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2024年2月13日火曜日

溶血性貧血、下から見るか、横から見るか?

溶血性貧血って難しいですよね

苦手な人が多いのではないでしょうか


なぜ難しいか考えてみました


原因は三つあるかと思います


一つ目は、溶血性貧血の分類法かと思われます

MCVやRPI、血管内外、免疫介在の有無、遺伝の有無など、

たくさんチェックするところがあります


「溶血性貧血」をどこから見るかによって、

  見え方が異なるイメージです


昔、打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?という映画がありましたが、

あんな感じです



貧血の場合、フローチャートがありますが、

フローチャートにはのらないケースもあり、簡単にはいきません


頭の中で論理的に考えていく必要があります



二つ目の原因は、原因が複数あることも多いことです


溶血が進んで葉酸欠乏や鉄欠乏合併、

PNHとMDSや再生不良性貧血合併、

MDSと破砕赤血球出現、

感染合併したTMAなど


原因が複数あると

MCVやRPIの値が教科書的でなくなったり、

典型的ではないデータになることもあります


あわないデータであっても、

網羅的にチェックする必要があります


3つ目は、シンプルです

溶血性貧血は毎週出会うような疾患ではなく、

稀な病態のため、慣れるのが難しいということです




溶血性貧血の診療は時間軸も重要です


TTPを疑った場合、緊急で血漿交換を行うかを検討する必要があります


疾患の重症度や治療の緊急度によって、

早急に除外すべき疾患もあります


精査のためには外注が必要であり、すぐに出ないものもあります


初診外来の流れの場合、

最初の血算がでてMCVがわかり、RDWを確認しRPIをチェックします


情報が追加されるごとに何が起きているかが、

解像度が高くなってきます


イメージは、マトリョーシカです

時間が経てば経つほど、原因が明らかになってきます


ただ、その時間をかけても良いかを考える必要があります






2021年7月3日土曜日

後天性血友病

 aPTT 混合試験結果判明後、本患者はプレドニゾン治療を開始した

胸部、腹部、骨盤の CT では、潜在的な癌所見は認められなかった

入院 3 日目に、下肢に新規の斑状出血が出現したため、FEIBA 単回投与施行し、

その後は新規病変出現や拡大はなかった


低用量シクロホスファミドがレジメンに追加され、

患者の第 VIII 因が 10%  aPTTがほぼ 正常範囲となり、入院 10 日目に退院した。外来では免疫抑制療法を漸減し、患者は完全寛解を維持している。

 

