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2026年6月8日月曜日

敗血症の空間軸

 
敗血症はどの科で、どのような場所で勤務していても、出会う超重要疾患である。

適切なマネージメントで予後が変わるため、 研修医であっても

少なくとも初期対応については精通している必要がある。


敗血症診療は研究が盛んであり、数年前の知識が時代遅れになりかねない。

常にアンテナを立て、時代と共に知識をupdateしていく必要がある。


本項では敗血症及び敗血症性ショック2026年版国際ガイドラインに沿って、

敗血症を空間軸(感染症としての視点)と

時間軸(フェーズによる視点)で解説する。    


(ちなみに文章や図は全てAI未使用です 笑)



(1)敗血症の総論と早期発見  

(2)敗血症の空間軸  

(3)敗血症の時間軸      



(1)敗血症の総論と早期発見  

敗血症とは「感染に対する反応の調節不全による、生命を脅かす急性臓器不全」と定義されている。


世界中で年間1300万人が敗血症で命を落としており、

早期の診断と治療が予後改善には重要である。


生命予後だけでなく、身体的・認知的・精神的な後遺症を引き起こす可能性があり、

単一臓器だけでなく多臓器・全身管理(リハビリ、栄養)が求められ、

医師だけでなく多職種との連携も非常に重要になる。   


 敗血症の診断はあくまでも臨床診断であり、

「発熱があるから、CRPが上がっているから」という単純なものではない。


早期診断のために様々なツールが開発されてきた。

SIRSに始まり、qSOFA(quick Sequential OrganFailure Assessment)、

NEWSなどがある。


院内の急性疾患患者に対してのスクリーニングツールとしては、

qSOFA単独ではなくNEWS、NEWS2、MEWS、SIRSを組み合わせて

使用することが推奨されている。


また2026年のSSCGからは「コード・セプシス」または「セプシス・ハドル」

という言葉も加わり、スクリーニングが陽性となった後、

多職種がチームを組んで敗血症への対応を迅速に進めるための

プロトコルが提案された。  


敗血症治療はガイドラインに沿って治療を行えば大きな間違いはないが、

ガイドラインはあくまで「レシピ」であり、

一人一人味の好みが分かれるように敗血症の治療も

症例ごとにアレンジさせる必要がある。


初期輸液後の輸液をどうするか、MAPの目標はどうするか、

ステロイドはいつ入れるか、いつ水をひくか、

など個別の症例によって最適解は異なる。


昨今、敗血症だけでなくどの分野でも、

同じ病名・病態であっても患者毎に治療を変える個別化医療や

精密医療が提唱されている


俺流治療に固執するのではなく、

患者毎に治療を変える柔軟性が求められている。  




  (2)敗血症の空間軸  

敗血症は言うまでもなく、感染症が原因である。

そのため、感染症の5原則に則って考えていく。  


感染症の5原則とは 

 1 患者背景  2 感染臓器・部位  3 原因微生物  

 4 治療  5 適切な経過観察    の5つである。  




1 患者背景  

感染症、ここでは敗血症を疑った場合、まずは患者背景を確認する。


5原則の中でも最も重要なのが患者背景である。

患者背景が大事と言われても漠然としているため、

免疫・曝露・余力の3要素を考えると良いであろう。   


 (1) 免疫

局所免疫(皮膚バリア、粘膜、線毛機能、管の流れ、解剖学的な破綻など)、 

薬による免疫低下(ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤、Jak阻害薬、生物製剤など) 

 疾患による免疫低下(血液腫瘍、糖尿病、透析患者、肝硬変、AIDSなど)  

細胞性免疫、液性免疫、自然免疫など  


(2) 曝露

人(シックコンタクト:空気感染、気道感染、性行為、接触感染)  

動物(ペット、ネズミ、鳥、魚類、爬虫類など)

