2018年12月28日金曜日

腹痛のみかた

腹痛の人に出会ったら


まずは病歴聴取ですが、

痛みがひどければ、

まずは鎮痛や診察、検査して

早く診断して痛みをとってあげましょう

痛みがそれほどでなければ、病歴聴取します

その場合、何度も言っていますが、

痛みの図を描けれるように、病歴をとります

Opqrst2 とか、old carとか

ゴロはありますが、

その通り病歴をとったとしても、痛みの図がかけないようであれば、

不十分です

もちろん、時間の制約や病歴をうまく語れない人、

痛みが強くてそれどころではない人がいるので、

現実は難しいです

ですが、しっかりした病歴聴取が出来ない言い訳ばかりしていると、

できる状況でも、ちゃんとできなくなりますので、

理想を目指す努力はしましょう


診察のコツは、3次元を意識するといいと思います

一次元目は平面的に痛みの範囲や痛みの強さのグラデーションを

頭に入れます

あたかも天気図のような感じで、痛みの強さが頭に入るイメージです

大事なのは台風の目のように、突出した圧痛点の有無です




二次元目は深さです

あたかも掌を魚群探知機のように、深部を探るイメージで触ります

どの層の異常かを掌で感じながら、触っていきます



三次元目は、時間です

時の流れに身をまかせると、所見が顕在化してきますので、

腹痛の診察は何度も行います










2018年12月25日火曜日

身体所見と検査データが解離した時

高齢者は身体所見をとるのが、難しいことが多いです


例えば胆管炎になったとしても、痛みがなかったり、

重症感がわかりにくいことは多々あります


なので、どうしても検査データ、画像に頼ってしまいがちですが、

検査盲信はよくありません


例えば、誤嚥性肺炎で治療後の寝たきりの高齢者で、

ある時の採血で、急に肝胆道系酵素が上がっていた

ということは、たまに経験があるのではないでしょうか


そんな時に頭の中では、

セフトリアキソン使ったから、偽性胆石症になって、

胆管炎を起こしてしまったかなあとか、


この人にERCPする〜??

