臨床のパールや自分なりの考えをノートにまとめました。自分のポケットの中だけでなく、皆様にもみていただき、ご意見ご感想を頂ければ嬉しいです。実臨床への適応は自己責任でお願いします。
2022年5月26日木曜日
2022年5月22日日曜日
朝カンファレンス 〜よく診断できました〜
確かにな〜という感じです
勉強になりました
まとめ
・発熱外来での検査のハードルは高い
→重症感を見極められるセンスを磨く必要がある
・感染性腸炎を鑑別にあげたら、部位は?菌は?を考える
→帰宅時は必ず、「虫垂炎の可能性について」のコメントを添えて帰す
・虫垂炎は非典型こそ典型
→典型的な経過や所見でないからといって、除外できるものではない
2022年5月21日土曜日
NEJM 〜最終診断は身近なあの疾患!〜
ということで・・・・
結節性多発動脈炎で免疫抑制剤使用中の方の慢性、再発性の肺炎の症例でした
膠原病の増悪や結核、途中で出てきたカンジダ、MTXによる薬剤性、
経過からの過敏性肺臓炎などは丁寧に除外されていく過程がみれてよかったです
commonな疾患のuncommonなプレゼンテーションでした
誤嚥性肺炎もこういうパターンで来ることを再認識しました
ですが、色々ツッコみたくなるプラクティスもありましたね
・グラム染色しなさすぎ → 当初からしていれば、ここまでこじれなかったのでは?
・LVFX入れすぎ → 結核の診断をわかりにくくしている
・検査に踏み回されすぎ → βDグルカンやガラクトマンナンに振り回されていました
自分達の日常のプラクティスはMGHにも負けてないなと思いました 笑
まとめ
・膠原病の基礎疾患がある人の症状増悪の考え方
→①膠原病増悪、②治療関連、③その他
・再発する肺炎の考え方
→①過敏性肺臓炎、②partial treatmentの結核、③誤嚥性肺炎
・誤嚥性肺炎の原因
→①嚥下機能低下、②意識レベル低下(咳反射低下)、③GERD
まずは薬を疑うことから始める:今回はオピオイド
2022年5月20日金曜日
腰痛のアプローチをup dateしよう
2022年5月15日日曜日
上手な脳の使い方 〜あなたが最高のパフォーマンスを発揮するために〜
本日の症例はOP(器質化肺炎)でPSL6mg内服中のADL フルな70歳女性でした
2日前前からの微熱を主訴に来院され、前日にコロナ検査陰性でしたが、
微熱が続くため来院されました
結果的には、OPの増悪として対応された一例でした
発熱外来の特殊性
この時代、何か症状があれば発熱外来(つまりPPE着用や電話問診)でみることになります
発熱外来では診療スタイルがだいぶ変わります
発熱外来を担当していない人のために「発熱外来の特殊性」を列挙してみます
・トリアージが非常に重要
・物理的にも精神的にもアクセスしにくい(バイタル取りに行くのも一手間かかる)
・他の緊急性が高い疾患が紛れていることがよくある
→SAH、尿路結石嵌頓による敗血症性ショック、PCP、大動脈解離など実際にありました
・電話越しに重症感を把握しないといけない
・顔が見えないので関係性を作りにくい
・だいぶ待たされている症例が多く、相手がイライラしている
・コロナじゃなければ、熱源は明日以降でもいいか・・・という邪まな考えが浮かびやすい
発熱外来では無意識に
頭の中のワーキングスペースの半分がコロナかどうか?で埋まっています
脳で考えられることにはキャパがあります
今まではコロナ以外のことに100%力を注げていました
つまり、純粋に熱源はどこか?という問題だけを考えることができました
今はコロナかどうかに50%の力を注いでいる状況です
コロナの重症化リスクはどうか?
コロナを疑うような曝露歴はあるか?
コロナを見逃した時のインパクトはどうか?
ワクチンはうったか?
