内科医はめったに出会わない主訴です
でもたまに眼科から紹介になったり、救急で出会います
ではいったい何に注意して診察すればよいのでしょうか
ポイントは失明する疾患、命の危険がある疾患を見逃さないことです
甲状腺眼症はすぐにではありませんが、放っておくと、重症の場合、
視力低下してきます
眼窩蜂窩織炎や海面静脈洞内に破裂した動脈瘤、副鼻腔炎の波及による海面静脈静脈洞血栓症などは、放置すると、命の危険があります
なので診察も大事ですが、積極的に画像評価に進むことが重要です
画像ではいったいどこに注目するかというと、
上眼瞼の腫脹の場合は、涙腺が腫れているのか、それとも上眼瞼挙筋が腫れているのか
を確認します
眼球全体の突出であれば、眼球に付着する外眼筋に注目します
甲状腺眼症の場合は、下直筋が腫れてくることが多いです
活動性が高い場合はSTIRでhighになります
甲状腺眼症はステロイドの適応がある人もいるので、
バセドウ病で眼が飛び出ている人を放置してはいけません
しかるべき専門家に紹介しましょう
放射線や手術の治療のオプションがあります
画像では他に、眼窩内の腫瘤や炎症がないかも確認します
もちろん、MRIのほうがよいですが、すぐとれなければCTからでもよいです
あとは眼静脈のうっ滞所見、海面静脈洞内、上眼窩裂周囲、副鼻腔を見ます
血流の評価やトロサハントのような疾患を探すのであれば、出来れば造影がよいです
まとめると、眼球突出の場合、
致死的な疾患を除外して、頻度が多い甲状腺眼症をしっかり認識する
甲状腺眼症にはたくさんの治療オプションがあることを覚えておくことが重要です
臨床のパールや自分なりの考えをノートにまとめました。自分のポケットの中だけでなく、皆様にもみていただき、ご意見ご感想を頂ければ嬉しいです。実臨床への適応は自己責任でお願いします。
2017年7月23日日曜日
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