それは患者さんも医者も同じです
皮疹が主訴でない場合、
患者さんは皮疹に気がついていることは少ないです
なのでROSで、皮疹はありますか?
という質問はしてもいいですが、あまり意味はありません
皮疹はない
と言われても、気にせず皮疹を探しに行きます
よくやるのは、心音や呼吸音を服の上から聞くのではなく、
皮疹を見るために、服をあげてもらって皮膚の様子を見ます
でも狙っていないと、皮疹は素通りされます
狙ってみていない場合の皮疹は、
目で見えているはずですが、脳にはストックされず、
記憶からすぐに消えてしまいます
なので、どんな症候群でも皮疹が診断のヒントになったり、
診断のkeyになる時もあるので、狙ってよく見る癖をつけたいものです
例えば、原因不明の痛みの人です
診断は不明だが、鎮痛剤処方し帰宅
このプラクティスは、よくあるのですが、
必ず帰すときに、ブツブツが出たら帯状疱疹なので、
また来てくださいね
という言葉をつけて帰す事が重要です
そしてカルテに一言、皮疹なし
とかいておく事が重要です
今回は紫斑についてです
ご高齢の人の前腕をみると、紫色の紫斑ができている人が非常に多いです
あまりに多すぎて、紫斑をスルーしてしまい、
もはやカルテにも書いていないことが多いのではないでしょうか
紫斑の重要性は、文脈によります
健康な高齢者に時折できるちょっとした前腕の紫斑と、
昨日から発熱と頭痛があり、
本日は意識がぼーっとしいる人の紫斑では訳が違います
紫斑は重篤な疾患が多いので、
慎重に構えた方が良いです
よく、触れるか触れないかで、
血管炎かどうか、分かるとされていますが、
高齢者のルーズな皮膚では触れない紫斑でも血管炎のことはあります
なので、触れる触れないは教科書的にはそうだけど、
実際は難しい、という感覚の方が現実的です
触れないだけで、触れる紫斑の鑑別をカットしてはいけません
教科書的には、触れない場合は出血傾向を考えます
特に鼻出血や口腔内の粘膜出血は、
今後、重大な出血を起こす前兆とも言われます
血小板や凝固異常がある人で、毎日採血するのが憚られる人は、
口腔内の粘膜出血や硬口蓋の紫斑をチェックしましょう
入院中に気づかれるのは、看護師さんから、
採血の時、止血に時間がかかります
という一言です
抗凝固薬を使ってなくても、凝固が延長することはあります
絶食の人に抗生剤が入っている時で、
さらにその抗生剤がスルペラゾンやセフメタゾールが使われている場合です
他の抗生剤と違い、この抗生剤はワーファリンと同じような働きで、
凝固の異常を来します
腸内細菌叢云々ではありません
なので、胆管炎や胆嚢炎、憩室炎、虫垂炎といった
絶食になりがちな疾患の時に、
これらの抗生剤が使われることが多いので注意が必要です
しかしこれらの疾患は短期的に治療される事が多く、あまり問題にならないと思います
一番は上記の疾患がこじれて、膿瘍になった場合です
長期の抗生剤投与が行われて、比較的状態が安定してくると、
凝固が採血で抜けることがあるので、
たまに凝固のチェックをした方が無難です
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