食物、職業  環境(長期入院、施設、透析、刑務所)、海外渡航  


(3)余力

バイタル、背景疾患、PS、ADL、年齢、栄養状態、SOFA、qSOFA   


 患者背景ではこれら3つの情報収集を行うことで今後の感染部位や微生物の推定につながり、治療をどうするかにも関わってくる。


逆にこれらの情報が全くない場合、

感染症診療は格段に難しくなる。  



2 感染臓器・部位   

次に考えるのは、感染している臓器や部位、いわゆるフォーカスである。


敗血症の原因となりやすい臓器や部位は、5+1で覚えると良い。


中枢神経(髄膜炎)、肺(炎)、腹部(胆管炎、消化管穿孔)、

尿路(腎盂腎炎、前立腺炎)、皮膚軟部組織感染症の5つと、

感染性心内膜炎の1つである。


感染性心内膜炎(Infective Endocarditis:IE)はIEと略されることが多く、

IEのIが1に似ているため、このように覚えておく。


そして、フォーカスはないが、いきなり血流感染を起こすことが

小児や高齢者では珍しくなく、血流感染として0.5として覚えておく。


この概念は臨床で非常に有用であり、高熱・悪寒戦慄があり、

菌血症を疑う状況でフォーカスがなければ、逆に鑑別は絞られる。

いきなり菌血症パターンである。


その場合、原因微生物は連鎖球菌やブドウ球菌、

消化管からのGNRであることが多い。


感染部位の探し方は、まずは5+1を検索する。


中枢神経感染症(髄膜炎)は頻度は低いが、早期治療が重要であり、

ステロイド投与や抗菌薬の選択や投与量にも注意が必要なため、

一番最初に想起すべきである。


qSOFAの1項目である意識障害が当てはまった時点で、

ただ点数1点が加わっただけと思わず、

髄膜炎の可能性はないかを常に考える必要がある。


しかし、意識障害は他の感染症や敗血症でもみられ、

意識障害の患者全員に髄膜炎として対応するのは現実的ではない。


実際は髄膜炎対応をしないのであれば、

どうして髄膜炎対応しないのかの理由を説明でき、

どうなったら髄膜炎を再検討し直さなければならないか、を考えておく必要はある。

5+1の感染臓器でなかった場合は、さらなる検索が必要になる。


5+1が突破された時は・・・

①一手間かかる診察

(頭の先からつま先までチェック、穴のチェック:特に直腸診、叩く:脊椎、季肋部、歯、副鼻腔)


②検査に頼る

(造影CTで膿瘍探し、迅速キット、フィルムアレイ、培養、画像など)


③時間に頼る(時間が経つと病気が進行し、感染部位が明らかになることが多い、例:キャンピロバクター腸炎、椎間板炎、感染性心内膜炎)    


このようにまずは、疫学を利用し5+1で考え、

5+1が突破されたら次の3ステップで感染部位を探す道筋があれば、

感染臓器が判明しなくてもパニックにならずに済む。  



  3 原因微生物  

患者背景と感染部位がわかっていれば、原因微生物の推定は容易である。


感染症の原則は1→2→3→4→5の順に、しっかりした情報があればあるほど、

次のステップが容易になる。  


病歴や疫学情報(国、地域、生活範囲)を駆使し、

迅速キットやグラム染色を用いて原因微生物を推定する。


敗血症を疑った場合、血液培養2セットを出来るだけ早く採取し、

いつでも抗菌薬を入れておける準備をしておく。


血液培養の他に感染源と思われる部位からの検体採取を行う。

関節炎であれば関節穿刺を行い、褥瘡からの皮下の膿瘍があれば膿瘍を採取し、

肺炎であれば痰をとる努力を惜しまない。


常に血液の他に取れる検体はないか、という精神が重要である。


経過が早すぎる病歴でも原因微生物を推定できる。


「昨日元気で今日、ショック症候群」

という青木眞先生が注意喚起している病態である。


TSS:toxic shock syndrome, STSS:streptococcal toxic shock syndrome

髄膜炎菌敗血症、感染性心内膜炎(特に黄色ブドウ球菌)

リケッチア感染症

肝硬変症患者での劇症感染症(Vibrio vulnificus、Edwardsiella tarda、aeromonas hydrophila)

overwhelming postsplenectomy infection:opsi(脾機能低下患者の髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、Capnocytophaga)

