ポイント
・アミオダロンはいろんな臓器に沈着して悪さをする
・肝臓の色がおかしいと感じたら、比較を行う
・アミオダロン肝はNASHから肝硬変に陥ることがある
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アミオダロンの有害事象はなんでしょうか?
有名なものは間質性肺炎や甲状腺機能異常、心毒性ですね
あとは、角膜、皮膚などにもトラブルを起こすことがあります
そして肝臓にもトラブルを起こすことが知られており、
アミオダロン肝と呼ばれます
近年ではCTが撮られることが多いため、
CTで偶然見つかることが多いのではないでしょうか
いつの間にか肝硬変になっていて、肝硬変の症状で初めて発見される人もいます
肝障害が出る前からCT値は上昇している症例もあり、
CT値が上がっている時に早期に発見したいですね
アミオダロン肝はNASHを惹起し、肝硬変に至る症例もまれではありません
アミオダロンを中止することが唯一の治療なので、気がつくかどうかです
アミオダロン肝はCTでは肝臓が白く見えます
ただ、一見しただけでは白い肝臓に気が付かないことが多いです
ポイントは比較です
①過去画像と比較する
②肝内血管と肝実質を比較する
③脾臓と肝臓を比較する
なんとなく、肝臓が白っぽいなと感じたら、
この3つの比較を行ってください
白っぽい肝臓をみた時の鑑別は、
主にヘモクロマトーシスかアミオダロン肝です
内服歴でアミオダロンがあれば、確定でよいでしょう
注意点としてはアミオダロン肝は内服を中止した後、
数ヶ月はCT値は高いままのことがあります
現在の内服にアミオダロンがなくても、
過去に遡ってアミオダロンを内服していないかどうかを探してください
前回の症例は、CTにてwhite liverを認め、
肝臓の萎縮も認め、肝表面は不整でした
5年前のCTではそのような所見はなかったため、
ヘモクロマトーシスかアミオダロン肝による肝硬変が疑われました
ただ、今回の入院時にはアミオダロンは内服しておらず、
鉄剤のみ内服していました
ならばヘモクロマトーシスかな?と思いましたが、フェリチンは上がっていません
おかしいな・・・と思い、過去カルテを探ると、
前回の入院時にはアオミダロンを内服されていました
そして徐脈があったため、アミオダロンが中止となっていました
さらに探ると数年前にHOCMの頻脈性のAfで入院した際に、
アミオダロンが他の病院で開始となっていました
それが在宅に戻った後もずっと処方され続けていました
というわけで、今回の高齢女性の低血糖の原因は
1、HOCMによる慢性心不全のため入っていた利尿剤が効きすぎた
2、低Naや脱水状態に陥り、食事摂取が低下した
3、低血糖になった
だけではなく、サイドストーリーとして、
1、HOCM+Afに対してアミオダロンが投与されていた
2、アミオダロンが蓄積し、アミオダロン肝からの肝硬変になっていた
3、肝硬変のため糖新生がうまくいかず、血糖をあげることができなかった
と考えることができます
まとめ
・アミオダロンはいろんな臓器に沈着して悪さをする
→しかもやめてもすぐには消えない
・肝臓の色がおかしいと感じたら、比較を行う
→過去と現在、血管と実質、脾臓と肝臓
・アミオダロン肝はNASHから肝硬変に陥ることがある
→中止することで改善が見込めるので、早期発見が重要
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