本当はもう少し鑑別になる菌がいるのですが、多くはこの二つです
ヘリコバクターシネジーか、キャンピロです
キャンピロはジェジェニとフィータスで対応が変わるので、
キャンピロまで同定出来たら、外注検査でその後を同定してもらいましょう
血培から、らせん菌が検出されるような状況を感染症の三角形で考えてみます
まずは三角形の真ん中は患者背景です
背景の時に考えるコツとしては、
体の内なる環境(免疫状態)と体の外の環境(暴露)を分けて考えることです
こんなへんてこな菌が血液から検出されるのだから、
背景に免疫不全がありそうだと思いがちですが、
そうでもありません
健常者でも一時的にキャンピロ(ジェジェニ)腸炎では血培陽性となることが多いです
しかし、培養陽性が判明した時点で、症状は軽快していることが多く、
ジェジェニとわかっていれば、治療不要というのが、あり得る選択です
ヘリコバクターシネジーも健常者で菌血症が起こり得ます
ペットのハムスターや犬との濃厚接触者は注意です
家族中で集団シネジー感染というのが、記憶に新しいですね
キャンピロは免疫不全者ももちろん菌血症を起こしますが、
健常人とはプレゼンテーションが異なります
健常人で菌血症になる時は、たいてい腸炎スタートですが、
免疫不全者の場合は、そうとも限らないのです
腸炎症状は乏しいことも多いので、お腹にばかり注目する必要はありません
むしろ、蜂窩織炎や関節炎、中枢神経感染、IEなどを合併してないかを注目すべきです
キャンピロの中でもfetusは侵襲性が強く、人工物が入っている患者さんでは、
人工物感染の可能性を検討した方が良いでしょう
また感染性の動脈瘤を作ることがあり、
キャンピロのフィータスの菌血症患者が急変した時は、
敗血症性ショックよりも大動脈瘤破裂に伴う出血性ショックを考えなければなりません
治療は菌それぞれで異なり、その時の状況でも異なるので、
一概に決めることは難しいですが、
キャンピロだとわかれば、アンピシリン + ゲンタマイシンあたりが
エキスパートの先生からすると、落とし所のようです
そして同定されれば、de escalationします