劇症型Clostridium perfringens(ガス壊疽菌)感染症などである。


あまりにも急激な経過で悪化していることが判明した場合は

これらの病態を想起する。


これらがどれくらい早いかというと、

CRPが上がっていなくてもショックになるくらいの早さである。    


4 治療

敗血症に限らず、感染症の治療の一番は抗菌薬・・・ではない


ドレナージやデブリードマンといった

外科的に感染源のソースコントロールを行うことである。


抗菌薬の投与と同時並行にドレナージや除去するべきデバイスはないか、

緊急手術が必要な病態(下部消化管穿孔、心不全を伴うIE)ではないか、

確認しておく。


ドレナージは早ければ早いほど良いが、6時間以内が推奨されている。


抗菌薬は敗血症性ショックや敗血症(ショックなし)の可能性が高ければ

1時間以内に投与することが推奨されている。


抗菌薬の選択は患者背景や感染臓器、微生物が推定できていれば容易であるが、

攻め過ぎも良くない。


抗菌薬の選択ミスは患者の予後不良因子であり、

「narrow is beautiful」と言っていられない時もある。

勝つことよりも絶対に負けないことの方を優先させる。


同じ病態であっても患者背景や重症度によっては、

エンピリックにいかざるを得ない時もある。


バイタルが不安定で感染臓器が不明な場合や検体採取が困難な場合でも

血液培養さえとってあれば、エンピリックな抗菌薬の投与は許容される。


血液培養の結果を確認し、後でde-escalationすれば良い。


エンピリックといっても、どこまで広げるかは、

患者背景(免疫、曝露、余力)、感染臓器、感染部位による。


最初から嫌気性菌やMRSA、ESBL産生菌、AmpC過剰産生菌、緑膿菌、

細胞内寄生菌、抗酸菌、真菌をカバーするかどうかは症例ごとに考える必要がある。


そして抗菌薬を開始した際には、

どの菌を外しているかを確認しておく。 


 2026のSSCGではβラクタム系抗菌薬の持続投与が強く推奨に変わった。


18のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析により、

持続投与は短期間の死亡率を有意に低下させることが示されたが、

全例で行うかは検討が必要である。


個人的には実装されるにはしばらく時間がかかると思われる。


持続投与の研究はカルバペネムやタゾバクタム・ピペラシリン、セフェピムなどの

半減期の短いβラクタム系抗菌薬がメインである。


何でもかんでも持続投与が良いというわけではなく、

投与している抗菌薬の持続投与の研究があるかは見直した方が良い。


バンコマイシンは一見良さそうではあるが、

『日本版敗血症診療ガイドライン2024 (J-SSCG 2024)』では、

バンコマイシンを含むグリコペプチド系抗菌薬の持続投与

(または投与時間の延長)については、「行わないことを弱く推奨」されている。


2026のSSCGでは言及はなかった。  


持続投与でなくても、extended(投与間隔の半分以上かけて投与、

例:8時間毎の投与であれば4時間以上かけて投与)でもよいので、

まずはextendedで投与するのが良いだろう。


有害事象としてはルートを占領することや他の薬剤との配合変化、

せん妄のリスクがある。


注意点としては、持続投与の前にローディングとして初期負荷を行うこと、

投与期間が長くなることで効果が減弱する薬(特にメロペネム)がある。


実際は施設ごとに薬剤師・看護師ともに持続投与の方法を確認してから行う。    



5 適切な経過観察  


それぞれの項目(患者、感染部位、微生物、治療)を経過観察していく。


患者背景ではバイタル、食欲、臓器障害を確認する。


感染部位では診断する根拠となったもの

(例:肺炎であればcrackleや湿性咳嗽、頻呼吸、CXR)を追っていく。


微生物ではグラム染色で菌は減量・消失しているかを確認し、

黄色ブドウ球菌やStaphylococcus lugdunensis、カンジダであれば、

血培の陰性化を確認するため、血培を再検する必要がある。


血培再検のタイミングは初回血液培養から24時間以上経過後、

通常は2〜7日以内に実施される。


GNRでは血培の陰性化の確認のための血培再検は必須ではないが、

ケースバイケース(状態が改善しない、デバイスが入っている、除去できてない膿瘍がある、感染性心内膜炎疑いなど)で検討する。


それぞれの感染症ごとに治癒過程はある程度決まっているが、

その治癒過程に沿わない経過を辿る場合には、再評価が必要になる。


敗血症性ショックであれば、輸液のフェーズのROSDが逆戻りした場合や

先に進まない場合は合併症(デバイス感染、膿瘍)や薬の副作用、

他のトラブル(心筋梗塞、肺塞栓、出血、副腎不全)を考慮する。


感染症が治っていく過程は実際の臨床現場でしか学べないので、

しっかり患者さんから学ばせていただく。


(3)敗血症の時間軸









2026年6月2日火曜日

敗血症の時間軸 〜2026年のSSCGに沿って〜

















 1. Prescott HC, et al. “Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2026.” *Critical Care Medicine*. 2026;54(4):725–812. 

 2. Murugan R, et al. “Association of Net Ultrafiltration Rate with Mortality among Critically Ill Adults with Acute Kidney Injury Receiving Continuous Venovenous Hemodiafiltration: A Secondary Analysis of the Randomized Evaluation of Normal vs Augmented Level (RENAL) of Renal Replacement Therapy Trial.” *JAMA Network Open*. 2019;2(6):e195418.  

3. Neyra JA, et al. “Polymyxin B Haemoadsorption in Endotoxic Septic Shock (TIGRIS): A Multicentre, Open-Label, Bayesian, Randomised, Controlled, Phase 3 Trial.” *The Lancet Respiratory Medicine*. 2026;14(5):443–452. 

 4. *Intensive Care NEXT*. 2025;50(1).  

5. Barbar SD, et al. “Timing of Renal-Replacement Therapy in Patients with Acute Kidney Injury and Sepsis.” *The New England Journal of Medicine*. 2018;379(15):1431–1442.  

6. STARRT-AKI Investigators, et al. “Timing of Initiation of Renal-Replacement Therapy in Acute Kidney Injury.” *The New England Journal of Medicine*. 2020;383(3):240–251.  

7. Alamami A, et al. “Venoarterial Extracorporeal Membrane Oxygenation in Septic Shock and/or Sepsis-Induced Cardiomyopathy: A Systematic Review of Fifteen Studies.” *Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia*. 2026;40(3):935–943.  

8. Wischmeyer PE, et al. “Personalized Nutrition Therapy in Critical Care: 10 Expert Recommendations.” *Critical Care*. 2023;27(1):261.  

9. Qi F, et al. “Correlation Analysis of Norepinephrine Dose on Enteral Nutrition Tolerance and Prognosis in Patients with Septic Shock.” *BMC Infectious Diseases*. 2023;23(1):386.  

