2021年6月29日火曜日

アミロイドーシス 〜という名のパズル〜

最近、アミロイドーシスが流行っているので、昔まとめたスライドを載せておきます
7年前のスライドなので、情報としては古いです

アミロイドーシスを診断する心意気みたいなものを感じ取っていただければ幸いです
























老人性のATTRの心アミロイドーシスは以前は治療はなかったが、
2018年にトランスサイレチン四量体安定化薬のTafmidisが予後改善効果が認められた




ATTRwt(野生型)、ATTRRv(遺伝子変異)のどちらにも
トランスサイレチン四量体安定化薬のTafmidisは効果ある










アミロイドーシスのつらいところは、起立性低血圧が重篤になりやすいことです
ベッドアップだけで失神してしまう人もいました







ACNES まとめ

 15歳 男性 主訴:腹痛

Profile:生来健康、サッカー部

現病歴:1ヶ月前から右下腹部が痛いことがあったが自然に軽快していた

    サッカーの試合中にスローインをしたくらいから、右下腹部痛が増強

    歩いても痛みが強く、救急外来受診

既往:なし、内服:なし


バイタル 発熱なし 

見た目 お腹を痛そうに歩く

右下腹部に筋性防御あり 指一本で痛みが誘発される

血液検査 炎症反応上昇なし

CT  腫大した虫垂は確認できず その他、腹痛の原因となるものはなし


外科Drにコンサルト、虫垂炎疑いで入院

入院翌日、血液検査してもやはり炎症は上がっていない

腹部所見は右下腹部に限局した痛みが持続している


診断は???

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はい、そうです

ACNESです


今では常識ですかね? 笑


カーネット徴候してないの?

と聞こえてきそうです


はい、翌日しました

陽性でした


キシロカインを打ったら、痛みが0になりました

打った自分もですが、患者さん本人が一番驚いていました


この症例は後期研修医の時に自分がはじめて経験したACNES症例です


まだその時は有名ではありませんでしたので、ACNESという病気を知りませんでした

ACNESを知らない自分にとっては、この症例の腹部所見は虫垂炎にしかみえませんでした



ACNESは知っていればすぐに診断できるけど、

知らないとドツボにハマる疾患の一つです


そういった他の疾患はCDS(クラウンデンス症候群)やアヘンバッハ、声帯機能不全などがあります


ということで、ACNESまとめです










歩き方は虫垂炎そっくりです



手術後から数十年痛みがあったという人もいます
手術で切ったせい、と諦めている人もいます





この病気を疑うコツは、本人に指差してもらうことです

痛い場所を指一本で教えてください

と聞いて、すんなりここです


と言えることができれば、ACNESっぽいです


他の内臓痛の場合は、え〜〜っと・・・みたいな感じで探してくれますが、
指一本では伝えることができません


ワンフィンガーサインが陽性であれば、次にやることはカーネット徴候です



実際、3がある人はほとんどいません




これはとても大事で、局所麻酔が中途半端に効いてしまう可能性があるので、
慎重に痛みの部位を探ります





子供の頃に虫垂炎と診断されて手術されたけど、
結局、虫垂炎はなかったという経験や既往のある人の多くはACNESと思われます





レッドフラグは当たり前ですが、ちゃんと確認しましょう








患者さんの多くはお腹の痛みがまさか局所麻酔でよくなると思っていないので、
半信半疑で局所麻酔に同意してくれます

ですが、劇的に効果があるので、
2人に1人くらい「魔法みたいですね!」と言ってくれます 笑




ですが、生食が効く人もいます
だからといって除外できません

ファッシアのリリースになっているのかもしれません






Up to dateのフローチャートです





なんといっても帯状疱疹ですね
キシロカイン打って治ったとしても、後日皮疹が出たら帯状疱疹だと思います


と伝えておくことが重要です


この他にも皮下組織に腫瘍が転移していて、ACNESっぽい症状の人もいました
その人もキシロカインで効果はありましたが、
すぐに再燃してしまいました


やはり頑固なACNESをみたら、他の疾患の合併を疑った方が良いと思います

経験上は半分以上の人は一回の局所麻酔で軽快します
10人に一人くらい頑固な痛みの人がいます






他の症例もみてみましょう













外側のこともあります


鼠径部の人の主訴は股関節痛でした






もうちょっと太めの神経の絞扼になると、局所麻酔というよりはリリースの適応になります













神経が出てくる場所が大事です






ACNESで悩ましいのは、実は診断ではありません

診断は容易です



一番悩ましいのは、他の疾患が否定され、
ANCESの診断が確定しているものの、
何度も再発する人です

局所麻酔やステロイドの局所注射を数回行い、
改善なければup to dateでは手術を推奨されています


ですが、ACNESの手術経験をされたことのある外科の先生がほとんどいないので、
誰に相談して良いかわからないのが、辛いところです・・・


自然軽快することもある良性の疾患なので、手術のタイミングも難しいです


気腫性骨髄炎

 

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