最終診断:後天性第VIII因子インヒビター

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様々な出血

斑状出血は、血管周囲からの皮下血管外漏出平坦で、境界明瞭濃い紫色、変色する。

活動性紫斑病 (老人性紫斑病は、日光暴露による、高齢患者の前腕と手に斑状出血斑紋

日光暴露老化皮下脂肪組織量減少、血管が脆弱となる 通常 1  4 cm に過ぎない

血腫は、血管外腔の血液集積深部組織血腫は見えない皮下血腫は隆起周囲に斑状出血

原因には外傷自然発症がある


高齢者虐待(米国)では、60 歳以上の 10 人に 1 人が何らかの形で経験


筋肉血腫危険因子抗凝固剤(最多)高齢、女性、高血圧、慢性腎不全、末梢血管疾患病歴


●止血について

一次止血第一次血栓形成血小板血管が関与))点状出血を伴う皮膚粘膜出血

二次止血フィブリン関与の血腫形成) 凝固因子が関与関節・筋肉血腫を惹起



後天性aPTT 延長

  抗凝固剤、LACVWF欠乏症、 VIIIIXXI XII 因子 インヒビター等

抗リン脂質抗体症候群での、筋肉の自然出血の報告はない

VVFは第 VIII 因子と直接相関 aPTT延長 は、VWF 因子が20  30% 未満で延長

後天性VWF欠乏症は、リンパ増殖性疾患、自己免疫疾患、心臓病等に合併

後天性第 IX 因子欠乏症はまれ、通常分娩後女性

後天性第 XI 因子および第 XII 因子欠乏症出血(傾向)は示さない


●後天性第 Ⅷ因子インヒビター(後天性血友病 A 

 VIII 因子に対する自己抗体、数週間から数か月後に症状を呈する

診断時年齢の中央値は 78 高度の出血(症状)を呈し、筋肉内出血もある。

がん自己免疫疾患の合併例もあるが、症例の50%以上では原因不明である。

年間発生率は0.1  1.5 /100 万人 、凝固検査のアーチファクトがよくある 


 診断

Ⅰ:抗凝固剤暴露(ヘパリン他)の除外

ヘパリナーゼによるヘパリン消去後、① aPTT 再検 TT、③抗 Xa 検査

: aPTT mixing study

  aPTT正常: VIII 因子、IX 因子、 XI 因子、 XII 因子等の欠乏を示唆

  aPTT 延長:インヒビターの存在を示唆

Ⅲ:第 VIII 因子インヒビターを Bethesda アッセイで定量化 

BU で表示され、第 VIII 因子活性の 50% を中和するインヒビター量を示す


 治療

凝固カスケードにおける危機的な出血回避目的で、薬剤使用による止血達成

インヒビター除去目的の免疫抑制剤の投与


 後天性凝固因子インヒビターを有する患者への免疫抑制戦略は、グルココルチコイド療法が基本となる。シクロホスファミド追加で、一次免疫抑制後応答が加速し、完全寛解率の大幅な上昇に繋がる。

リツキシマブも使用されているが、リツキシマブ追加での初回治療奏効率は、グルココルチコイド使用の場合と同等である 。  


原疾患(undrling cause)特定


 VIII 因子補充法デスモプレシン VIII 因子濃縮物輸血


高力価患者 (>5 BU) や保存的管理でも出血持続する場合

  遺伝子組換え第 VIIa 因子

   FEIBA  などのバイパス剤bypassing agent

  抗線維素溶解薬 (アミノカプロン酸やトラネキサム酸など補完療法14,15

  組換え型ブタ第 VIII 因子 

⑤エミシズマブ


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個人的に疑問だったのは、なぜ前腕にできたか?でした


後天性血友病の好発部位は臀部や腸腰筋だと思っていたので、

前腕にできる理由がわかりませんでした


ただ、本文にも書いてありますが、高齢者虐待であれば、確かにありうるのかなと思いました



虐待まではいかなくても、高齢者は腕を引っ張ったりされやすく、

知らず知らずに外傷を負っているのかもしれません





後天性血友病は治療が遅れると出血して死んでしまう病気なので、

なるべく早期に診断し、治療をする必要があります



バイパス剤は普通の病院にはまず置いていないので、

取り寄せに時間がかかることもしばしばです


後天性血友病は、止血のためのバイパス剤と免疫抑制剤など思い切った治療が必要なので、

専門家の先生のいる病院に送った方が良いと思います



ただし、後天性血友病は高齢者の病気です


出血の影響で状態が悪いと、送ることもできずに、

そのまま治療せざるを得ない時もありますので、今回の症例の流れを知っておくと良いのかなと思います





高齢女性の左腕が腫れて痛くて、紫色になった

今回のNEJMは親近感がわきますね
明日、救急外来で出会いそうな症候です


この主訴から行き着く治療が凄まじいですね
なかなか出会わない疾患だからこそ、こういった症例でゲシュタルトを頭に入れておきましょう


オススメ度:★★★☆☆

ただ、あんまりひねりや感動はなかったので、☆は少なめです




 82 歳の女性が、左腕痛腫脹斑状出血で当院に入院した

患者はそれまで健康であったが、入院4日前の覚醒時、

左肘部皮膚腫脹変色が認められた

外傷はなかった

次の 2 日間で腫脹と変色が肘と前腕に広がり、疼痛が生じ、

精査加療目的で他院の救急部を受診した

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コメント

これは明日、出会うかもしれない感じの主訴ですね
外来やっていると、ぶつけてないのに手が紫色になったんだけど、
これは悪い病気ですか?