などを考え、問診をとらなければなりません
脳のエネルギーとともに時間も費やすことになります
そのため、50%の力と時間で熱源を探すことになります
さらに感染対策や感染の不安、相手のイライラ、慣れない電話での問診によって診断力が落ちます
おそらく、普段の30%くらいの力で熱源を探している状況だと思っています
そんな状況ですので、当たり前ですが診断エラーが増えます
診断エラーを防ぐための第一歩は、
まずは発熱外来という診療スタイルは、危ないという認識が必要です
たまには、臨床以外のこともお話します
自分の脳をうまく使う方法、
自分の最高のパフォーマスで働く方法です
参考文献:最高の脳で働く方法 デイビッド・ロック
「自分は要領が悪い」
「患者さんが増えてくると、キャパオーバーになる」
「仕事が終わらない」
そういった会話は、夜の医局では日常茶飯事です
自分もそうでした
夜遅くまでカルテを書いている自分に、
よくわからない優越感や満足感に浸っていた気がします
ですが、できれば要領よく働きたいとずっと思っていました
今では自分なりに工夫して、
要領がわかってきましたので、働き方のヒントをお伝えします
「医師の仕事は考えることではありません。
judgment(決断)ですよ。」 矢野晴美 先生
自分が研修医の時に言われた言葉です
この言葉の通り、医師の仕事は判断や決断をすることです
そして、決断するということは非常に脳のエネルギーを使う作業です
前頭前皮質は周囲の世界と自分の意識の関わりを司る中心的な部分です
ここで意思決定と問題解決を行なっています
前頭前皮質では物事を深く考え、何かを判断や決断する時に使われます
ただし、無限に考えることはできません
脳にはキャパがあります
この本では舞台というメタファーで語られています
前頭前皮質を役者たちが芝居をする小劇場の舞台に見立てるとわかりやすいです
何か考えが生じた時には、頭の中(舞台)に役者が登場します
例えば、PHSの電話でもいいでしょう
電話に出て何かしらの問題を聞かなければなりません
そうなると、脳内(舞台)ではPHSにかかってきた問題(役者)にスポットライトが当たってしまいます
今まで書いていたカルテにはスポットライトが当たらなくなり、
手を止めなければなりません
舞台には他にもたくさんの役者(問題)がいます
・10分前にかかってきた薬変更の依頼
・5分前にかかってきた指示変更の依頼
・今書いていたカルテの内容
・10分後に患者さんとの面談の約束
そして舞台の広さには限りがあります
舞台にあげられる役者にも限りがあります
そのため、誰(どの問題)を舞台に挙げるか、
記憶に留めておくべきかを考えなければなりませんし、
舞台に上がったら、どの役者(問題)にスポットライトを当てるかを判断せねばなりません
スポットライトを当てるというのは、その問題を解決・判断するという作業です
全ての役者にスポットライトを当てることはできません
問題は一つずつしか解決できませんよね?
これが優先順位をつけるということです
実は脳の中で最も優先すべきは優先順位をつけるということなのです
そして優先順位をつけることこそが、最もエネルギーを使う作業なのです
なので、研修医のみなさんがまずやる作業は、
①今日一日の仕事を書き出す
②時系列に沿って並べる
③優先順位をつける
となります
そして、それを紙に書き出すという作業が重要です
頭の中に覚えておくだけでもエネルギーが必要になるからです
頭の外に書き留めておけば、脳のエネルギーを温存できます
脳が使えるエネルギーには限りがあります
街中で車を運転する時、急発進しては急ブレーキで止まるような
ガソリンの無駄使いをする運転は誰もしませんよね
全然、エコじゃないです
ですが、脳のエネルギーは知らない間にそのように使っています
脳のエネルギーを上手に使うためには、
・優れた意思決定を行う能力(診断やマネージメント)は節約すべき貴重なリソースであると考えましょう
無限に適切な判断ができるわけではありません
・エネルギーを消費する優先順位付けを最優先にします
自分の仕事の中で何を優先させるかを決めることが重要です
救急外来のリーダーになった時は自分は患者さんを直接みるのではなく、
