、関節リウマチになりそうだなと判断された関節痛をCSAというようです

そしてついに関節が腫れると、早期関節炎と言われます

そして早期関節炎をフォローしていると、関節リウマチになっていく人がいます

できれば、発症してから3ヶ月以内に治療が開始された方が予後が良いようです


病気は喘息でも、片頭痛でも何でもそうですが、

雪だるま式に悪化して、悪化してから治療をしても、

なかなか治りません

リウマチも一緒です

今までは白か黒かのように、

リウマチか、リウマチじゃないかの二択でしたが、

これからはグレーが出来たイメージです

グレーの人はなるべく早く、リウマチ膠原病科に相談すべしと言われています

そばにいなければ、自分でフォローするしかないですが、

3ヶ月後フォローとかでは、時すでに遅しなので、

グレーの人は小まめにフォローが必要です









実は病気が違っても考え方はどれも似ています

病気になる前の言わば、前駆期の状態をいかにピックアップできるか

が焦点になっています

リウマチもようやくその流れに乗ってきたようです


上記の考え方は、

コテコテの関節リウマチを見る事が少なくなった今までは、

目の前に診断のつかない関節痛の人が来た時に、

どのようにフォローしていけばよいかという

道標になる気がします


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