解離ほどではありませんが、診断が難しい疾患の1つです
診断が難しい理由は、症状が非特異的であり、
軽症から重症まで幅広いバリエーションがあるためです
国試に出るような、整形外科術後、初めて歩き出したら、
倒れてショックバイタル
とかなら、誰も迷いません
実際は、外来に咳が続くという主訴できて、
咳止めで様子を見ていたら、他科でたまたま造影CTが撮られて、
肺塞栓だったとか
失神が主訴できて、肺塞栓だったとか、
20歳の男性が、極度の低酸素血症できたら、
肺塞栓だったとか
(後で問診すると、車の中で三日間ずっとゲームしていたらしい)
原因がわからない喘鳴で、肺塞栓だったとか
非典型的なプレゼンテーションの肺塞栓をいかにピックアップするかというのは、
臨床家にとって非常にチャレンジングな問題です
ですが今回のまとめは、診断側ではなく、
診断後の治療です
肺塞栓は思いついてしまえば、診断まで悩むことはありません
流れは一直線です
病歴から疑えば、首をみて、
頸静脈がしっかり張っていて、
胸の音がきれいで、レントゲンがきれいで、低酸素と頻脈なら、
だいたい肺塞栓です
緊張性気胸と心タンポはレントゲンやエコーで除外できます
後は血液検査でトロポニンとBNPや凝固と一応、Dダイマーとって、
造影CTへいって、診断を確定させます
大事なのは、循環動態が破綻している場合、CTにいけない場合があるので、
その場合は、肺塞栓らしさが、超音波で高まれば、
ヘパリンうって、循環器Dr callです
Massiveな肺塞栓はいつ心臓止まるかわかりません
止まったらPCPSなので
早めに循環器を呼ぶことをお勧めします
治療の戦略で大事なのは、
循環動態が破綻しているどうかと、
右室負荷初見があるかどうかです
循環動態が破綻していれば、血栓溶解が1st choiceです
循環動態が破綻していなければ、抗凝固を開始して様子を見ますが、
慎重に経過をみて、循環動態が破綻した場合は、
すぐに血栓溶解ができる準備をしておきます
血栓溶解ができない症例の場合は、カテーテルで吸引や壊しに行きます
肺塞栓はぐるぐると悪循環に陥る疾患なので、
悪循環を断ち切らないといけません
悪循環を断ち切るためには、根元から抑えるしかありません
それ以外は全て対処療法的な感じになるので、
できるだけ早期に血栓が溶けると、この悪循環を止められます
なので早期診断、早期治療が大事な疾患です