10. Wu Z, et al. “Norepinephrine vs Vasopressin: Which Vasopressor Should Be Discontinued First in Septic Shock? A Meta-Analysis.” *Shock*. 2020;53(1):50–57. 

 11. National Heart, Lung, and Blood Institute Prevention and Early Treatment of Acute Lung Injury Clinical Trials Network, et al. “Early Restrictive or Liberal Fluid Management for Sepsis-Induced Hypotension.” *The New England Journal of Medicine*. 2023;388(6):499–510.  

12. Li B, et al. “Inotrope Selection in Mixed Cardiogenic Shock with Sepsis: A Comparative Analysis between Milrinone and Dobutamine.” *Annals of the American Thoracic Society*. 2026;23(2):252–260.  

13. Monnet X, et al. “Evidence for a Personalized Early Start of Norepinephrine in Septic Shock.” *Critical Care*. 2023;27(1):322. 

14. Wischmeyer PE, et al. “Personalized Nutrition Therapy in Critical Care: 10 Expert Recommendations.” *Critical Care*. 2023;27(1):261.  

15. McClave SA, et al. “Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.).” *JPEN Journal of Parenteral and Enteral Nutrition*. 2016;40(2):159–211. 



2025年11月15日土曜日

不易流行 〜another story〜

毎年恒例のK先生との症例対決にて


不易流行の症例は、マイコプラズマの髄膜炎だったのではないか?
と鋭い指摘をいただきました


確かに肺炎はマイコプラズマでよいとは思いますが、
髄膜炎がマイコプラズマでよいかは、なんとも言えません・・・


K先生が診療していたら、マイコプラズマ抗体のペア血清を出して、
上昇していることを証明し、マイコプラズマによる肺外症状として
ステロイド投与して治癒していた可能性もあります

その場合は、フィルムアレイも提出していなかったでしょう・・・



と言うわけで、マイコプラズマの中枢神経病変について調べてみました


そもそもマイコプラズマはとは?

第二次世界大戦の頃、軍隊を中心に謎の肺炎が流行しました
当初は謎のウイルス性肺炎と考えられていたものが、マイコプラズマだったのです


マイコプラズマは培養が難しく、
細菌の濾過フィルターであるseitz filterを通り抜けてしまうほど小さく、
当初はウイルスと考えられていました

1944年 Eatonはこの謎の肺炎(原発性異型肺炎)患者から得られた呼吸器検体を鶏卵に培養し、ラットやハムスターに接種させ同様の肺炎になることを証明しました

これをEaton agentと名付けていました


その後、Eaton agentがヒトのボランティアに下気道炎を起こすことが証明され、
1961年に米国National Institutesof Healthのカンファレンスで謎のウイルス肺炎が
細菌感染症であり、病原菌として認められました

そして、1963年にようやくMycoplasma pnumoniaeと命名されました

                        IASR Vol.45 p5-6;2024年1月



マイコプラズマはウイルスとは異なり、自己増殖が可能です

細胞壁を持たず、なめくじ?みたいな形の特徴的な菌です
βラクタム系は効果ありません

それにしても形が普通の菌っぽくないですね・・・



マイコプラズマと聞くと肺炎を想起しますが、
実は肺炎にならずに、風邪や咽頭炎、気管支炎レベルで
自然治癒していることが多いです


マイコプラズマはウイルスのような挙動を示し、
自然軽快することもあり、抗生剤での治療が必要かどうかは背景や病状次第です


呼吸器外症状には3つの機序が考えられています
①直接型、②間接型、③血管閉塞型 です




呼吸器外症状では皮疹や神経病変が多いです

神経病変は脳炎やGBSが多く、無菌性髄膜炎もまれではありますが、
起こりえます


ざっくりしたイメージですが、

直接型の場合は菌が悪さをしていると考えられ、
抗菌薬の効果が高いです

間接型の場合はすでに菌はおらず、
免疫反応によって起きていると考えられています

そのため、治療は免疫調整薬(ステロイドやIVIG)がメインとなります


マイコプラズマは針のように突き刺さり、細胞に侵入していきます

最近は肺炎も気道上皮細胞とマイコプラズマの免疫的な応答で
引き起こされている可能性が指摘されています




肺外症状の内訳です

間接型の疾患を見ると何でもありな感じです

これらの疾患を診断する時にマイコプラズマの抗体をチェックしていなかったので、
今度から閾値低めにチェックしてみようと思います



脳炎はどちらも起こりえますが、無菌性髄膜炎は直接型と考えられています

ただ、「いつから発症したか?」「途中で治療が入ったか?」
「NSAIDsの内服で症状が緩和された」などで修飾されると、
どちらかにすっきり分類することは難しい気がします・・・




臨床像は多彩です

まるでコロナです


コロナとの違いは潜伏期です
潜伏期が2-3週間と長いので、誰からもらったかわからないことが多いです



軽症の場合、自然に軽快し
他のウイルスによる上気道炎と見分けはつきません


マイコプラズマは細菌ではありますが、自然に治ってしまうので、

「細菌感染症=抗生剤が必要な病態」ではない
ことを覚えておきましょう


ただ、10人に1人は肺炎に至ることもあります

健康な若い人の軽症の肺炎といえば、マイコプラズマを疑います
「walking pneumonia」とも呼ばれます


K先生に教えてもらいましたが、
最近ではマイコプラズマ肺炎の症状を早期に改善させる目的に
吸入ステロイドをアジスロマイシンに併用するのが良いようです


Medicine (Baltimore). 2024 Jun 14;103(24):e38332.




