低血糖について
まず、その低血糖に病的意義があるかを考える必要があります
いわゆる 低血糖と低血糖症の違いです
低血糖は検査値として血糖値が低いことです
低い血糖が全て問題というわけでもありません
健常者でも低血糖になることはありますが、普通は症状はありません
問題になるのは、低血糖症です
低血糖症はwhipple 3徴が揃う状態です
こちらは何らかの原因があり、原因検索を行う必要があります
無自覚性低血糖という状態もありますが、これは無症状の低血糖をいうわけではありません
無自覚性低血糖は自律神経症状がなく、いきなり中枢神経症状が出現する状態のことをいいます
無自覚性低血糖は非常に危険です
本人が気が付かないまま、意識障害に陥るため、場所や状況によっては命の危険があります
信号で例えると、自律神経症状は黄色信号です
このままだと危ないという注意喚起です
放っておくと、赤信号の中枢神経症状に突入します
進んではいけないところを進もうとしている状態です
高血糖は悪いのですが、すぐに命の危険が出ることは稀です
一方、低血糖はすぐに命の危険がありますし、後遺症のリスクもあります
高血糖は悪いのですが、低血糖はもっと悪いと覚えておきましょう
低血糖症を起こす疾患は、
インスリノーマ、薬剤、副腎不全、アルコール、肝不全、ダンピング・・・
鑑別がたくさんありすぎて、パニックになります
ですが、低血糖は原因検索が難しいわりに治療は簡単です 笑
グルコースのIVです
簡単なのですぐに治療したくなりますよね
それはもちろん正しいのですが、
グルコースを静注する前に採血をしていただきたいと思います
原因検索はその採血があれば、後からでも構いません
低血糖時のインスリンとCペプチドの値があれば、
鑑別疾患を絞ることができます
現実は状況や文脈で原因は明らかなことがほとんどです
・敗血症を疑う状況での低血糖
・アルコール多飲歴があり、食事摂取不足している人の低血糖
・肝硬変の人が、ご飯がとれなくなった時の低血糖
・血糖コントロールが改善してきているにも関わらず、DO処方されているSU剤
・食事量が低下しているにも関わらず、同じインスリン量をうった
・胃切除後の人の食後の低血糖 など
ですが、状況から原因は予測できても、その時点で確定することはありません
インスリンやCペプチドがあれば、後で自分の予想があっていたかを確認することができます
多くの場合、インスリンやCペプチドは低下していることが多いのですが、
高値であった場合が問題です
低血糖症にも関わらず、インスリンが抑制されていない病態は限られています
インスリン自己免疫症候群やインスリノーマ、ダンピング症候群、薬(SU薬、グリニド)、インスリンの注射などです
これらを鑑別するためには、
①インスリンやCペプチドの絶対値:
→著明高値の場合、インスリン自己免疫症候群が疑わしい
②インスリンとCペプチドの比:
→1以上の場合、インスリン自己免疫症候群が疑わしい
に注目することで、鑑別が進みます
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