2025年8月17日日曜日

パルボウイルスの皮疹 〜ウイルス界の梅毒〜

パルボウイルスが昨年から今年にかけて流行しておりますね

パルボウイルスは大人がかかると関節炎や皮疹が主訴で病院受診されることもあります

そうなると、皮疹から梅毒や風疹、EBVなどの感染症や
膠原病(リウマチ、SLE)が鑑別となり、
焦って色んな検査が提出されている状況をたまに見かけます


銃弾爆撃的に検査がされた中でパルボウイルスの抗体が出ていれば、
まだ良いですが、抗体が提出されていないと、
ANA陽性や補体低下だけ拾ってしまい、SLE?となって、
ドツボにハマってしまう状況があります



ですが、流行状況やsick contact、皮疹から
パルボだけを狙って抗体を提出して、
パルボの一発診断ができれば、一番良いと思いませんか?



皮疹を見れば、何のウイルスか鑑別できます

ウイルス感染症に伴う発疹症のことをParaviral eruputionと呼んでいる論文もあります


Paraviral eruputionは、ウイルス側と皮疹側の両方の知識があると、
鑑別が絞りやすくなります


その中でもパルボウイルスはParaviral eruputionの代表です

パルボが面白いのは、その皮疹が多彩なことです



パルボウイルスのゲシュタルトをまずは知っておく必要があります

パルボは第一相(ウイルス血症)と第二相(免疫反応)で、
プレゼンテーションが異なります


第一相があって、第二相がくればわかりやすいですが、
どちらかが欠けていることもあります


特に第二相の関節炎や皮疹、浮腫を主訴に
初診外来にこられた場合は、診断が難しくなります



ウイルス感染症は子どもと大人でプレゼンテーションが異なる時があります

パルボや手足口病、水痘、麻疹、EBVなど
大人になって初感染した場合、子どもよりも強い症状が出やすいです


そのため、子どもは感染しても気が付かない程度で
sick contactがはっきりしなくても、子どもとの接触歴があるだけで、
かなり怪しい状況になります


パルボをもらう状況は家庭内や職場(保育園)であり、
圧倒的に子どもとの接触歴が重要です




血液検査でパルボを疑う場合は網状赤血球に注目します

貧血まではこなくても、網状赤血球だけ低下するパターンもあります


網状赤血球の値が極端に低くなっていると、
パルボかな?と疑ったりします


また血小板や好中球も下がる人が4-5人に1人くらいいます


皮疹の中では、紫斑が出ることが多いですが、
血小板減少に起因する紫斑ではないことがほとんどです

そこまで血小板が顕著に下がることはレアです



パルボの皮疹は多彩すぎて、何でもありかと思っていましたが、
意外にパターンがありました

ここでも子どもと大人で皮疹のタイプが異なります


大人の場合は、有名なリンゴ病の名前の由来の頬の紅斑は少なく、
大人で多いのは、手袋靴下型に広がる皮疹です

PPGSSというパターンです



自分もパルボのかかったことがありますが、PPGSSが出ました

痒くて痛くて、気持ち悪い皮疹でした 笑



PPGSSを知っておいた方がいい理由があります

「皮疹が出た時はパルボの感染力はない」
覚えている人もおられると思います


ですが、PPGSSの皮疹が出る時期は、
ウイルス血症の時期であり、感染力があります


そのため、一概にパルボの皮疹の時期は感染力はないとは言えませんので、
ご注意ください


PPGSSともう一つ、屈曲周囲病変パターンというのがあります

なぜか、関節の屈曲側に皮疹が出現し、
これもインプレッシブな皮疹となります


知らないと、なぜこんな場所に・・・となりますが、
知っていると、あーパルボの屈曲周囲パターンのやつですね


と一発診断できます




大人では4つの皮疹パターンに分けられるんじゃないか?という論文もありますが、

4つ以外にも多彩な皮疹を呈するのがパルボです

なので、基本の4つを抑えつつ、実は何でもありだよね
と覚えておきましょう



パルボは関節炎、皮疹、発熱、肝障害、髄膜炎、
血球減少など多彩なプレゼンテーションを呈します


個人的にはウイルス界の梅毒的存在だと思っています


だからこそ、このパルボを病歴や身体所見で診断できるといいですよね



誤診を防ぐため、多くの検査を出してでも、