The combination of budesonide and azithromycin demonstrates enhanced therapeutic effectiveness, promotes improved pulmonary function, shortens the duration of symptoms, and effectively mitigates the overexpression of inflammatory factors like c-reactive protein, TNF-α, and IL-6, all without an associated increase in adverse reactions in pediatric mycoplasma pneumonia.

5. 結論

ブデソニドとアジスロマイシンの併用は、小児マイコプラズマ肺炎において、治療効果の向上、肺機能の改善、症状の持続期間の短縮、CRP、TNF‐α、IL‐6などの炎症因子の過剰発現の効果的な緩和を示し、副作用の増加は伴わないことが示唆されています。これらの結果は、小児マイコプラズマ肺炎の治療レジメンとしてこの併用療法の採用を推進する上で、潜在的な価値を持つものです。



細菌感染症にステロイドは良くないと刷り込まれてきた世代にとっては、
衝撃的ですね


ステロイドの治療を行う点もコロナに似ていますが、
マイコプラズマ肺炎の誰に、どの重症度で吸入ステロイドを使うべきか
といったコンセンサスまではなく、前向きのRCTの研究が必要なのでしょう




マイコプラズマの診断は主に抗原と抗体でなされます
発症早期は抗原検査でされますが、感度が高くないので否定にはなりません


確定診断はペア血清でのPA法の抗体検査やPCRでなされることが多いです



マイコプラズマの肺炎が治ってきた頃に起こるのが、間接型の肺外症状です

この時期にはマイコプラズマはおらず(PCRでも見つからない)、
免疫反応が問題を引き起こしていると考えられています


ただ、治療が入ったかどうか?診断がつかず遅れて顕在化しただけ?
といった感じで、直接型と間接型の白黒をつけるのは難しい症例もあります




マイコプラズマが脳炎/髄膜炎に至るパターンは3つです


肺炎と同時に発症
肺炎後に発症
肺炎なく、いきなり中枢神経パターン



肺炎がなく、いきなり中枢神経症状で来た場合は、
マイコプラズマを想起するのは難しいです


前駆症状がないからといって除外できません
小児や若年者の脳炎ではルーチンで検査するしかない気がします




呼吸器症状の発症後7日以内の発症を早期発症型と呼び、
7日以降を晩期発症型と呼ばれます


早期は直接型、晩期は間接型の機序が考えられています





無菌性髄膜炎は早期発症(直接型)の報告が多く、
晩期発症の症例報告は見つけられませんでした


一方、脳炎(髄膜脳炎の報告が多い)の場合は、
早期も晩期もどちらもあり得ます

横断性脊髄炎やADEMもどちらも起こりえます



今回の症例はVZVが検出されず、マイコプラズマ抗体が陽性であれば、
晩期発症型のマイコプラズマの無菌性髄膜炎だったのかもしれません


ただ、発症時から頭痛を認めており、
NSAIDsやAZMがpartialに効いていた可能性もあります

その場合は、早期発症のマイコプラズマの無菌性髄膜炎が、
診断が遅くなって晩期にみえただけかもしれません



マイコプラズマ脳炎は報告が多いのですが、
マイコプラズマによる無菌性髄膜炎だけの報告はほとんどありませんでした


ほとんどが、髄膜脳炎の報告でした


なので脳炎について調べてみました



この報告ではマイコプラズマ脳炎の予後不良因子は、

11〜18歳での発症
血液でのLDH上昇
髄液の蛋白上昇
画像で基底核の障害 

となっていました




この報告では全ての症例でAZMが投与されていました

AZMは髄液移行が悪いですが、脳細胞への移行は良好です

マイコプラズマによる髄膜脳炎の抗生剤治療は、
AZMが1stで良いと思われますが、
耐性が多い地域の場合、LVFXの併用がありえます


抗生剤治療に関しては、耐性がどれほど占めているか?
病状がどれほど重いか?小児か成人か?といった要素を考えなければなりません


加えてステロイドやIVIGを併用するかということを考える必要があります

ステロイドやIVIGを併用した方が、症状や入院期間が短縮される傾向がありました

ステロイドとIVIGを併用した群ではその傾向はありませんでしたが、
どちらも投与されたということは、おそらく重症例であったためでしょう


いまだに、マイコプラズマの中枢神経病変に対する治療はケースバイケースです


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あとがき

