温暖化の影響で蚊の活動日数は増えており、活動域が増えています
ヒトスジシマカは日本にもいるので、
今後も一時的にデングだけでなく、
ジカやチクングニアも国内発生する可能性はあります
しかし蚊は冬は越せないので、国内でプチブレイクしても徐々に終息していきます
今後も国内発生のデングのように、
本来は輸入感染症だと思っていたものが、毎年のように出てきてしまうと、
鑑別として、毎回考えないといけなくなり、気が抜けなくなります
輸入感染症は初期のプレゼンテーションはほとんど同じで、
区別できません
それでも疾患ごとに特徴があるので、その特徴を捕まえる努力をします
臨床ではよく行われることです
枠組み、フレーム、カテゴリーなど
色々な言われ方をします
知識の整理に非常に有用で、
記憶にも残るので、万能と思われがちですが、
これにはピットフォールがあります
枠組みに入れてしまうと、そこから抜け出すことができなくなり、
鑑別から漏れてしまったり、
間違いに気がつかない事があります
アインシュタインの言葉にもあるように、
『常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである』の通り、
自分たちが信じて疑わない医学的な常識とは、
もしかしたらただの偏見かもしれません
数年後には誰もやっていないような治療を、
もしかしたら今、やっているかもしれません
数年後には日本でもマラリアが流行しているかもしれません
今までに身につけた知識はいつまでも使えるものではない
というくらいの気持ちを持っておかないと、
自分の常識に縛られてしまい、失敗することがある
と最近実感します
例えば、
潜伏期が半年というマラリアがある
マラリアは慢性感染することがあり、いつ血液をみても原虫がいる人がいる
マラリア(3日熱)は北朝鮮でも流行している
といった事実は、にわかには信じがたいのですが、存在します
特に輸入感染症の分野は情報のupdateが凄まじく、
常識という名の昔の知識にとらわれない、
柔軟な頭で考えることが大事になります
輸入感染症の難しいところは疾患のゲシュタルトを描けないことだと言われています
有名なマラリアでさえ、日本では何例も経験できるものではありません
疾患のゲシュタルトは教科書的な知識では、身に付けることはできず、
実際の患者さんを何例もみて身に付けるものです
なので、研修医の間は、
教科書何冊読んだということを自慢するのではなく、
何人患者さんを診たということの方が、はるかに自分のためになります
ただし、よく耳にするのは、
何人さばいた、何人こなした、流すという言葉です
こういった気持ちで患者さんを診ている限りは、
自分の経験になりませんので、一例一例を大事にしてください
輸入感染症も多くの症例には出会えないからこそ、
渡航歴のある人に外来で出会った時には、
問診をたくさんとらないといけなくて、
面倒臭いなあと思うのではなく、
勉強させてもらえて、ありがたい
という気持ちで診療するのがよいかと思います
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