とか、

薬剤性だよね


とか

いろいろ、頭の中では考えます


しかし、一番大事なのは、検査データが本当に確かかどうかです


これまでの経過に逸脱したデータが出た時は、

必ずデータの信憑性を疑います


人の手で、採血が行われ、

人の手で、検査されますので、

間違いは起こりえます


なので、検査を盲信するのは危険です


文脈や身体所見と解離しているデータは信じられません


データよりも身体所見を重視しましょう


ですが、

データは無視しろ、と言っているわけではありません


変な検査結果は、再検しましょう

ということです


当たり前かもしれませんが、その一手間を省くと


胆管炎でない人にERCPをしてしまったり、

手術をしてしまったりと、大変な医療事故を招きます


何か変だ

と感じたら、検査は再検しましょう


入院中の見せかけの肝胆道系酵素上昇、T-bil上昇は、

実は偽物(つまり、他人の採血結果を見ている)かもしれません


偽性胆管炎(と、勝手に名付けました)にご注意を



言いたかったことは、検査と身体所見が解離した場合、

信じるのは、身体所見です

ということです









血尿とショック

血尿とショックの組み合わせは相性がよく、

たまに出会います

尿カテが留置されており、施設入所者というセッティングが多いです

そして、たいてい、カテの交換後です


交換後、バイタルよくて、血尿があっても止まるだろうと様子見られて、

でも、やっぱり止まらず、夜間に救急搬送になる

というのは、よくあることです


そんなときに、このショックは、

出血性か、敗血症性か

ということで、悩みます


皮膚を触ったりして、warm shockか、cold shockかを考えますが、

それだけで、鑑別してはいけません


敗血症は早く抗生剤を入れないと予後が悪いので、

出血性ショックかもしれなくても、

まずは血培をとって、すぐにGNRをターゲットにした抗生剤を入れます


輸血するかは、輸液の反応性みてからでもいいです


輸血は迷いますが、血培と抗生剤は迷いません





検査は、血液検査や凝固の検査を行い、

画像は、超音波やCTを行い、

血尿の原因とドレナージすべき部位があるかを確認します


血尿の場合は膀胱タンポナーデが心配ですので、血尿が止まったからといって、

喜んでいてはいけません

膀胱タンポナーデを防ぐためには、膀胱洗浄しないといけません


まずは留置されているカテがしっかり膀胱内にあるかどうかを確認しましょう


膀胱内にバルンがなければ抜去して、新しいカテを挿入する必要があります

しかし、難しければ、あまり無理せず、早めに泌尿器科Drに相談しましょう

無理に頑張ると、偽尿道ができてしまうこともあります



低体温

低体温

寒くなった影響もあってか、低体温が増えてきました

鑑別はたくさんありますが、実際は思考過程は単純です




低体温の原因は1つとは限らず、

複合してくることも多いです


結局、最初は原因がよくわからないので、

全部考えなければなりませんが、

急ぐ順があります


低体温の場合は、いつもルーチンで考えていきます


①まずは、感染症、敗血症を疑います

感染のフォーカスが分からなくても、血培は取っておくべきです

感染症でいつも悩ましいのは、だいたい意識障害があるので、

髄膜炎を疑い、ルンバールするかどうかです


血培は迷いません

ルンバールは迷います


復温しても、意識障害が遷延するようであれば、

ルンバールは閾値低めに行うのが良いと思われます


②次に、中枢神経疾患の存在を考えます

パーキンソニズムを呈するような疾患が低体温を起こすことが多いです


しかし、既存の疾患がわかっていれば簡単ですが、

背景疾患が不明な場合もあります


意識障害を伴っていることが多いので、

頭部CTも行われることが多いです

出血や血腫や水頭症は確認すると思いますが、

脳幹や小脳の萎縮くらいはチェックしてもよいかもしれません


③内分泌疾患

甲状腺機能低下や副腎不全は有名ですが、頻度は多くない印象です

チェックはしますが、ステロイドを最初から入れるかは迷います

ショックなら、臨床状況からステロイド入れることもあるでしょう


なので、どこでステロイド入れるか迷いながら、経過を見ることも多いです


④薬やアルコール

アルコールはよくありますが、

アルコールだけと決めつけてはならないので、最初からは考えません


⑤その他です





低体温の何が難しいかというと、

原因と結果が混在することです