K先生からのツッコミでマイコプラズマについての知見が深まり感謝です

本症例を最初からマイコプラズマの肺外症状を想起できなかったことは反省でした

2025年10月4日土曜日

誤嚥性肺炎について自分なりに思うこと 〜診断と治療のピットフォール〜

今回の國松の勉強会は「 誤嚥性肺炎」でした


誤嚥性肺炎を3つに分類(usual 、Mendelson、DAB)してあり、

興味深かったです


誤嚥性肺炎には沢山のピットフォールやパールがあるので、

勉強会では伝えきれなかったこと(思い)をまとめてみました


ポートフォリオや試験よりも一人の誤嚥性肺炎患者さんの診療をみれば、

内科レベルが判断できるくらい内科要素がぎゅっと詰まっています


①診断についてのピットフォール

(1)「初めての誤嚥性肺炎」を診断する時

(2)「何度も繰り替えす誤嚥性肺炎」


誤嚥性肺炎の診断で最も気をつけなければならないのが、

「初めての誤嚥性肺炎」を診断する時です


これまでのカルテや病歴から誤嚥性肺炎の既往があるか必ず確認しましょう

また、面倒ではありますが、その根拠も確認してください


誤嚥性肺炎はこれがあれば、絶対誤嚥性肺炎!

といえる単独のマーカーみたいなものはなく、合わせ技一本と除外診断です


既往の誤嚥性肺炎は盲目に信じないでください    


あなたの誤嚥性肺炎の診断が、 

将来、患者さんに烙印が押されたように

カルテ上で一人歩きする恐れがあります



初めて誤嚥性肺炎を診断するときは、本当に誤嚥性肺炎でよいのであろうか???

と自問自答し、疑心暗鬼になってください


これまでの経験で初回の誤嚥性肺炎と診断された患者さんをみにいくと・・・


ヒトメタニューモやRSの気管支炎・肺炎だったり、

肺塞栓だったり・・・色々ありました


COVID以来、ウイルス性の気管支炎・肺炎が多いことに驚かされます

余計な抗菌薬は不要であり、感染対策が必要になりますので注意しましょう


もちろん、ウイルス感染に誤嚥性肺炎が合併していることも多々ありますが、

「誤嚥性肺炎全員にフィルムアレイを行うべき」と言っているわけではありません


ウイルス感染の流行が周囲でなかったか、鼻水はなかったか?といった病歴聴取や

誤嚥性肺炎にしてはやたらと咳が多く、喘鳴があるなあ・・・

といった違和感を大事にして欲しいのです




(2)「何度も繰り替えす誤嚥性肺炎」


感染症の三角形で考えると、患者背景(免疫・暴露・余力)が最も大事です



誤嚥性肺炎というためには、

神経筋(嚥下機能、咳、意識)や消化管に構造的・機能的な問題があるはずです


そのため、

「基礎疾患のない50歳男性が誤嚥性肺炎を繰り返す」などあり得ません


それは、診断できていない基礎疾患があるはずです

例えば、筋ジストロフィーやALSなどの神経筋疾患です


もしくは誤嚥性肺炎ではありません

例えば、結核、リポイド肺炎、肺塞栓、肺がん、好酸球性肺炎、過敏性肺臓炎など


この中でも最も注意したいのが、結核です



結核は抗菌薬投与にて何となく効いたように見える時があります


抗菌薬投与で解熱し、酸素化も改善し施設に退院したら、

後日、抗酸菌培養が陽性になって帰ってきて青ざめる・・・


といったことがあります


そのような症例を振り返ってみると、画像上、tree in budがあったり、

塵肺の既往があったり、縦隔のLNが石灰化していたり・・・


言われてみれば、結核を疑わないといけないのですが、

前向きに見ると、誤嚥性肺炎で矛盾しないように見えてしまいます



排菌している結核を見逃すと、自分だけでなく、

コメディカル(特にSTさん!)に多大な迷惑をおかけしてしまいます


結核を見逃さないための最初の一歩は、

「繰り返す誤嚥性肺炎の人の中に結核が混じっている」

という事実を知っておくことです


これが「何度も繰り替えす誤嚥性肺炎」のピットフォールです




誤嚥性肺炎の免疫は何を考えればよいのでしょうか?


免疫は感染症が発症しないように体に備わった防御機構です


誤嚥性肺炎の場合、

口腔内の環境(唾液あるか?口腔内不衛生か?)、嚥下機能、咳ができるか?

といった局所免疫が重要です


免疫というと、好中球やステロイド、免疫抑制剤、血液疾患といったものが

想起されがちですが、局所免疫に着目する視点も重要です



誤嚥性肺炎に曝露があるのでしょうか?


曝露は微生物からの曝露だけではありません

例えば、PPIや抗コリン薬、BZP系などの薬の曝露も重要です


局所免疫を落とすものと考えてもよいかも知れません


余力に関しては、言わずもがな終末期において誤嚥性肺炎が起こります


誤嚥性肺炎を発症することで、一段階死に近づいていくイメージです


聖隷浜松病院で行われた研究が参考になります

Dysphagia . 2024 Oct;39(5):837-845.  