診断できればいいんだ!という時代は終わりました


最近は正確性、迅速性、効率性、患者中心性、公平性を含めて
診断の質が望ましい時代になっています

いわゆるdiagnostic  excellenceが重視され始めています


誤診した症例を振り返ることはよくあると思いますが、
診断できた症例もプロセスを振り返る必要があります


検査は出し過ぎではないか?
病歴と診察で診断できたのではないか?
時間をかけすぎたのではないか?
患者さんにちゃんと説明して診断プロセスを辿ったのか?
・・・



diagnostic  excellenceを達成するためには、
診断能力を研ぎ澄ませなければなりません

日々勉強ですね


 

2025年8月14日木曜日

カタトニアに出会ったら

今回の文章は資料をchat GPTに読み込ませて、Dr noteの作者風に原本を作らせ、

若干の手直しを行なった程度ですので、いつもとテイストがやや異なります 


いつもと違った感じをお楽しみください 笑



序章:

「もし、あなたの前で時間が止まったら」


ある日、病棟でのこと

いつもは落ち着いていた患者さんが、突然、動かなくなった


呼びかけても答えない

目は開いているけれど、何かを見ているわけではない

ただ、そこに「いる」だけ


――そんな光景に出会ったことはありますか?


それが、カタトニアの世界です


カタトニアという言葉を聞いて、みなさんはどんなイメージを持ちますか?


精神科の病気? 珍しい症候群? 

あるいは名前だけは知っている状況?でしょうか


実はカタトニアは私たちの臨床でもっとも「見逃されてきた」症候群のひとつです


ICUで、精神科で、救急で――あらゆる現場に潜んでいます





第1章:カタトニアとは? ― その歴史と定義


◆ 歴史は19世紀から始まる


カタトニア(catatonia)は、

1874年、ドイツの精神科医Kahlbaumが初めて提唱しました


彼は患者の独特な運動症状――動かない、奇妙な姿勢を保つ、反響言語や反響動作など――に注目し、それを一つの症候群としてまとめました


その後、KraepelinBleulerが統合失調症の概念を広げる中で、

カタトニアは「統合失調症の一型」として扱われるようになりました


しかし、20世紀後半になると、その考え方は見直されます


なぜなら、カタトニアは統合失調症だけでなく、

双極性障害やうつ病、さらには身体疾患でも起こることがわかってきたからです



◆ DSM-5での位置づけ


最新のDSM-5(2013年)では、カタトニアは「統合失調症のサブタイプ」ではなく、「独立した臨床的特徴」として再定義されました


つまり、カタトニアは診断名ではなく、

さまざまな病気に付随する「症候群」なのです


DSM-5によると、カタトニアは以下の12症状のうち3つ以上がある場合に診断します:

昏迷(stupor)

カタレプシー(catalepsy)

蝋様屈曲(waxy flexibility)

無言(mutism)

拒絶症(negativism)

姿勢保持(posturing)

常同運動(stereotypy)

反響言語(echolalia)

反響動作(echopraxia)

その他、興奮やグリマス(顔のしかめ)など


これを読むと、確かに「精神科の症状」という印象を持つかもしれません


しかし、次章でお話しするように、

カタトニアは精神科の枠を超えた「全身の症候群」なのです



 第2章:カタトニアを見抜く眼 ― Bush-Francisスケール



カタトニアを診断するには、「勘」だけでは足りません


大切なのは、観察の目と評価ツールです





カタトニアの診断は、BFCRSやICD11、DSM 5TRなどがあります

その中でも、世界で広く使われているのがBush-Francis Catatonia Rating Scale(BFCRS)です



このスケールは、カタトニアを「23項目」で評価します


一見、難しそうに思えるかもしれませんが、

非常に臨床的で、観察ベースの評価なのです



◆ Bush-Francisスケールの主要項目


たとえば、次のような項目があります


1. 興奮(Excitement)