消化管の運動が悪く、嘔吐したりすると、

意識も悪いことが多いので、

誤嚥性肺炎を合併したりします

そうすると、肺炎の影響で、

敗血症になり、低体温になったのか

よくわからない

ということはよくあります


このモヤモヤ感は低体温を診療する上で、つきまとってきます




治療は復温するときに不整脈が起こるので、

極力刺激を与えないように、管理しましょう








2018年11月21日水曜日

がんと感染症

がん患者さんが熱を出すことは日常茶飯事です

ですが、がん患者さんの発熱は大変、やっかいです

腫瘍熱なのか、薬剤熱なのか、感染症なのか

そして、感染症ならどこにfocusがあるのか

ということに悩まされます

なので、腫瘍内科の先生は、

がんとともに、感染症とも戦う日々です


救急外来に、担癌患者さんが発熱で来た

というだけで、かなり身構えます

そこで、いきなり「じゃあ、どうぞ。お入り下さい。今日はどうされましたか?」

と普段通り、問診を開始してはいけません


カルテがもしあって、がん患者さんだということが分かれば、

「がんのprofile」を簡単に頭の中に整理します


当院ではプレゼンテーションの際に

主訴の次に「profile」といって、

患者さんの簡単な情報を、述べるようにしています


80歳 男性 主訴:発熱

現病歴
3日前から湿性咳嗽を自覚
1日前から呼吸苦、倦怠感あり
当日、高熱を認め来院


これで80歳男性がどんな80歳か想像できますか

寝たきり、胃瘻造設、施設入所中の80歳もいるでしょうし、

元気に農家を営んでいる人もいるでしょう

肺癌で化学療法後の人もいるでしょう


なので、現病歴を言い始める前に、簡単な「profile」を述べることで、

どんな人が来たのかを想像できるため、

現病歴で大事なところを把握しやすくなります


このprofileを、改変して、

がんの人の場合は、「がんprofile」として、サマライズします


診断はいつか、ステージ、転移している場所、治療経過、

デバイスの有無、ステントの有無、

予後、PS、最後の抗がん剤、といった情報を、

簡単に把握してから、

病歴をとり始めます


でないと、何に気を付けて、

問診や身体所見をとればよいか分かりません



がんのprofileを作る時に重要なのは、

がんによって起こる3つの問題を整理することです

バリア破綻、構造異常、免疫不全の3つです






①バリア破綻

皮膚や消化管の粘膜は免疫の最前線であり、

体のバリアになっています

しかし、がんの患者さんの場合、

皮膚や粘膜のバリアが破綻していることが多いです


治療で用いるデバイスや抗がん剤、手術、放射線によってバリアが破綻します


バリアは免疫の一部であり、最も重要であることは

忘れがちですが、大事なことです


このバリアをしっかり把握するためには、

体表の地図を描きます


どこにデバイスが入っていて

どこに放射線をあてて

どこの手術をしたのか

皮膚の状態はどうか

爪の状態はどうか


といった地図を頭の中でも、紙でもいいので、描きます


そこが感染のエントリーになることも非常に多く、

その場合は、MRSAをカバーするのか

という議論になります





②構造異常

・がんによって閉塞している管:腸管、尿管、胆管、気管、血管など

・手術によって解剖学的部位が変わっている

・原発ではなく、転移した部位で問題を起こしている


上記の通り、がんの患者さんは普通の人と解剖が変わっている可能性があります

特に原発巣・転移巣が、周辺の管の閉塞起点になることが多いため、

ドレナージやステントが必要な病態になりやすいです


過去のCTがあれば、必ず確認します

そして、それがいつ撮られたものかも確認します

かなり前であれば、解剖は現在は変わっている可能性があり、

画像の閾値は低めに設定します


さっきは体表の地図を描いたので、

今度は体内の地図を描くイメージです






③最後に免疫不全です

簡単にいうと、好中球減少と液性免疫不全と細胞性免疫不全に分けます

好中球減少と液性免疫不全は、反射で動きます


(1)好中球減少

好中球が減っている人の発熱はFNと言われ、

内科エマージェンシーの一つです


抗がん剤を使っている人や血液疾患の人、バセドウでメルカゾール服用中の人で、

発熱があれば、

必ず血算で、好中球の絶対数を確認します


カルテをみて、今、化学療法何日目?

という情報は大事です


血算で好中球が減少しており、FNだ!

