2019年4月6日土曜日

石の裏のダンゴ虫サイン

子供の時に、大きな石をめくると、石の裏にはたくさん虫がいました

石の裏には、何がいるんだろう?

とワクワクした記憶があります


何だかそれに近い感覚です

何が言いたいかというと、

宝物は隠れたところにあるということです

診断に大事な所見は、いつも隠れたところにあります



症例

先日、寝たきりの超高齢女性が、発熱で救急受診されました

熱源は身体所見やCTでははっきりせず、

膿尿を認めたことから、腎盂腎炎として入院となっていました


担当になって、会いに行って診察しました

寝たきりの人なので、もちろん布団かぶっています

布団をとって、診察します

寒いので、靴下もはいています

もちろん、靴下も脱がして観察します

すると、パンパンに張れた足先が出てきました

何だか紫斑もあって、危なそうな足でした

壊死性筋膜炎にはいたっていませんでしたが、

血培から連鎖球菌が検出されました


寝たきりや認知症の人は、足がパンパンで明らかに痛そうでも、

訴えが乏しいので、こちらが見つけてあげなければなりません

そこでズボンめくって、はい大丈夫

としてしまうと、「靴下脱がし忘れ事件」が起きます



事件を起こさないために、

上級医に言われた言葉が印象に残っています

「靴下まで脱がせて診察してくれるお医者さんって、

なんだかいいお医者さんに見えるよね」


確かに・・・


もちろん、いいお医者さんに見られようと思ってやっているわけではありませんが、

そんなところまで診察してくれるんだ・・・

と家族からすると、好感度はあがる診察です


靴下脱がす一手間を惜しまないでください

熱源も分かって、家族の好感度もあがるとても大事な診察です



靴下以外にもこういったサインはたくさんあります

よくあるのは、湿布サインです

痛いところに貼ってあるので、痛い場所がすでに見える化されています

湿布をみたら、申し訳ないですが、とりあえずはがしてしまうことが多いです



ご高齢の人は

痛い場所=湿布でお茶濁す

の関係になっているので、帯状疱疹も隠されていることがよくあります


その時は、湿布でかぶれただけか、帯状疱疹かの見極めが大事です



もう一つ、マスクサインというのがあります

これは外来やっていると、半分くらいの患者さんは、呼吸器症状なくても

マスクしているのではないでしょうか


マスクしていると、表情が読み取りにくく、

年齢やsick感もわかりにくいです

マスクしたまま診察や病歴をとっていると、

診断能力が圧倒的に落ちます


なので、マスクは必ずとって診察しましょう


入院してからもずっとマスクをしている高齢の女性がいました

蜂窩織炎で入院していたので、口の中をみることもなく、

数日が経過していきました


なぜマスクをいつもしているのか

確かに疑問ではありましたが、特に何の症状もなかったので、

あまり気にしていませんでした


ある時、口腔ケアで口をみてくれた看護師さんから


「なんだか、舌にできものがあります」


と言われました

見てみると、完全な舌癌でした


よく聞くと、舌が乾燥すると痛いから、

マスクをずっとしていたそうです




こういう失敗をして、みんな学んでいきますが、

失敗をしないに越したことはないので、

隠れている場所があったら、そこを見に行く努力をしましょう










1 件のコメント:

  1. 先日、若い人のショック+AKIでコンサルトがあり、お腹めくって押してみたらwhite island in the red seaがあったのでTSSだと言ったのに、よくわからないから?MEPMでいくということになり?、靴下めくったら足が腫れていました。のちのち血培からはGASが生えました。

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気腫性骨髄炎

 

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