― 落ち着かず、意味のない運動をし続ける。

→ 0点なら「なし」、3点なら「終始、狂乱的な動き」


2. 無動・昏迷(Immobility/Stupor)

― 動かない、反応しない


3. 無言(Mutism)

― ほとんど話さない、全く話さない


4. 凝視(Staring)

― 目が一点に固定されている


5. 姿勢保持(Posturing/Catalepsy)

― 奇妙な姿勢を長時間保つ


6. グリマス(Grimacing)

― 変な顔をする、しかめ面を続ける


7. 反響動作・反響言語(Echopraxia/Echolalia)

― 医師の動きや言葉をそのまま真似する



…などなど、全部で23項目

聞き慣れない用語ではありますが、内容は大したものではありません


「あ、これ、日常診療で見たことある!」という症状ばかりです




◆ どうやってスクリーニングするの?


「カタトニアかも?」と思ったら、まずは簡単に確認できるサインがあります


例えば――

呼びかけても動かない(昏迷)

話しかけても反応しない(無言)

蝋のように手足が曲がる(waxy flexibility)


このうち2つ以上があれば、カタトニアを疑うべきです


実際、Bush-Francisスケールでも、項目1~14の中で3つ以上陽性なら、

カタトニアの可能性ありとされます




◆ 見逃さないためのコツ


カタトニアは「うつ」「せん妄」「薬の副作用」に紛れやすいです



たとえば、うつ病で話さない患者さんを「うつのせい」と思い込むと、見逃します


ですが、arm dropをしようと手を持って動かそうとしたとき、

蝋のように抵抗しながら動いたら――それはカタトニアかもしれません



ここでちょっと想像してください


あなたは病棟で、朝の回診をしている

患者さんはベッドに座っているけれど、全く動かない

「おはようございます」と声をかけても、反応しない

無言、凝視、そして姿勢保持


――そのとき、あなたの心の中に「カタトニア」という言葉が浮かべば、

その患者さんの命を救えるかもしれません



 第3章:カタトニアを引き起こすもの ― 背景にある病気たち


カタトニアは、それ自体が独立した疾患ではありません


「症候群」つまり、さまざまな病気の影に隠れて現れる「サイン」です

では、どんな病気がカタトニアを起こすのでしょうか



◆ かつては「統合失調症の病気」だった


19世紀から20世紀にかけて、カタトニアは統合失調症の一型とされていました

KraepelinやBleulerの影響で、「カタトニア=統合失調症」というイメージが長く続いたのです


実際、統合失調症にカタトニアを合併することは少なくありません


しかし、現代の研究はカタトニアが統合失調症だけのものではないことを示しました


むしろ、統合失調症よりも双極性障害やうつ病で多いとも言われています




◆ 精神疾患に伴うカタトニア


代表的なのは次の2つです:

1. 双極性障害(躁うつ病)

特にうつ状態や混合状態で、カタトニアが出やすいと言われます

患者は動かず、話さず、食べない

一見すると「重いうつ病」ですが、実はカタトニアのことがあります


2. うつ病

精神運動制止が強いとき、カタトニアと区別が難しい場合があります

しかし、姿勢保持や反響言語があれば、うつではなくカタトニアです



◆ 身体疾患や薬剤によるカタトニア


ここが重要です


カタトニアは精神科の病気に限らないのです


自己免疫性脳炎(特にNMDA受容体脳炎)

→ 若い女性で多い

発熱、けいれん、精神症状に続き、カタトニア様の状態になることがあります


感染症(脳炎、敗血症など)

→ 脳の炎症や代謝異常で起こることがあります


代謝・電解質異常

→ 高カルシウム血症、低ナトリウム血症などでも報告あり


薬剤性

→ 抗精神病薬による悪性症候群(NMS)はカタトニアとオーバーラップします

実際、DSM-5では「悪性カタトニア」という概念もあります



◆ ICUでのカタトニア


集中治療の現場でカタトニアを見ることは、実は少なくありません


人工呼吸器管理中のせん妄? と思ったら、

実はカタトニアだったというケースもあります


Catatonia in the ICU: an important and underdiagnosed cause of altered mental status. a case series and review of the literature:Crit Care Med . 2014 Mar;42(3):e234-41.