と聞かれることは、循環器や膠原病科の先生にとってはあるあるだと思います

高齢なだけでも前腕に紫斑ができることはよくありますが、
ステロイドや抗血小板薬を使用しているとさらに増えます


先日も全く別の主訴で入院した患者さんの前腕が紫色になっていました

採血の止血が不十分だったりすると容易に紫斑が広がってしまいますよね



そういった老人性の紫斑が多いのですが、今回は腫脹や疼痛があることが変ですね

腫脹しているとなると、静脈に血栓ができている可能性があります
静脈がうっ血して静脈性に出血しているのかもしれません


なのでこの症例のはじめの疑問は血栓があるかないかです



腕の血栓には2種類あって、浅いか深いかです

浅い表在性の血栓性静脈炎は、皮下にコリコリと索状物が触れることがあります


良性のものはモンドール病で、自然軽快します

悪性腫瘍に伴う表在性の血栓性静脈炎はトルーソー徴候と呼ばれます


トルーソー徴候というと、今では拡大解釈されて癌に伴う過凝固病態全体を指すことがありますが、もともとは表在性の血栓性静脈炎で発表されました


     

トルーソー症候群について

フランスのArmand Trousseauが1865年に報告しました

そして1867年に自分自身がトルーソー症候群が出現し、
膵癌で死亡した(所説あり、胃がんともいわれる)ことでも有名です

トルーソー先生は、剖検時に胃の病変が慢性胃炎か胃潰瘍か癌かを見極めるときに、
painful white edma(有痛性白股腫)の存在をみつけると、
これが癌であることのサインであることを示しました

なのでトルーソー症候群というのは、
元々は再発性の血栓性静脈炎が癌によって起こる病態のことを指します


ですが、1977年にJohns Hopkins Hospitalからでた論文でNBTE:non-bacterial thrombotic endocarditisという病態が加わったことで、トルーソー症候群の概念が徐々に拡大解釈されるようになってきました


そして、最初にがんと血栓症との関連を示したのが、トルーソー先生だったので、
現在はがん関連血栓症(CAT)のことをトルーソー症候群と呼ばれることが多くなりました


ですが、トルーソー症候群を明確に定義したものはありません

「トルーソー症候群」という単語が飛び交う時には、
狭義の表在性の血栓性静脈炎のことをいっているのか、
広義のがんに伴う過凝固病態を総称していっているのかを確認しなければなりません




腕の表在性の血栓を見つけた場合

・デバイスが入っていたか? → 化膿性静脈炎・静脈血栓
・違法薬物の注射をしていないか? 
・トルーソー症候群ではないか?
・モンドール病か?
・ベーチェット病 
→ ベーチェット病は動脈も静脈も侵します
 動脈では拡張性病変である動脈瘤も生じます。また閉塞性病変も認められます
 肺動脈の動脈瘤も文献的には有名です
 一方で静脈の閉塞性疾患である血栓症も認められます
 ただし、表在静脈の血栓症である皮下の血栓性静脈炎は
 厚生労働省ベーチェット病診断基準では皮膚病変に分類されることに注意が必要です


表在の血栓だけでは普通は腕全体の浮腫はこないので、今回は違うのでしょう

となると深くて太い静脈、鎖骨下〜腋窩V〜上腕の静脈に血栓がないかをまずは考えます
原因としては、外部からの圧迫、血流低下、凝固亢進、血管内皮障害を考えます


片腕がパンパンに腫れている人を見たら、
まずはPaget-Schroetter症候群(原発性鎖骨下静脈血栓症)が思い浮かびます

Paget-Schroetter症候群は胸郭出口症候群(TOS)の一種で、
第一肋骨と鎖骨の間の圧迫により、鎖骨下静脈が損傷し血栓が生じます


ですが、ピットフォールもあります
中年男性が右腕がパンパンに腫れて浮腫んできた人がいました

Paget-Schroetter症候群だ!と思って、
すぐに超音波検査をしましたが、血栓はありませんでした

ならば・・・と思って、造影CTをしましたが、血栓はありませんでした


あれ??おかしいな・・・・と思っていたら、
よく診察すると肩をとても痛そうにしていました


病歴を再度聴取すると、肩が上がらなかったので、
ずっと腕を下に下げていたとのことでした

CTで見ると肩関節周囲に石灰化があり、石灰沈着性腱板炎による痛みによって、
腕を下げていた事によるただのうっ血でした

NSAIDsですぐによくなりました



というように足の場合は、うっ血しやすいですが、
腕がうっ血するためにはそれなりの理由が必要です


外からの圧排では、胸郭出口症候群以外にも、
肺尖部の癌やリンパ節によって圧排されている可能性もあり、画像評価は必要です
診察では鎖骨下や腋窩のリンパ節をチェックします


