外傷がない時の骨折は時に、難しいものです
特にwalk inで歩いてきた人では、なかなか疑えません
慢性の関節炎として、漫然とOAや捻挫として対応されているcaseもあります
非外傷性骨折には三つあります
①疲労骨折
正常な強度を有する骨に、日常生活で受ける外力 を超えるような非生理的外力が加わったことによる骨折とされています
反復する労作があれば、疲労骨折を疑うのは、さほど難しくないでしょう
②insufficiency fracture
強度が低下した骨に生理的外力が加わったことに よる骨折
骨粗鬆症をはじめとする骨脆弱性を基盤として生理的外力による骨折とされています
難しいのは、このinsufficiency fractureです
日本語訳は脆弱骨折です
好発部位は恥坐骨や膝、足部、踵骨、大腿骨頭軟骨下です
まさか、そこって折れるの???
という場所です
この骨折は外傷はなく、日常のささいなきっかけで起こることから、
内科医は骨折を想起することができず、
どうしても周囲組織の関節や靭帯を原因と考えてしまいます
さらに自覚症状に乏しく、歩いている人がほとどんです
この脆弱骨折は非常に見逃しが多いことが知られており、
CTをとっても見逃される骨折です
後で、放射線の先生に「先生、あの人折れてますよ」と言われないようにしましょう
こんなパターンに注意しましょう
・高齢女性の外傷歴のない、よくわからない鼠径部痛。でも歩ける
⇒恥骨の脆弱骨折のことがあります
・高齢女性の外傷歴のない、よくわからない股関節痛。
ステロイド使っていないし、アルコールのみでもないので、
大腿骨頭壊死は疑わない。一応、MRI撮ってみると・・・
⇒MRIで何やらぐちゃっとした大腿骨頭が見える時は、
大腿骨頭軟骨下脆弱骨折のことがあります
・高齢女性の外傷歴のない、慢性の足関節炎と思ってフォローしている症例
腫れてはいるが、あまり痛がらない。本人は捻挫が治らない印象。
関節液を抜いても、炎症成分はなし
サポーターしていくらか楽になる。痛み止めでいくらか痛み減る。
⇒足部(踵骨)の脆弱骨折のことがあります
上記は全て自分の失敗談です
特に足部に来ると本当に難しいです。
足関節炎にしか見えません。
脆弱骨折を疑うポイントは
・骨粗しょう症が背景にある
・関節の周りを痛がるけど、関節の所見に乏しい人
・自覚症状が乏しく、意外に歩ける人が多い
(いつも見ている骨折とは痛がり方が全然違う)
・原因不明の慢性単関節炎では、結核も大事だが、
骨折をまずは除外する
疑ったらMRIを撮影しましょう
③病的骨折(pathologic fracture)
基礎疾患により骨の強度が脆弱化して起こる骨
悪性腫瘍の骨転移が代表例です
臨床のパールや自分なりの考えをノートにまとめました。自分のポケットの中だけでなく、皆様にもみていただき、ご意見ご感想を頂ければ嬉しいです。実臨床への適応は自己責任でお願いします。
2017年10月31日火曜日
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