ということになったら、

これはもう反射的に動くことが大事です

focusが分からなくても、具体的な菌名を上げられなくても、

とりあえず緑膿菌は外さず、血培をとって治療をいち早く開始することが重要です


focusが不明なので、一晩様子をみよう

と悠長なことを言っていたら、次の日には亡くなる可能性のある病態です

だからといって、熱源探しをしなくていい

というわけではありません


ただし、熱源は好中球が少ない分、分かりにくいので、

時間をかけすぎない

ということが大事なのです


膿尿のないUTI

痰のでない肺炎

痛くない蜂窩織炎

といったように所見が目立たないことが多く、

focusは最初のうちは分かりにくいと、言われています

ただし、入念に診察すると、翌日、翌々日には所見が出てくることも多く

毎日丁寧に診察することが大事です


(2)液性免疫不全
液性免疫不全になる主な原因は、脾摘後の患者さんです

脾摘後の患者さんの重症感染症はOPSIと呼ばれます

既往歴を聞いても、外傷で脾臓をとったことを話してくれないこともあるので、

手術歴や外傷歴と別に聞いた方が無難です



最近は脾臓をとってなくても、大変小さい脾臓の人がいて、

そういう人の中に、脾機能低下がある人もいるようで

脾臓の手術歴がなくても、CTでとても小さい場合は、

少しは考慮しないといけないのかもしれません


この病態の場合も、FNと一緒でとりあえず、血培とって早めに抗生剤です


ここでカバーしないといけないのは、

肺炎球菌を含む莢膜をもった細菌です


加えて、ペットの飼育歴を聞いて、

もしペットを飼っているのであれば、

カプノサイトファーガを考慮します




(3)細胞性免疫不全

細胞性免疫不全は詰将棋的な感じで、じっくり戦略をねることが重要です

1分1秒を争う状況ではないですが、鑑別が膨大になることが多く、

検体をどうとるか

が勝負になります


なので反射的に動かないといけない上二つの免疫不全とは、毛色が違います



この3つの免疫不全ががん患者さんで併存している可能性があるので、

3つの免疫不全がないかをチェックします



まとめ
・がん患者さんと一括りにしない

・がんのprofileを頭に入れてから、診察を始める

・がんのprofileを作るコツは3つ

 1、バリア破綻:体表の地図
 2、構造異常:体内の地図
 3、3つの免疫不全:好中球、液性免疫、細胞性免疫


この段取りを踏んで、診察すれば担癌患者さんが発熱できても、怖くありません


2018年11月20日火曜日

仮説の立て方

医療は不確定な要素が沢山ありつつも、

進んでいかなければなりません

確定診断がついて、治療方法も確立していて、

このレール(パス)に乗れば安心

という状況のほうがむしろ少ないです

パスに乗せてはいけない症例をとりあえずパスに乗せて、

思考が止まってしまうこともよくあります


なので、毎回しっかり考えることが大事です


診断がついていなくても、治療しなければならない時もあります

病歴が不明で、病前の状況がわからない時もよくあります


そんな時は、自分なりの仮説を立てます

その仮説をもとに、プランを立てます

しかし、その仮説がよくないと、その後に悪影響を及ぼします


よくない仮説の特徴は、

一見、飛びつきたくなる仮説です

ですが、それは楽観的なことが多く、

疾患を見逃したり、感染拡大を起こす危険があります

人は楽したい生き物なので、

どうしても自分が楽になる仮説に飛びつきたくなりますが、

それはよくない仮説の可能性が高いです




よい仮説の特徴は、手間はかかります


常に最悪に備えつつ、最高を期待する仮説です


最高のアウトカムを期待し、

自分がその思いでいることを、周りのコメディカルや患者さん、家族に伝えることで、

皆が同じ方向を向いて、進んでいくことができます


注意点として、最悪に備える必要があるので、

面談の際には、最悪のアウトカムの説明は行いますが、

配分を間違えないようにします

最高を期待していることを2/3くらいの割合で、

最悪にも備えようねということを1/3程度は伝えるようにします


この比率が逆転して伝わってしまうと、

最悪を期待している医者として、とらえられる可能性もあり、

注意が必要です

あまり保守的な説明ばかりしていると、信頼をなくします




2018年11月18日日曜日

手根管症候群とc6,7神経根症状

手の痺れの鑑別

手の痺れを訴えてきた人を見て、まず思い浮かべるのは、

手根管症候群です


手根管症候群、つまり正中神経の障害で起こる痺れと

C6,C7の神経根障害の痺れは部位としては、非常に似ています

ring finger splitは有名な所見ですが、

主観的な評価にだけ頼る診察で、鑑別しては危険です



手根管症候群と、神経根症状は痺れの部位だけだと鑑別が不能ですので、

それ以外の診察で鑑別していきます


つまり、筋力と腱反射をしっかりみます


・C6病変 VS 手根管症候群




C6の神経根症状で認める筋力低下は、手関節の背屈です

腱反射は腕橈骨筋反射の減弱です

それで鑑別を行います



・C7病変 VS  手根管症候群



C7の神経根症状で出現する筋力低下は、

上腕三頭筋です

手を伸ばして突いていると、がくがくする

という訴えが聞けることがあります

他、手関節の掌屈や手指の伸展もC7です


・○○サイン

手根管症候群の場合、phalenやtinelは有名なわりに使えません

かわりに、フリックサインが有用ですが、

もちろん、これだけで手根管症候群と決めつけるわけにもいきません

痺れをとろうとして、思考錯誤の結果、振ってみている人もいます

振って楽になるかを聞きます



頚椎症

頸椎症

手の痺れをみたときの鑑別疾患の筆頭は頚椎症です

頚椎症は加齢変性が原因で、神経の周りの組織が膨隆や肥厚して、

神経根や脊髄を圧迫することで、症状が出現します

症状からみると、運動障害、感覚障害、運動+感覚、特殊型の

4つと覚えておくと、分かりやすいです

病変の主座から考えると、

神経根症と脊髄症候にわけられます

脊髄症候は髄節と索路症候に分かれます

脊髄は圧迫を受けると、灰白質の前角から障害を受けることが多く、

徐々に障害範囲が広がっていきます

服部分類ではⅠ→Ⅱ→Ⅲへと進んでいくとされています




・「首っぽいね」の一歩先へ

痺れの鑑別の第一は、頚椎症ですが、

「首っぽいね」

で終わらせないように、

頚椎症を詳しく考えていきます


C7の神経根症状がメインだけど、

腱反射のdiscrepancyがあるから、ミエロパチーも加わっているかな・・・的な感じで、

病変部位を当てられるようになりましょう

内科医は中枢神経、脳神経のとり方はお作法で教わりますが、

神経根やミエロパチーを疑った時の診察は苦手な感じがします


頚椎症を疑った時にとる病歴や診察や5Dと言われます




今は売っていませんが、「臨床神経学の手引き」という名著で、5Dといわれています

なぜか、ネットで検索してもヒットしないので、あまり有名ではないようですが、

非常に有用です

いつも、5Dって結局何だっけ?