腕の血流低下が起きる一般的な状況は手の骨折でギプスが巻かれているときです
入院中であれば、PICCからの血栓が多いですね

あとは凝固異常、血管炎病態を考慮します





このように血栓があるか、ないかで鑑別が変わるので、
早めに血栓がないかはチェックしたいですね

血栓がなければ、ただの出血でしょう

そうなると、どこから血が出ているのか?を考えます

1、動脈:動脈瘤(血管炎、カテ後)、解離、外傷
2、静脈:静脈瘤、うっ血による破綻、外傷
3、血管奇形・シャント
4、筋肉内出血


PNの人は内臓だけでなく、四肢の動脈にも瘤を形成します
破裂するときは激痛です

このように出血であれば、
どこから出ているのか?今も出ているのか?が大事になり、
超音波検査、造影CT、血管アンギオが必要になります


血管のトラブルでなければ、止血の問題になります
血小板、PT、APTTをチェックします

どれも正常であれば、壊血病や後天性血友病13、腎不全、肝不全の可能性を考慮します

中でも壊血病は病歴や診察で診断できる可能性があります

ビタミン C は、骨・軟骨・歯・皮膚及び血管周囲の 結合組織の主要成分であるコラーゲンの生合成に重要な役割を果たしています
ビタミン C が欠乏すると不安定なコラーゲン線維しか生成されず、
血管壁や血管周囲の結合組織が脆弱化し出血傾向を呈します

診断には、特徴的な毛のう周囲の出血斑と、corkscrew状の体毛を探します
そして、ビタ ミン C 欠乏をきたしやすい基礎疾患や詳細な食生活の聴取が大切です



この症例の流れは、

①血栓があるかどうか?
 -1 血栓があれば、原因は何か:
  血流低下(外部からの圧迫、不動)、凝固異常、血管内皮障害

②血栓がないのであれば、どこから出血しているのか?
 -1 動脈
 -2 静脈
 -3 血管奇形
 -4 筋肉内

③血管異常がなければ、出血傾向の原因は何か?
 -1 血小板の問題
 -2 PT,APTTが異常
 -3 APTT単独で延長
 -4 PT,APTT異常なし

ですね

あえて、他の鑑別をあげると、感染として考えるのであれば、
壊死性筋膜炎、手の蜂窩織炎、帯状疱疹といったあたりでしょうか

アッヘンバッハにしては範囲が広すぎますかね

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身体診察では、体温は 36.9°C、血圧は 153/65 mm Hg、脈拍は毎分 59 /分、呼吸数 16/分 、
酸素飽和度は 98% であった

左肘上から手首に皮下出血が広がり、触診で左前腕の圧痛を認めた
左肘と手首の可動範囲 左橈骨動脈(拍動)は正常であった

左前腕の X 線写真では、骨折や骨病変はなく、びまん性骨減少症と手首関節の変性が認められた
電解質、血糖、腎機能等は正常であった
他の検査結果を表 1 に示す
イブプロフェンが投与され、患者は安静用肩掛け(sholder sling)をして帰宅した
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コメント

自然に止血が得られておらず、普通の老人性の紫斑ではなさそうですね
止血がうまくいかない原因を考える必要があります
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次の 2 日間で、左腕痛が悪化し、左手と指に斑状出血が広がった
疼痛は、アイスパック、アセトアミノフェン内服、腕の挙上では軽減しなかった
精査目的で当院救急部門を受診した

救急部では、患者は回外時または手の把握時(拳にした際)に左腕痛を訴えた

腕や手のしびれやうずき、関節内出歴、歯科処置による出血時間延長、月経過多等はなかった

既往歴・病歴に、高血圧、脂質異常症、末梢血管疾患、頸動脈狭窄、骨粗しょう症、慢性腎臓病、肥満、
 40 年前の深部静脈血栓症等があった
内服薬は、アスピリン、アトルバスタチン、リシノプリル、ヒドロクロロチアジド、メトプロロールであった
40 年間の喫煙歴があったが、22 年前に禁煙している