退院後の生存時間中央値は約1年で、退院5年後の生存割合は13% 

→つまり2人に一人は1年以内に亡くなっています


退院時の栄養経路別の生存時間中央値は、

経口摂取で約1年8か月、経管栄養で約9か月、点滴で約1か月 

→胃瘻や胃管を入れれば、いつまでも生き続けられるわけではありません

 家族に説明する時に一般論の数字として参考になります


死亡率と関連する主たる要因は、男性(HR2.4)、BMI<18.5(HR2.2)、

退院時経管栄養(HR1.7)、点滴(HR4.4)

→点滴が高いのは点滴を選択した時点で亡くなることを前提としているのでしょう

 


ただ、間違えてはいけないのは、誤嚥性肺炎自体の予後が悪いのではなく、

誤嚥性肺炎を起こす背景の予後が悪いとうことです


Eur Geriatr Med. 2024 Feb 3;15(2):481–488. 



こちらの報告では誤嚥性肺炎と診断された患者さんは、

生存率が低かったですが、それ自体が独立した予後因子ではありませんでした


命に関わるかどうかを左右するのは、

「誤嚥性肺炎かどうか」よりも虚弱さ(フレイル)や心肺疾患、年齢でした


「この人は誤嚥性肺炎だから予後が悪い」というわけではなく、

「この人の虚弱度・フレイルはどうか」「他に持っている病気は何か」

を考えなければ、予後予測を間違える恐れがあります



このように

①全身状態悪化・フレイル進行の表現系としての誤嚥性肺炎(予後が悪い)と

②局所免疫の破綻(嚥下だけ、消化管だけ)の表現系の誤嚥性肺炎(予後が良い)は

プレゼンテーションが異なります


①全身状態悪化・フレイル進行の表現系としての誤嚥性肺炎の人たちは、

いつもギリギリで嚥下を行っていると考えます


つまり、体調不良→嚥下の悪化につながり、誤嚥性肺炎を発症します


このような状況ではドミノ倒しの最後に誤嚥性肺炎があると思いながら診療を行います


この人は確かに、いつでも誤嚥性肺炎を起こしやすい背景がある・・・

だが、なぜ、今日このタイミングで誤嚥性肺炎を発症したのか?


それには理由があるはずです



誤嚥性肺炎から始まる臨床推論です

誤嚥性肺炎を診断したら終わりではありません



プロブレムリスト

# 誤嚥性肺炎

もともと脳梗塞が背景にあり、誤嚥性肺炎を繰り返している88歳男性

3日前からの微熱と痰がらみ増加あり、

本日酸素化低下を認め、施設から救急搬送となった


CTにて両側下葉にコンソリデーションを認め、

痰のグラム染色はpolymicrobial pattern


上記より、誤嚥性肺炎に矛盾せず、セフトリアキソンでの加療を開始

嚥下リハビリ、口腔ケアを行い、早期の食事摂取を目指す



よくあるカルテですよね 笑


これで終わっていないでしょうか?


いつでも誤嚥性肺炎を起こす人ではありますが、

ではなぜ「このタイミングで」起こしたのでしょうか?


例えば・・・


ショートステイから帰ったばかりで、自宅での食形態が変わった

介助者が慣れておらず、食事の姿勢や介助が変わった

せん妄があり、クエチアピンが新規に追加された後だった

施設でCOVIDが流行しており、COVIDも併発していた

心不全が悪化し、痰が多くなっていた


などなど


誤嚥性肺炎に至った原因に今後の対策が詰まっています


誤嚥性肺炎の手前に「何か」があることが多いので、

「何か」を見落とさないようにしましょう


逆に言えば、誤嚥性肺炎ドミノの手前が分からない時は、

本当に誤嚥性肺炎か?と疑った方がいいです




②局所免疫の破綻(嚥下だけ、消化管だけ)の表現系の誤嚥性肺炎


全身状態が比較的よく、余力があり元気そうに見えるのに、

誤嚥性肺炎を起こしている場合はしっかり原因を特定し、

積極的に特異的な治療や予防を検討していくことが大事です


treatable dementiaならぬ、treatable dysphasiaの考え方です

治せる可能性のある嚥下障害


簡単にいうと嚥下障害以外に目立った症状がなく、

急速に進んだ嚥下障害は要注意です



嚥下のトラブルでなくても、例えば食道裂孔ヘルニアがひどければ手術を検討する

実は背景に強皮症があり、食道の動きが悪いかもしれない

カルシウム拮抗薬が逆流を助長しているかもしれない

便秘がひどくて、胃内容物が貯留しやすい


といった消化管のトラブルがないかも考えます



②治療についてのピットフォール


近年、嫌気性菌のカバーは不要ではないか?という報告が続いており、

誤嚥性肺炎=アンピシリン・スルバクタムの構図が崩れてきました


Chest. 2024 Jul;166(1);39-48.

