臨床のパールや自分なりの考えをノートにまとめました。自分のポケットの中だけでなく、皆様にもみていただき、ご意見ご感想を頂ければ嬉しいです。実臨床への適応は自己責任でお願いします。
2025年6月13日金曜日
TSSの診療の3つのポイント
2025年5月28日水曜日
「國松の内科学」の正しい読み方
最近、当院で流行りの勉強会があります
それは・・・
「國松の内科学を読んでツッコミを入れる会」です 笑
今、巷を賑わせている話題の本ですが、
この本を一番、味わえる読み方をお伝えします
「國松の内科学」は一人で黙々と読んではいけません
一人で読むのは本来の読み方ではなく、
みんなでワイワイ議論したり、ツッコミを入れながら読むのが、
この本の正しい読み方だと思います
映画を見終わった後に感想を言い合う、あの感じに似ています
「國松の内科学を読んでツッコミを入れる会」では
学生さんから初期、専攻医、7〜20年目、院長!?まで年代関係なく参加しており、
30分の間で一つの章をその場で読み、途中でツッコミを入れていきます
例えば、原発性アルドステロン症の章では、
スクリーニングを積極的にやる派とやらない派の意見が繰り広げられたり、
ACTH単独欠損の章では、
ACTHの検査の取り方の記載をして欲しかったという意見がありました
ACTHは室温で保存すると、測定値が低値になることがあり、
意外に知られていないけど重要なので、それを書いて欲しかった・・・
といった感じで、自分がこの章を書くなら、
これは記載する!みたいな感じで自分でさらに作り上げていきます
辞書のように分厚いですが、辞書のように使わずに、
叩き台として使うのが良いかと思います
この本は「國松の内科学」ではなく、
「自分の内科学」にブラッシュアップしていく本だと思います
外来ベースの疾患が多く、
ブラックボックスになりがちな外来診療を知る機会にもなり、
ディスカッションが盛り上がります
「國松の内科学」は内科を10周くらいしたベテランや中堅に特に刺さります
研修医や専攻医には刺さるところもあれば、ピンとこない部分もあると思います
学生さんにとっては、いきなりRPGの攻略本を読むような感じになるかもしれません 笑
初学者の方は教科書も読みつつ、
比べてみると一番勉強になると思います
「國松の内科学」は王道の教科書ではなく、アンチテーゼ的な内容もあり、
教科書には載っていないことも書かれています
(ほとんど参考文献がありません 笑)
あえて議論を巻き起こそうとしか思えない記述もあり、とても議論しやすい本です
國松先生は、この病気をこんな風に捉えているのか〜
と知ることができるだけでも、ありがたいです
読んでいて、笑ってしまうこともあります(特に「上部消化管出血」)
個人的には、毎週、この勉強会が楽しみです
週間ジャンプを読むような待ち遠しさがあります
一人で読んでいるみなさん、
仲間と一緒にツッコミあう会を試してみてはいかがでしょうか?
2025年5月7日水曜日
長大な脊髄病変に出会ったら
2025年5月6日火曜日
青は藍より出でて藍より青し
山中克郎先生が編集され、新進気鋭の若手医師が書かれた
「見逃されているかもしれない重要疾患の診療」を読みました
最近、強く思うのは若手医師から学ぶ機会が増えたことです
嬉しいことですね
「Mgの排泄を防ぐために、SGLT2がいいらしいですよ」
「フェジンの点滴で、低リンになるらしいです」
知らないことばかりで、いつも教わってばかりです
自分の常識で医療をしてはいけませんね・・・
そして、さらに嬉しいことは、自分の意見を鵜呑みにしなくなった医師が増えたことです
「それって本当ですか?」「それってどこに書いてあるんですか?」と臆せず聞いてくれます
そうなると
「あれ?ずっと当たり前だと思っていたが、確かに・・・これって本当か?」
CTRXは1g or 2g? q12hr or q24?
PICCは持続にしないと閉塞する?ヘパリンロック?生食でもいい?
もともとDOACのんでいる人は、ICUのDVT予防は不要?
アルコール離脱にfixed がいい?symptom triggeredがいい?