救急外来をまわすことを最優先とします
・最も注意を必要とする場面では、エネルギーが残っている時間にしましょう
その時がわかっているのであれば、エネルギーを温存するか休んでおきましょう
・思考モード(エネルギー消費激しい)と作業モード(書類作業)の時間を分けましょう
・考えられる舞台は狭く、情報が多すぎると脳が処理できなくなります
教育者は注意しましょう
・舞台にあげやすい役者(目に入った仕事)ではなく、最も重要な役者を舞台にあげることを心がけましょう
・一つの意思決定・判断が終わらなければ、次の操作を開始できません
2つの意識的な知的作業を同時にすることはできません(二重課題干渉)
・マルチタスクは一番やってはいけません
認知能力は8歳児並に低下するといわれています
・脳に警戒をさせてはいけません(SNSの通知の常時オン状態)
複数の事柄に注意が分散することは、脳への負担が大きいのです
一方で何も考えずに物事を進めることができること「自動操縦モード」に入っている場合もあります
これは脳のエネルギーを使わず行えるルーティン動作です
前頭前皮質では主に意思決定や判断を行い、
ルーティン動作(反射や習慣といったりする)は大脳基底核で行われています
大脳基底核はパターンを旺盛に取り込み、ルーティン動作を3回繰り返すだけで、
長期増強プロセスが始まるといわれています
車の運転を考えるとわかりやすいのではないでしょうか
見知らぬ場所での運転は疲れますよね
それは前頭前皮質が働いているからです
一方、通い慣れた通勤の道の運転は疲れませんよね
それは大脳基底核が働いているからです
無意識に前頭前皮質から大脳基底核へのバトンタッチが行われます
そうなれば、注意を払うことなく、こなすことができるようになります
上級医が一度に多くのことをしているように見えるのは、
大脳基底核のルーティン動作をうまく使っているからです
救急外来はまさにです
救急外来で出会う主訴の多くは、すでに何度も経験しています
上級医の頭の中では、パターン認識されており、
何も考えずに反射的に動けるようにトレーニングされています
研修医のみなさんは、
まずはこの状態を目標にするのが良いのではないでしょうか
自分も2年目にたくさんの救急患者さんを見たときに、この状態になった気がします
勘違いしないで欲しいのは、これは悪い状況ではありません
何も考えずに診療しているわけではありません
むしろ逆です
もっと考えられるようになったのです
当たり前にやることにエネルギーは使わず、
さらに一歩先のことを考えるためには、必要な成長過程です
具体的に自分が実践している働き方
・今日行う仕事の流れを仕事行く前に確認
・病院に着いたら、朝一番に仕事の内容を時系列に沿って書き出す
・優先度が高い仕事をチェックする
・メールは見た瞬間に返す(2回開くのは時間の無駄)
・診察したらすぐにカルテを書く(その時間込みで回診する)
・頭を使わないでできる書類作業は、午前中にはしない(もったいない)
・本当に集中したい時は話しかけれない場所で行う(話しかけられると作業が中断して効率が悪い)
例えば、透析の血液データチェック、外来予習
・マルチタスクはせず、一つずつ終わらせる
・テンプレを有効利用する
主訴や処置ごとに作っておく
・家族との次回の面談日は、面談した時に決めておく
(また電話するのがもったいない)
・カルテの検索機能を上手に使う(カルテ種や検索ワードを駆使)
・明日の仕事を前日の寝る前に確認
いかがでしたでしょうか?
最初のうちは、働くことで無我夢中だと思います
いつの間にか時が過ぎて、疲れきった自分がいるのではないしょうか?
ですが脳の使い方を覚えると、
パフォーマンスはアップし、
皆さんの本領を発揮できます
意識すべきは、
脳のエネルギーを節約することです
仕事前に仕事の予習をして、
優先順位を決めて、
仕事中はマルチタスクをやめて、
覚えなくていいことは紙に書いて、
集中する時は集中します
決断や判断、優先順位を決めることに全精力を使えるようにします
どうしてかというと…
医師の仕事は決断することだからです
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