A Case of Catatonia in the ICU Am J Respir Crit Care Med 2024;209:A5597




鎮静薬の影響や重症感染症、代謝障害、薬の中断が背景にあり、

カタトニアが起こりやすい状況が揃っています



もしあなたがICU医なら、こう考えてください:


「反応が鈍い、でも単なる鎮静の影響ではない・・・」


そんなときは、カタトニアを疑う視点を持つことが命を救うカギです




 第4章:治療 ― ベンゾジアゼピンとECT


「カタトニアを見つけたら、どうする?」


これは臨床現場で、非常に大切な問いです


なぜなら、カタトニアは「治る」症候群だからです

ただし、適切な治療をすれば――です



◆ 第一歩は「ロラゼパム試験」


カタトニアを疑ったら、

まず試すのがロラゼパム試験(Lorazepam challenge test)です


やり方はシンプル:

ロラゼパム1~2mgを静注し、10分~15分後に症状が改善するかを見る


反応があれば → カタトニアらしさUP

           そのままベンゾジアゼピン治療を続けます


反応がなければ → 追加投与(1時間後にもう1~2mg)、

           それでもダメなら次のステップを考えます


驚くほど劇的に改善することがあります


今まで動かなかった患者が、数分後に「お水が飲みたい」と言う――

そんな瞬間が来るかもしれません


これは「診断的治療」でもあり、患者の苦痛を一気に取り除く治療です



ですが、日本にはロラゼパムの静注薬はありません

そのため、ロラゼパムの内服か、セルシンIV、ジアゼパム坐薬でトライするしかありません



緊張病症候群のために diazepam 坐剤を使用した 22 例の臨床的特徴


Jpn J Gen Hosp Psychiatry(JGHP)


ここで注意点があります



ロラゼパムであっても、セルシンであっても、

結局はベンゾジアゼピンです



カタトニアの原因の一つに、非痙攣性てんかん(NCS)があります


NCSはもちろん、ベンゾジアセピンで治ってしまうこともあり、

誤診してしまう危険があります



ただ、一時的に改善してもNCSが再燃する可能性があり、

NCSでカタトニアが出現している場合は、

ASM(抗発作薬)を用いることが、本来の治療になります




カタトニアを見たら、一度はNCSではないか?と疑うことが重要です



◆ ベンゾジアゼピン療法の基本


ロラゼパム試験で改善した場合、その後もロラゼパムを定期的に投与します

内服(1回1~2mgを1日2~3回)

静注(必要に応じて)


有効率は60~80%とも言われます

そして重要なのは、「できるだけ早く開始する」ことです


カタトニアを長く放置すると、

合併症(肺塞栓、感染、脱水など)が命に関わります




◆ それでも効かないとき ― ECTの出番


ベンゾジアゼピンが効かない場合、

次に考えるのは診断の見直し(NCS、NMDAR脳炎、そもそもカタトニアではない)