飲酒、違法薬物使用等はなし
未亡人、独居で、成人した子供達が定期訪問していた

家族歴では父親に冠動脈疾患がある
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コメント

経過や既往、内服歴、生活歴が出てきました

既往で気になるのは40年前のDVTですね
40年前なのであまり関係はなさそうですが、もう少し深く聞いてみたいですね

これまでの出血傾向のエピソードはないみたいです
そもそも年齢から違いますが、先天性ではないようです


筋肉を使うと痛みが出ています
これは筋肉内出血を示唆します
感染であれば、化膿性腱鞘炎は心配ですが、今回は血腫による圧排が原因でしょう

内服薬で気になるのは、降圧薬の選択がアメリカっぽいところですね
日本ならサイアザイドではなく、CCBが好まれますね


アスピリンを飲んでいるので、普通の人よりは止血がうまくいきにくいのかもしれません


これだけの情報では、鑑別は大きく変わりません
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身体診察では、体温は 36.1°C、血圧は 169/77mmHg、脈拍は 76/分 、呼吸数は20 /分、

酸素飽和度は 97% で、体重は 72.5 kg BMI 32.3 であった

左腕の変色上腕中央、肘近位部に明瞭な境界線があり、中手指節関節まで一様に拡大していた (1)



前腕と手首背側の触診で圧痛を認め、手首と肘は受動的可動範囲であり、前腕はやや硬く、

全体的に腫脹していたが硬化はなかった

腕と手全体の触覚は残存していた

橈骨動脈は正常で、指は暖かく、全指で毛細血管充満(時間)は正常であった

他の身体所見は正常

電解質、血糖、腎、肝機能等も正常であった。その他の結果は表 1 に示す



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コメント

上腕のところできれいにラインが引けるのが気になりますね

駆血帯によるものや外部からの圧迫がなかったかは確認したいです


血液検査の結果からは、APTT伸びていますね


そうなると、後天性血友病のカテゴリーで考えます
pivot and cluster ですね
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造影左腕CTでは、腕橈骨筋の異常肥大が認められ筋肉内血腫を示唆する所見であった
肘と前腕の中心部皮下脂肪に高密度所見hyperdense stranding)があり、出血と合致する所見であった ( 2)



 CTA では、胸部大動脈全体に著明な、部分的石灰化プラークが認められた
椎骨動脈近位にある左鎖骨下動脈の著明な局所的プラークは、
 70  80% の狭窄を認めたが、それ以外では、左腕の動脈は開存していた

動脈相または遅延相画像では、活動性出血の兆候はなく、
仮性動脈瘤や解離などの局所的な動脈損傷につながる所見は認めなかった
また、造影される腫瘍は同定されなかった
遅延相画像では、描出された表層静脈と深部静脈は開存していた
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コメント

はい、ということで・・・

①血栓があるかどうか? →なし
 -1 血栓があれば、原因は何か:
  血流低下(外部からの圧迫、不動)、凝固異常、血管内皮障害

②血栓がないのであれば、どこから出血しているのか?
 -1 動脈
 -2 静脈
 -3 血管奇形
 -4 筋肉内
   
      

③血管異常がなければ、出血傾向の原因は何か?
 -1 血小板の問題
 -2 PT,APTTが異常
 -3 APTT単独で延長
 -4 PT,APTT異常なし


長々と解説してきましたが、今回の症例は後天性血友病でしょう

あとは、後天性血友病を診断するまでの経過を見ていきましょう






明日、出会いそうな主訴にも関わらず、
治療がとんでもないのが後天性血友病です

今回の症例でゲシュタルトとその後の流れをつかみましょう




    

2021年6月29日火曜日

アミロイドーシス 〜という名のパズル〜

最近、アミロイドーシスが流行っているので、昔まとめたスライドを載せておきます
7年前のスライドなので、情報としては古いです

アミロイドーシスを診断する心意気みたいなものを感じ取っていただければ幸いです
























老人性のATTRの心アミロイドーシスは以前は治療はなかったが、
2018年にトランスサイレチン四量体安定化薬のTafmidisが予後改善効果が認められた




ATTRwt(野生型)、ATTRRv(遺伝子変異)のどちらにも
トランスサイレチン四量体安定化薬のTafmidisは効果ある










アミロイドーシスのつらいところは、起立性低血圧が重篤になりやすいことです
ベッドアップだけで失神してしまう人もいました







カタトニア in the ICU

 

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