2021年4月24日土曜日

読書感想文 〜ぶった斬り ダメ処方せん〜

 國松先生は本当に面白い本を書きますね

マンガのようにスラスラ読めました


テンポが良くて、次のページを読みたくなるような本でした

あっという間に読めますので、おすすめです



以下、個人的な感想です


この本を読んで欲しいのは、外来診療に携わる全ての医師です

特にこなれて、自分なりの「型」ができている人に読んでほしいです


臨床現場はエビデンスの有無で語られることが多いですが、

実際にエビデンスがあるもの(黒)とないもの(白)の間のグレーゾーンがほとんどです


臨床現場はそのグレーゾーンの中で一人一人の医者の色が出ると思っています

特に自分の色が出るのが、外来という場面だと思います


他の医師がどんな外来をしているか分かりませんが、処方で垣間見ることができます


本書でも書かれていますが、「ダメ処方はダメ診療」というのはその通りだと思います

処方箋を見れば、その医師の思惑や力量が透けてみえます


現実は数をこなすことに精一杯で、

自分の外来の良し悪しなど言っている場合ではないかもしれません



ですが、どうせやるのであれば、上手な外来を目指したくはありませんか?


本書の言葉を引用します


〜P187より〜

外来診療はどうすれば向上するかですが、とにかく1人でやらないことです。

これはon goingで誰かと一緒にやれという意味ではなく、

いわゆる「振り返り」をやるべきだと思っています。


一緒にカルテを見ながら振り返ってああだこうだ言い合う相手がいればそれでいいです。

可能な限り、どんな診療でもすべての患者のカルテを一緒に開いて、

一言言い合えればいいのです。


〜引用終了〜


本当にその通りだと思います。

自分の外来に自信がない人、向上したい人、不安な人は、

他の医師と振り返りをお勧めします。


自分は「振り返るな!前を向け!」と言われて育ちましたが、

裸の王様になりたくないので、日々の診療を振り返ることをおすすめします


王様になりたい人は、振り返る必要はありません

どうぞ自分流を貫いてください



以下は箇条書きで感想

・薬についてのリアルをここまで語ってくれる本はない、忖度いっさいなし

・自分の外来を見直すきっかけになる

 - 自分は何が苦手か

 - 薬の使い方のくせ

 - 思考のくせ

・鬼の解説に共感したり、ぼこぼこにされたり、読んでいて面白い

・患者さんの中で起こっているbiomedical(疾患・病態)なことと

 患者さんが感じている病いにバランスよく対応したアドバイスや処方の例をみることができた

・はじめて外来診療する医師はこの処方を守るだけで十分

 慣れてきたら自分の色を出せばいい

・教科書的な処方を提示するだけではなく、内服方法やタイミングまでかかれているので、とても実践的

・頓用処方についての考え方が変わった

・知識ももちろん得られるが、行動を変えてくれる本

・How to本でもありつつ、外来に対する姿勢を変えてくれる本


注意点

・自分の処方が「ダメ処方」の連続で、鬼にぼこぼこにされると、不快な思いになるかもしれません




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