2022年3月15日火曜日

意識障害のPSとSS

意識障害の場合、病歴が上手くとれないことがあります

例えば、独居の方で職場に来なくて、同僚が見に行ったら家の中で倒れていたパターンや
仕事から帰ってきた家族が帰ってきたら、家でおじいちゃんが倒れていたとか・・・

その場合、いつまで元気だったか?ということと発見時の状況しかわからないことがあります

そうなると、病歴に頼れず、身体所見に頼らざるを得ません

意識障害時の診察はJATECに似ていると思います



⓪まずは意識障害かどうか?です

失語や視野障害、半側空間無視、注意障害は意識障害と紛らわしいです


①意識障害のPrimary survey

大まかな診察を行い、Secondary surveyで何をするかを決めます


JATECではPSでGCSが8点以下なら切迫するDとして、SSでは頭部CTから行う
みたいな感じで、



意識障害のPSでSSで何を行うかを決めるイメージです


まずはバイタルの確認です
ABCに異常があれば、そちらからアプローチします


次にトキシドロームの確認です
交感神経賦活や副交感神経賦活、遮断、離脱などを考えます

    

ここで麻薬の加療使用があればナロキソンを検討することになります


次に協力のいらない神経診察を行います




そして項部硬直を行い、髄膜炎らしさを検討します


最後に血糖(やVB1)を測定します

アルコール多飲や食事摂取歴が不明であれば、VB1投与は治療的診断で行います


ここまでが意識障害のPrimary surveyです


     

②次に意識障害のSecondary surveyです




感染が併発しており、意識障害があれば髄膜炎対応するかを考えます

実際は高齢者が熱を出しただけで、熱せん妄で意識障害が出ることが多いですので、
全例に髄膜炎対応はしないと思います

敗血症性脳症や熱せん妄と髄膜炎のどちらの可能性が高いかを判断し、
しっかり髄膜炎対応でいくのか、なんちゃって髄膜炎対応でいくのかを検討します

      



意識障害にforcal signが加わっており、時間内であればtPA対応するかを考えます

大脳の広範囲の脳梗塞であれば、左右差があるはずなので診察でわかります

脳幹や視床の脳梗塞は、意識障害が目立ち脳梗塞らしさが乏しい時があります
top of basilerは後方循環系のトラブルなので、眼に注目しましょう



髄膜炎やtPA対応でなければ、てんかん発作として対応するか考えます
明らかに痙攣していれば、迷いませんが、
微妙に手足がぴくついているようなNCSを疑わせる状態の時には、迷います


NCSを疑ってすぐに脳波がとれる環境は恵まれています
多くの施設ではすぐに脳波をとることができないので、その場合は診断的治療を行います

セルシンチャレンジを行い、意識がどうなるか確認します

セルシンチャレンジは画像検査の後がよいと思いますが、
不穏で暴れて画像がとれなければ、先に投与するのも選択肢です



これらの〇〇対応のどれにも当てはまらなければ、検査の結果を待ちます

頭部CT、血液検査(NH3、電解質、肝臓、腎臓、脱水、血糖、CO2 、COなど)で引っ掛かるものがないかを待ちます




AIUEO TIPSの欠点は優先順位が不明な点です

このように意識障害のPSとSSを意識して診察すると、
検査の優先順位をつけられるのではないでしょうか?


まとめ
・意識障害の時には病歴が上手くとれないことは多々ある
→診察が重要な症候

・意識障害の鑑別は多岐(AIUEO TIPS)にわたる
→優先順位をつけて検査を組み立てる必要がある

・意識障害の際にはPSとSSの枠組みを意識する
→PSではバイタル、トキシドローム、神経診察、項部硬直、血糖測定
 SSでは髄膜炎対応、tPA対応、てんかん発作対応、それ以外

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