Open Forum Infectious Diseases, Volume 12, Issue 3, March 2025, ofaf133



嫌気性菌カバーをする必要はないというのは、ピットフォールでも何でもなく、

常識になりつつあります


誤嚥性肺炎に限らず抗菌薬選択は、ケースバイケースであり

個々の症例で痰のグラム染色を行い、過去の培養結果を参考にし、

全身状態を判断しながら、抗菌薬の選択を行います



誤嚥性肺炎にパスで抗菌薬が入っている病院がありますが、

一番作ってはいけないパスだと個人的には思います


軽症〜中等症:スルバシリン

重症:ゾシン、メロペン


となっていた病院がありますが、本当にやめてほしいと思っていました


ただの耐性菌製造パスになってしまいますし、

緑膿菌がいるかどうかは、痰のグラム染色みればある程度わかります


緑膿菌が過去に検出されたり、今回緑膿菌が検出されたからといって、

緑膿菌をターゲットに治療しなくても治癒することは多々あります



國松の内科学にも書いてありますが、

ほとんどの誤嚥性肺炎はアンピシリンで治ります


最初から見えている細菌を全てターゲットに治療する必要はありません



治療経過が悪い場合に痰のグラム染色を再検して単一菌が増えていれば、

その時に初めて治療ターゲットにすればいいだけです



手術予防の抗菌薬のパスならわかりますが、

誤嚥性肺炎パスは抗菌薬を選択する力や適切な経過観察する力が

失われますのでやめた方がいいと思います

もしパスが必要なら、デフォルトはアンピシリンにしてはいかがでしょうか?



誤嚥性肺炎の治療の本質は、抗菌薬の選択ではなく、

いかに誤嚥を予防するかということです


誤嚥性肺炎の治療が抗菌薬の選択だと思ってしまうことが

誤嚥性肺炎治療のピットフォールです



誤嚥を予防するために考えうることは全て行います


意識レベルをよくする(例:日中の覚醒を促す努力)

口腔内の衛生を保つ(例:歯科衛生士や看護師さんの協力)

食形態を適切にする(例:栄養科と相談)

食事姿勢を適切にする(例:STさんと相談、VE、VF)

嚥下や意識レベルに悪化するような薬をやめる(例:抗コリン薬、抗精神病薬)

胃からの逆流を防ぐ(例:食べた後の姿勢、CCBをやめる)

消化管の蠕動をよくする(例:ガスモチン食前)

便秘を改善させる

oral frailに対してリハビリを行う

低体重・低栄養に対して介入(例:簡単にいうと体重を増やす努力をする)


上記介入は誤嚥性肺炎に抗う対応です


これらは今後の生活をより良く保ち、長期予後を保ちたいと

皆のコンセンサスがあれば全て行うべきです



誤嚥性肺炎にST入れて終わりと思っている人もいるかもしれませんが、

STさんからすると大変迷惑な話です


STリハビリを入れているにもかかわらず、

栄養に無頓着で入院中にどんどん痩せていっている人がいますが

これは片手おちです


車で例えるなら、片方のタイヤだけで進もうとしている状況です

リハビリと栄養が両輪ないと、真っ直ぐに進みません


リハビリをするのであれば、「頑張る」と決めたわけであり、

栄養含めて他も頑張ってください


簡単にいうと、体重を増やす努力もしましょう


STさんがどれだけ頑張っても、体重が減っていってしまっては、

嚥下状態は改善しません



誤嚥性肺炎の予防はバンドルです


一つ一つの効果は小さいかもしれませんが、

積もり積もって大きな効果になります


そのため、一つ一つを全て頑張るのか、

それともdying processとして、無理しないで余生を安楽に過ごすか

大きな方針・ゴールを立てることが、

治療を始める上で重要になります


ゴールを決めずに治療を開始することは、

車で例えるなら、目的地もなく走り出している車です


ゴールを立てるためにはSDMやACPが必要です


SDMやACPなしに誤嚥性肺炎の治療をすることは、

その場しのぎであり、やることをやっていない

「怠慢」であると自分自身を戒めています




まとめ

・診断のピットフォール

初回の誤嚥性肺炎は、誤嚥性肺炎ではないことが多い

繰り返す誤嚥性肺炎の中に「結核」が紛れ込んでいる


・治療のピットフォール

嫌気性菌をカバーしないでいいのは常識になりつつある

抗菌薬の選択ではなく、誤嚥をいかに防ぐかが治療の本質


・誤嚥性肺炎は内科医の要素が全て詰まった疾患




誰も教えてくれなかったコミュニケーションの話

※症例は架空です 勉強会終了後、看護師さんよりフィードバック 毎日のデイリーカンファは素晴らしいけれど、 患者さんに今日、何が行われるかとか、 話し合った内容が伝えられないことがある 家族にはしっかり面談をして、何が行われるか伝えていることが多いが、 患者さんが置いてきぼりになっ...

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