という疑問が湧いてきます
健全なコンフリクトはチームの成長に欠かせません
チームを作るなら、
必ず自分に反対意見や批判をしてくれる人を置くことが鉄則です
耳障りのいい言葉ばかりを言ってくれるメンバーだけでは、
自分の気持ちは良くなりますが、チームとしての成長はありません
屋根瓦式が良い教育であるという風潮がありますが、自分はあまり賛成できません
指導医が専攻医へ、専攻医が研修医へ、研修医が学生へ教えるという一方向ではなく、
学びは双方向性であるべきです
どんな人からも学ぶことはあります
置かれている立場によらず、学び合う姿勢が大事です
指導医も研修医や学生さんから学ぶことはたくさんあり、
指導医という名前自体が古いですね
理想の指導医は、自分の知らない知識や技術を教えてくれる医師ではなく、
共にunlearn(学びほぐし)してくれる医師です
unlearn(学びほぐし)とは、
これまで学んできた知識や価値観、思考の癖を意識的に捨てることで、
新たな学びや成長を促すプロセスを指します
本当にそうなのか?一緒に考えてみよう
自分はこれを「一周回る」と呼んでいます
結論は同じでも、一周回って考えることが大事な作業です
自分の周りには、一緒に一周回ってくれる仲間がたくさんいます
そんな仲間が書かれた本が、
「見逃されているかもしれない重要疾患の診療」です
知識だけでなく、大事なメッセージが溢れた学びの多い本でした
この本に出てくる疾患たちを診断することができれば、
患者さんの人生を変える事ができると思います
事実、この本の中の患者さんの人生は良い方向に変わっていったようです
初診外来は、患者さんの人生が変わる場所です
そう思うと、明日からも初診外来頑張ろうっていう気持ちになりますね
2025年5月5日月曜日
TSSの診療の3つのポイント
今日の國松の内科学は「TSS」の会でした TSSについては、ついつい語りたくなってしまうので こちらで語らせてください 笑 TSSは非常に稀かと言われると、あまり稀という印象はないです TSSは見逃されていることが多く、診断がされていないだけだと思います TSS含めた 毒素病態は...
人気の投稿
-
デルタ株編 今回の波はこれまでで最大です デルタ株と夏休みが重なり、大流行になっています 今のところ、緊急事態宣言の効果もみえてきません 頼みのワクチンは今回の波を抑えることはできません ワクチンは次の波を抑える作用しかありません 今のところ、有効な対策はなさそうです 燃える...
-
ALSは毎年1人は出会うか出会わないか、くらいの頻度でしょうか 個人的にはIEと同じくらいで、あまり稀ではない印象です その目で見ると、出会う事ができます その目で見ないと、通過していきます しかし、自分も最初に診断した時は、診断に時間がかかってしまい、 ...
-
意識障害が遷延し、ICUで長期挿管管理となったため、 気管切開をした人がいました その後、一般床にいき徐々にレベルが改善したため、 人工呼吸器を離脱することができ、 さらに嚥下機能も復活したため、 徐々にカニューレを変えていく必要がありま...
-
オミクロン株BA.5編 7月〜8月にかけての第7波はひどい状態です ウイルスの脅威は以前よりもなくなっているにも関わらず、 なぜ現場は以前よりもひどい状態になっているのでしょうか・・・ 新型コロナウイルスが見つかってから、はや2年と8ヶ月が経ちました この間で 変わってきたこと、...
-
症例 88歳 女性 椎体の圧迫骨折で入院中 内服はリセンドロン、ドネペジル、アルファカルシドール 本人は腰の痛みの訴えが強く、トラムセットを入院後から開始している 入院の初めは食事がとれていたが、入院後食事量が減っていった さあ、食べられない高齢者に対して、 どのようにアプロー...
-
元々四つん這いで歩行している高齢女性が、 意識障害を主訴に救急外来受診しました 受診後、徐々にレベルは回復し、 家族がみてもいつも通りになりました MRIをとっても、血液検査をしても、心電図検査をしても、 脳波検査をしても、原因はみつかり...
-
不明熱 基本編です 不明熱を定義したのは、ピータゾロフ先生で、 持続時間を3週間以上続く発熱としたそうです その理由は、 自然に改善するウイルス疾患を除外したかったためのようです 38.3度にしたのは、習慣性高体温の人を含めないようにした...
-
たまに来ます耳下腺や唾液腺が腫脹してくる人 食事をしていたら、急に顎の下がゴルフボールくらいの大きさに 腫れあがりました でも今はだいぶ小さくなりました という人は大抵、唾石が一時的につまった人です 口腔内に開口する部分のところに唾石が詰まっていれば、 見え...
-
症例 中年の男性 主訴:発熱 Profile:生来健康 現病歴:2週間前から鼻汁、咳が出現 近医受診。インフルエンザ検査実施され、陰性だった 10日前から発熱出現(38度前後) 近医受診。インフルエンザ・溶連菌検査実施さ...