それでもやはり、カタトニアと考えたのであれば、

治療はECT(電気けいれん療法)です




カタトニアに対するECTの効果は90%以上とも言われます


特に、悪性カタトニアベンゾジアゼピン不応性では、

ECTが最後の砦になることがあります





◆ 安易な抗精神病薬は「危険」なことも


ここで注意すべきは、抗精神病薬の使い方です


カタトニアを統合失調症の一症状やせん妄と考え、

抗精神病薬を開始したり、増量する――これは危険です



なぜなら、カタトニアや悪性症候群を引き起こすリスクがあるからです



カタトアニを疑った場合は、

初期は抗精神病薬を避け、ベンゾジアゼピンまたはECTで対応するのが鉄則です



カタトニアには運動過多と減少の症状があります


運動過多の場合、高活動性せん妄と

運動減少の場合、低活動性せん妄との見分けは非常に難しいです



せん妄だと思って抗精神病薬を足していくと、

いつの間にか動かなくなっている・・・



抗精神病薬が効きすぎたのかな?と思って中止するも、

全く起きない・・・・


その時は、カタトニアを疑ってください





◆ 悪性カタトニアと悪性症候群


カタトニアには、発熱・自律神経不安定・CPK上昇を伴う重症型があります


これを「悪性カタトニア」と呼びます


抗精神病薬によるNMS(悪性症候群)と非常に似ており、

実際には同じスペクトラムと考えられています



治療は同じくベンゾジアゼピン+支持療法+ECT

そして、抗精神病薬の追加は原則NGです




悪性症候群の場合は、ICU管理にてダントロレンの投与も行います





カタトニアの治療の三本柱


①原疾患の治療


②カタトニアの治療


③カタトニアに付随する合併症の治療と予防です



原疾患がNCSであれば、治療はASMです


NMDAR脳炎であれば、免疫治療です


統合失調症の増悪であれば、抗精神病薬です




カタトアニアを見たら、原因の検索が必ず必要になります







第5章:カタトニアの最新知見と未来 



カタトニアの理解は、この20年で大きく変わりました


以前は「精神科の特殊な症候群」という認識でしたが、

現在では神経免疫学・集中治療医学・小児科まで広がっています


ここからは、最新知見の切り口でお話しします。



◆ 1. NMDA受容体脳炎とカタトニア


2007年、NMDA受容体脳炎が報告されて以来、

カタトニアとの関係は注目を集めています


この脳炎は抗NMDA受容体抗体が脳に作用し、

精神症状やけいれん、意識障害を起こす疾患です


特徴的なのは、カタトニア様症状が高頻度で出ることです


なぜ重要か?

若い女性で発症しやすい(卵巣奇形腫に合併することも)

精神科で「急性精神病」と誤診されやすい

ベンゾジアゼピンが効かない場合、免疫療法が必須


治療は、

ステロイドパルス、免疫グロブリン(IVIG)、血漿交換

難治例ではリツキシマブやシクロホスファミド

並行してECTを行うケースもある


つまり、元気な若い女性が急に精神疾患と診断され、

さらにカタトニアが出現したら、「NMDA受容体脳炎を疑え」ということです



◆ 2. ICUとカタトニア ― 見逃される危険


ICUで「反応が乏しい」患者を、すべてせん妄や鎮静の影響と思っていませんか?


実は、その中にカタトニアが紛れています

呼びかけに反応しない

姿勢が固まっている

薬を減らしても改善しない


この場合、Bush-Francisスケールを使うと、驚くほど陽性項目が見つかります

ICUカタトニアの原因は多様で、

感染症(敗血症)

多臓器不全

長期鎮静

電解質異常

などが関与します


教訓:ICUで「動かない患者」は、鎮静だけのせいにしない



結語:心を止めた患者にどう寄り添うか




カタトニアという言葉を、今日、初めて知った方もいるかもしれません


あるいは、既に臨床で出会い、

その静かな異変に気づいた経験をお持ちかもしれません



「動かない」「話さない」「目が合わない」――

それだけで、何を考えているのか分からない患者さん


一見不気味で奇妙に感じるでしょう




でも、その人の心は、本当に止まってしまったのでしょうか?


私は、そうは思いません。

むしろ、その心は深いところで、必死に助けを求めているのです


ただ、その声や動きが現れないだけで・・・



カタトニアは、適切に治療すれば治る症候群です


放っておけば、命に関わることもありますが、

気づいて、正しく対応すれば、笑顔は戻ります



だから、どうか忘れないでください

「この患者さん、本当にうつ病だけ? せん妄だけ? NMDA受容体脳炎じゃない?」

その小さな疑問が、命を救います




まとめ

・カタトニアの概念を知ると、

 抗精神病薬を使うのが怖くなる

→抗精神病薬を使った後に動かなくなった場合、特に意識した方がいい


・カタトニアを疑ったら、BFCRSで評価を行い、

ロラゼパムチャレンジテストでの反応性をみる

→日本ではセルシンチャレンジか、ジアゼパム坐薬か、ロラゼパムの内服になる

 その場合にNCSを頭の片隅に置く


・カタトニアの治療の三本柱

→原因の同定と合併症の予防と治療を忘れない


 

カタトニア in the ICU

 

人気の投稿