となってしまうので、今回まとめました

そこで、新たに7Dと提唱したいと思います

頸椎が7個あることにちなんでいます





この7Dは神経根症候ででるわけではなく、脊髄症候ででるものが多いです


ですが、痛みに関しては、神経根症候であり、

痛みが初発の場合は、神経根の障害であることが多く、

神経根か、脊髄症候かの鑑別に有用です



痛みの部位によっても、病変部位の推定が可能ですが、

急性に出現していれば、まずはACSの除外が必須です

また胆石発作でも同様に肩に放散するので、

内臓臓器の除外から始めます




・頚椎症の部位診断のステップ

①神経根か、脊髄症候か

→痛みの有無で、神経根か脊髄症候かを大まかに予測する

ジャクソン、スパーリングサインで、圧迫を誘発して、

症状の誘発をさせることもあります

ですが、手技自体で障害を悪化させるので、

障害が明らかな場合はあまりやらない方がよいかもしれません


軽く後屈させたり、いきむ動作や咳で痛みが悪化する場合は、

それ以上の誘発は不要だと思われます



②病変の高さはどこか

→支配している筋肉の萎縮・筋力低下や腱反射をとることで予測できます

 感覚の支配領域からもある程度は予測できます


腱反射で特に上腕二頭筋腱反射をとったら、指が屈曲した →C5病変

腕橈骨筋反射をとったら、指が屈曲した →C6病変

という奇異反射がみられることが多く、その場合は病変部位の推定が可能です


③脊髄症候ならば、灰白質(髄節)の障害か、白質(索路)の障害か

→下肢の所見や排尿障害の有無から、

 灰白質から白質のどの部分まで障害されているかを考慮します


下肢の腱反射が亢進したり、異常反射が出現していれば、索路症候であり、

服部分類Ⅱ以上となります

手だけの巧緻運動障害であれば、服部分類のⅠでとまっている可能性が高いです



・Discrepancyについて

見慣れていないと、出現してもわかりません

自分も最初は、この所見が何を意味しているかよく分かりませんでした

なんかいつもと違う動きだなあ、と感じた時は、だいたい異常です


それぞれの反射が、Cの何番に対応しているかを知っておくと、

病変部位の推定に役立ちます






・画像との比較

自分の診察で、

右・左の

C〇の

神経根・脊髄障害だ

と推定できるようになれば、

つぎは画像と比較してみます

画像と自分の推定病変部位が合致してこそ、

診断がつきます

しかし、画像で大した所見じゃないなあ

という時も往々にしてあるので、自分の所見を信じることも重要です



・ヘルニアとの違い

あまり意識しなくてもよいとは思われます

鑑別するメリットはあまりないと思います



頚椎症の経過は色々あることを知っておいたほうが良いとは思います

後屈や転倒で、悪化することが多いので、

症状が悪化したタイミングの前にそのような動作がなかったかどうかを、

しつこく聞くことが重要です


しかし、後屈は生活動作の一部なので、病歴聴取にもこつがいります


例えば、読書を腹ばいでしていなかったか、天井の電球を交換しなかったか

美容室で髪を洗わなかったか 

という聞き方をしてみるのも有用です



治療に関しては、経過の図の通りであり、

自然に軽快する症例もあることから、慎重になることが多いです

手術適応は整形外科医にお任せします


内科医にできることは、他の疾患の可能性をつぶすことです

特に運動障害だけでくるパターンの場合は、ALSと非常に紛らわしいです


痛みが先行し、その後、筋力低下や萎縮がくる場合、

神経疼痛性筋萎縮症との鑑別が必要になります


痺れと運動障害が急性に進む場合は、GBSやVB12欠乏が鑑別になります



頚椎症であることが疑わしければ、

悪化させないような、日常生活の指導がメインとなります


リリカ®やメチコバール®いれて、終わりではありません



頚椎症のまとめ

・痺れをみて、「首っぽいね」としない

・その先に行くには、頚椎症のどこに病変部位があるかを推定する

・推定するには、7Dを意識する

・病変を推定しないと、画像が読めない


気腫性骨髄炎

 

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