2017年7月22日土曜日

単、少関節炎のスマートな診断

なんてあるわけありません

愚直に病歴と身体所見をしっかりとることが重要です

でもただ漠然と病歴をとっても意味がないので、

ポイントは

  • ちょっと前に何をしていたか
  • 既往にならない既往を探す
です。

ちょっと前に感染でも、自己免疫でも、何かしらの誘引があることが多いです
疾患によって、誘引が異なるので、鑑別疾患を意識して、
何かの暴露がなかったか聞き出します

そして既往にならないような既往を探ります
つまりカルテの既往歴の所に書かれないような既往です

例えば、
  • 爪がボロボロになりやすい
  • 皮膚科にかかったことがあるけど、もうかかっていない
  • 日の光で焼けやすく、痛みがでる
  • 口内炎がよくでる
  • 結節性紅斑を疑わせるような、足の皮疹があった
  • たまに赤い便が出たり、下痢や腹痛がある
  • 腰が若い時から痛い
といったものです

病名にはなりにくく、大きな病気はないですか?

と聞いても出てきません

ヒントは過去カルテを見直すことです

たまに皮膚科受診歴があったり、眼科受診歴があったりすることもあります




急性の単関節炎の実際の考え方は、化膿性関節炎の除外が全てです
しかし頻度が多いのは痛風発作なので、痛風ならいいんだけどなあ、
と考えながら病歴をとります

難しいのは、化膿性っぽくはないけど、結晶誘発っぽくもない時です

その時に、上記を思い出して下さい


次は診察です

痛風はシステム1で一発診断できることが多いです

単関節炎で、足指の第1MTPなら、痛風でしょう

他の関節炎の場合でも、例えば耳介に痛風結節らしきものがあれば、
慢性の高尿酸血症がありそうだなとすぐにわかります

でもお酒は飲みませんなんて言われても、動じる必要はありません

次は皮膚と爪を見ます

皮膚では、乾癬や活動性のアトピーを探します

乾癬もアトピーも皮膚の細胞のターンオーバーが亢進するため、尿酸値が上昇します

いわゆる二次性の高尿酸血症の原因を探ればいいのです

他には、血液腫瘍や腎不全、薬が有名です

システム1で診断できなければ、システム2で全身くまなく診察しましょう



繰り返しにはなりますが、大事なのは化膿性関節炎を見逃さないことです

痛風っぽくても、原則、禁忌がなければ関節は刺しましょう


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